この記事は2019年7月に有料配信したものを無料公開したものです。
メルマガ登録はこちらから。登録初月無料 月額550円
*写真と動画も楽しめる マニアック情報満載カーマガジン
メルセデス・ベンツは2019年5月に最新の自動運転技術と先進安全技術を搭載したテクノロジー・コンセプトカーを、「ESV 2019」(ドイツ語表記ではESF)で発表した。「ESV」とは、エクスペリメンタル・セーフティ・ビークル(安全実験車)を意味しており、ESV国際会議(自動車安全技術国際会議)に合わせて、世界各国の産官学の関係者が自動車の安全に関するプレゼンテーションするためのテクノロジー・コンセプトカーを「安全実験車」と呼んでいる。
ESVとは
ESVは、1970年代から日本、アメリカ、ヨーロッパの自動車メーカーがそれぞれ試作しており、それらの技術の中から、現在では標準的な安全装備であるABSや各種エアバッグ、ボディの衝撃吸収構造などが生まれてきている。
メルセデス・ベンツはこの安全実験車両は新型GLEをベースにしており、自動運転システムの採用はもちろんん、開発中の様々な安全システムが搭載されている。なおパワーユニットはプラグインハイブリッド・システムだ。
2019年6月に、ESV 2019はアイントホーフェン(オランダ)で開催されたESVコンベンションで、その先進安全技術の数々を披露した。その後、2019年9月に開催されるフランクフルト・モーターショー(IAA)で一般公開される予定になっている。
自動運転車をベースにしていることについて、安全技術開発責任者のイング・ロドルフ博士は、「自動運転にすることで、ドライバーのミスによる事故が減りますが、一方で自動運転、無人運転にも技術的な限界があり、また近い将来には一般のクルマと自動運転車が混在する交通環境も想定する必要があります」と語っている。
つまりメルセデスの実験車は、数年後に到来する自動運転車と従来のドライバーが手動で運転するクルマが混在し、また都市部の市街地で自転車、バイク、歩行者との混合交通道路での事故発生を防ぎ、安全性を高めることを目指した実証実験車ということができる。
ESV 2019の実験車に採用されている技術
この実験車が自動運転モードで走行しているときは、ステアリングホイールとペダルはバルクヘッド側に格納され、クラッシュ時のドライバーの負傷リスクを軽減している。
乗員はシート一体型シートベルトにより拘束され、ダッシュボードの前席エアバッグ、シートバックレストのショルダー部に格納された一体型サイドバッグでサポートされている。また手動運転モードの時、ドライバーに危険が迫った場合、サンバイザーからの強い照明光を発光させることで注意を喚起するシステムになっている。
またメルセデスの実験車は、周囲の交通環境とコミュニケーションする機能が搭載されており、多数のセンサー類は360度の周囲をモニターするだけではなく、全方向の車両や歩行者に対してシグナルを送ったり警告することができるようになっている。その手法は、ボディの各所の発光装置で状況に応じた光の色などで他の車両や歩行者は意味を理解できるようになっている。またリヤウインドウにも周囲のクルマや歩行者へのメッセージを表示することができる。