ZF CDCの進化版 sMOTION アクティブシャシー・ダンパーは車体を水平に維持できる画期的システム

グローバル・サプライヤーのZF社は2024年12月10日、革新的な連続可変ダンパーシステムの進化版「sMOTIONアクティブ・シャシー・ダンパー」の量産を開始したと発表した。

sMOTIONの登場は、車両の安定性とダイナミクス性能を融合させ、快適性と走行性能を向上させることができ、シャシー技術の新時代が幕を開けたということができる。

この革新的なシステムは、運転状況に応じて正確に減衰力を制御し、各ホイールに対して極めて迅速な伸縮動作を行なうことで、車両をアクティブに水平に保ち、最適なロードホールディング性能を確保しながら、快適な乗り心地を生み出すことができる。このシステムのダンパー技術は、ポルシェ タイカン、パナメーラなどに採用されている。

クルマのシャシーでは、動的特性の高さと快適性を両立させることが相反し、難しい課題となっていた。しかし、sMOTIONの実現によりステアリング、ブレーキング、加速時のピッチングやローリングの動きをほぼ排除できるようになったのだ。

sMOTIONのアクティブ・シャシーシステムは、従来からのZFのアダプティブ・ダンピングシステム「CDC」(連続可変減衰力コントロール)をベースにしており、2つの外部バルブがそれぞれ独立してダンパーの圧縮と伸長方向を調整することができる。この結果、減衰力は運転状況に適応され、快適性とダイナミクスが向上する。

sMOTIONはさらに、高性能オイルポンプを装備し、ピストンロッドを介してホイールとサスペンションを強制的に伸圧方向にアクティブに動かすようになっている。この機構により電子制御システムは路面の起伏が個々のホイールに与える影響をキャンセルさせることができる。また、コーナリング時においても、加速やブレーキの際にホイールの高さを補正または相殺することも可能になる。

したがってsMOTIONは、ダイナミック走行時に特に威力を発揮する。 例えば、通常はステアリングを右に急旋回させると、従来のダンピング機能を備えた車両は左に傾く(ロールする)ことになる。sMOTIONを搭載した車両は、コーナリングのロールを転舵速度に応じて自動的に調整し、「ヘリコプター・モード 」を生成する。そのため、車両の運転挙動はほとんどフラットで安定して走行することができるのだ。

例えば、アクティブ・ダンパー・システムを使用してわずか0.5秒で車両側を8cm高めることができるのだ。こうしたシステムにより重量が3トンの乗用車のコーナリングで、コーナリングフォースが1.0gに達するまでほぼ水平に車体姿勢を維持することができる。

このsMOTIONによるアクティブなボディコントロールは通常のスタビライザーを使用しないため、快適性の面で大きなアドバンテージがあり、同乗者の乗り物酔いの可能性も大幅に低減できる。

例えばドライブ中に読書や映画鑑賞をするときに乗員に発生しやすいる乗り物酔いをほぼなくすことができる。車両のボディの安定性は、路面の起伏や穴など、路面状態の影響をほぼなくすることができる。自動運転が普及するにつれて、このシャシー特性はすべての乗員にとってますます重要となるはずだ。

sMOTIONにより、ZFはクルマのステアリング、ブレーキ、シャシー向けの製品ラインアップをさらにを拡充している。電子制御アクチュエーターを使用することで、車両の縦、横、垂直の動きを制御し、ソフトウェアによる統合システムとして機能している。

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将来的には、これらの技術を組み合わせることで、「ZF cubiX」ソフトウェアを使用して車両の動き全体を制御できるネットワーク化されたシャシーシステムが実現する。ZFは部品だけでなく、システム全体を制御するソフトウェアでも自動車メーカーをサポートすることができるのだ。

ZFは、セミアクティブ/アクティブ・ダンピングシステムにおいてトップテクノロジーサプライヤーの一つであり、最初のCDCダンパーシステムが市場に登場してから25年が経過しており、sMOTIONは最新世代のCDC技術ということができる。

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