マツダ ロードスター試乗 グレードやMT/ATの違いで2種類の個性を創造

マニアック評価vol351

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注目の新型ロードスター。2種類の個性を用意してあらゆるドライバーのニーズに対応。それを実感した試乗だった

新型ロードスターの試乗会が伊豆スカイラインを使って行なわれ、2種類のロードスターを存分に走り込むことができた試乗だった。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

試乗前の説明で今回のND型ロードスターは、「原点回帰を端的に表現したエントリーモデル」Sグレード/AT車と、「最新のマツダブランドのダイナミック性能を表現したスタンダードモデル」の2種類のダイナミック性能の個性を持つモデルがラインアップされていることが明確にされた。

つまり、初めての公道試乗の際に感じたことが誤りではなかったということで、その点が改めてマツダから表明されたのだ。

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新型ロードスター スペシャルパッケージ(MT車)
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初代ロードスターよりもコンパクトになったボディ

この個性の違いは、装備の違いやボディ構造の違いで造られ、ユーザーからのNDロードスターに対する要求に全方位で応えようとするものだ。

具体的にはどんな違いがあるのか? ハンドルを握って感じるものなのか? ということでは、Sグレード/AT搭載車の原点回帰モデルは、日常域での路面接地性と挙動の分かりやすさを追求していると説明している。そして最新技術搭載のスタンダードと説明するモデルは、スペシャルパッケージのMT車とレザーパッケージのMT車がそれに相当し、高速域でのスポーツドライビングやFRならではのスロットルによる旋回コントロールの領域の楽しさまでを提供(LSD装着)と説明している。

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ロードスターの原点に回帰したSグレード

伊豆スカイラインは快適にワインディングが楽しめる絶好のドライブコースだ。試乗日はあいにくの雨ではあったが、その違いが楽しめる試乗だった。

ND型ロードスターはクルマの性格そのものは弱アンダーに造られ、コーナーで二つの個性は明確に違いを感じることができる。試乗はSグレードのMT車とスペシャルパッケージのMT車で、スペシャルパッケージにはLSDとリヤスタビライザーが装着されている。そしてボディのミッショントンネル部に補強のブレースバーが装備されボディ剛性を上げる構造を持っている。

このスペシャルパッケージは、コーナー入口で適度なロールとヨーモーメントを感じながら進入し、スロットルのオンオフでノーズの向きを変えることが可能な、じつにコントローラブルにセッティングされている。リヤの踏ん張りを感じやすく、フロントの舵をアクセルで調整できる。まぁ、LSDをかなりのレベルで効果的に使っていると想像できるのだ。

一方のSグレードMT車は、コーナー進入から出口まで一貫して弱アンダーの走りになるので、丁寧なコーナリングが求められ、ドライビングスキルアップにはもってこいの練習になる。ロールも大きく、ヨーよりもロールを感じながら速度を上げると、アンダー傾向が強くなる。その時点でスロットルを踏んでも閉じても、ノーズの向きは変わらない。アンダーが出続けるだけ。オーバースピードだ。潔くブレーキで減速し、回頭しはじめてから再びアクセルを踏み込む。

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新型ロードスターND型試乗記020どちらのロードスターも、コントローラブルでドライブは楽しい。まさにユーザーの好みでチョイスすればいいが、乗り換えユーザーは後者のスタンダードモデルがベスト。NC型までにはなかった最新のロードスターの乗り味が味わえることが約束されているからだ。

さて、共通するインプレッションではシートに座り、ドラ・ポジを取る。シートは低反発の寝具や枕などに似た印象の座り心地で、身体が徐々に沈み込み、フィットしていく感じだ。走っているといつの間にかジャストフィットしていることに気づく。シートが自分の体のカタチになっているかのようにも感じるほどで、これまで輸入車を含め、このフィールは初めての感触。長距離や長時間でのドライブをまだ試していないので、安易には言えないがドイツ系のシッカリしたシートの系統ではなく、フランス車系のソフトでありながらコシのある系統だと思う。

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ソフトなシート。ロングドライブでもそのフィーリングを確認してみたい
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ドライバーと正対するようにレイアウトされたペダル類

新型ロードスターND型試乗記010そして、ペダル配置は文句なし。ヒール&トゥもしやすく、一定車速で走るための右足の角度も造りやすい。左足のフットスペースもあり、そしてなにより正対して座れているので、しっくりくる。半クラッチは分かりやすく、適度な重さのクラッチペダルをつないで走りだせる。

エンジンは滑らかにまわり7500rpmまで一気に回る。シフトもしっとりとしたフィールでありながらカチッと各ギヤにホールドされ、シフト操作が気持ちいい。左手に残る気持ち良さから無駄にシフト操作がしたくなる衝動が起こる。

エンジンサウンドは、まずまずというのが正直なところ。もっと乾いた音が欲しいというのが本音ではあるが、それでもいい音であるのは間違いない。クルマが自由自在にコントロールできるだけに、ピュアスポーツカーの印象がどんどん盛り上がってくる。そのために、サウンドへの要求レベルも自然と上がってしまうからだ。

装着するタイヤはアドバンスポーツV105で195/50-16。V105ブランドでロードスター専用に開発したタイヤだ。V105ブランドは市販しているが、そもそもタイヤの性格自体がベントレーコンチネンタルGTスピードの標準タイヤにもなっていたこともあり、300km/h超の速度で巡航する大陸横断を高速で移動できる高級タイヤでもある。それがロードスターの標準として装着されていることからも、「走り」への拘りは強いものが伺える。

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なおAuto Proveではロードスターのメカニカル詳細はこちらでレポートしてある。また、最終のプロトタイプ試乗についてはこのレポートを参照していただきたい。

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