トヨタ自動車は2016年4月21日、高い耐油性、耐熱性が必要な特殊ゴム製部品であるエンジン・駆動系ホースに、バイオ合成ゴム(バイオヒドリンゴム)を世界で初めて採用すると発表した。国内生産車種のバキュームセンシングホースを2016年5月から順次適用し、年内には国内生産の全車種に採用予定だ。さらに今後はブレーキ系ホースや燃料系ホースなどの特殊ゴム部品にも採用拡大を目指す。
バイオ合成ゴムのバイオヒドリンゴムを原料としたバキュームセンシングホースは、トヨタと日本ゼオンおよび住友理工による共同開発だ。バイオヒドリンゴムは大気中のCO2を吸収しながら生長した植物を原料とすることで、従来の石油系ヒドリンゴムに比べて製造から廃棄までのライフサイクルでCO2排出量を約20%抑制可能とする。
一方、バキュームセンシングホースに求められる耐油性や耐熱性、耐久性は同等レベルを確保したとしている。ちなみにこのバキュームセンシングホースとはエンジン吸気系部位に使用するホースで、吸気マニホールド内の負圧を検出するための圧力センサーを接続するものだ。
今回は植物由来原料を分子レベルで石油由来原料と結合させて合成ゴムへ変換する技術など、さまざまな複合化技術を駆使することにより、他のゴム製品に比べても高い耐油性や耐熱性を必要とするエンジン・駆動系部品においてその性能を確保した。さらに部品製造においても、従来の石油系ヒドリンゴムを用いた場合と同等の品質と量産性を確保し、市販車への採用を可能とした。
トヨタは2015年10月に、持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表。この実現に向けた取り組みのひとつとして、バイオヒドリンゴムを原料とした環境適応型のバキュームセンシングホースを採用した。トヨタは今後もエコプラスチック、バイオ合成ゴムのさらなる適用部位拡大につながる技術開発・実用化を推進していく。