ボディ表面の発光システムは、エレクトロ・ルミネセント(発光)塗料を使用したサイドライトで、様々なカラーで発光し、周囲のクルマや歩行者とのコミュニケーションに使用することができる。
現在の「プレセンス」を発展
リヤシートの安全性向上のために、後席用に新たに開発されたエアバッグを装備しており、シートベルトにはフィーダーやバックルの照明、USB充電口などが追加され、リヤシートの乗員がシートベルトを装着した状態でも快適・便利なアイデア採用されている
リヤシートに装備されるチャイルドシートは、「プレセーフ・チャイルド」と名付けられ、シートを固定するベルトにはテンションが掛けられるようになっている。チャイルドシート側面に衝撃保護装置があり、衝突時には展開して幼児を保護するシステムになっている。またチャイルドシートの固定状態や、幼児の身体コンディションもドライバーがモニターできるようになっている。
メルセデスの実験車はユニークな事故警告表示システムを備えている。事故が発生した場合、自動的に車両の後方から小型の自走式ロボットが走り出して後方を走行している車両に前方が危険な状態であることを警告し、2次衝突事故を防止する。
また同時に車両のルーフからも三角表示板がポップアップし、同時にリヤウインドウにも危険警告をディスプレイ表示する。さらに、リヤウインドウには、実験車より前方の車両や交通状況を表示できる機能もある。例えば前方の交通状況が渋滞している場合は、それを表示して後方から走ってくる車両による追突事故を予防することができるのだ。
アクティブ・ブレーキアシストのシステムは、歩行者や自転車、バイクなどとの衝突を防止するための新しい機能が盛り込まれている。カーブや交差点では、実験車のセンサーは歩行者やサイクリストが車両の進行方向と平行に移動しているかどうかを常時検出している。平行ではない場合は車両と接触する危険があると、判定される。
車両が道路を横断する歩行者や自転車との衝突が差し迫っている場合、ドライバーはディスプレイやサンバイザー部の発光による視覚と警報音による警告を受ける。もちろんドライバーが反応しない場合は自動ブレーキが作動する。左折するときや、路肩に駐車している多くのクルマの間から、つまり死角から歩行者や自転車やバイクが現れる場合もこれらを検出し、ドライバーに警告、自動ブレーキの順に作動する。
また歩行者や自転車、バイクを車両が検知して、安全な状態にある場合は、ボディサイドやフロント・グリルの発光色によって歩行者や2輪車にそれを伝達することができる。
メルセデスが採用している新しい技術は、2016年11月に新たに開設したドイツのジンデルフィンゲンにあるメルセデス・ベンツの開発センター内の「車両安全技術センター」で開発され、テストが繰り返されている。
ここは世界で最も最先端の衝突実験テストが実施できる場所でもある。1970年代からクルマの安全性を重視し、積極的に安全技術の開発に取り組んできているメルセデス・ベンツは、社内に事故調査専門チームを設け、そこで調査した事故データを将来の安全性向上に役立ててきたことはいることはよく知られている。
今回発表されたESV 2019安全実験車もこうした長い期間の研究・開発の成果を採用しており、量産車への採用を見越した開発が行なわれているのだ。