ロータスカーズは2026年5月12日、2030年に向けた新たな経営商品戦略「Focus 2030」を発表した。
ブランドの再強化をテーマにした今回の戦略では、従来のEV化の加速から方針を修正し、内燃エンジン、PHEV、EVを並行展開する“マルチパワートレイン戦略”へ移行することを決定した。さらに、フラッグシップ商品として1000ps超のV8ハイブリッド・スーパーカー「Type 135」を2028年に投入する計画も明らかにした。

【2030年に向けた戦略】
今回の発表は単なる商品計画ではなく、「ロータスとは何か」を再定義するブランド再構築を目指す内容となっている。
ロータスは1948年の創業以来、軽量化、空力性能、シャシー性能を核とした“ドライバーズカー”を追求してきたブランドだ。創業者のコーリン・チャップマンが掲げた「Simplify, then add lightness(軽量化せよ)」の哲学は、現代のロータス車にも受け継がれている。

しかし近年のロータスは、SUV「エラントラ」や4ドアGT「エメイヤ」など大型EVを投入したことで、「本来のロータス像から離れているのではないか」という議論も生んでいた。今回発表された「Focus 2030」は、そうした市場やファンの声を踏まえた“原点回帰”色の強い戦略となっている。
ロータス・グループの馮青峰(フェン・チンフェン)CEOは、「ロータスはコーリン・チャップマンの反骨精神から生まれたブランドだ。Focus 2030はブランドと事業の両方をリセットし、我々を本来のDNAへ立ち返らせる」と語っている。
今回の戦略は以下で構成されている。
・ブランドDNAの再強化
・マルチパワートレイン戦略
・吉利グループとの連携強化
・財務規律の再構築
・EV専業化を修正
・顧客主導の電動化
最も大きな転換点は、EV専業化路線の事実上の見直しだ。ロータスは他のヨーロッパ・メーカーと同様に2030年前後に内燃エンジン廃止を掲げていたが、ロータスは今回、市場ごとに電動化速度は異なるとして内燃エンジン、PHEV、EVを柔軟に展開する方針へ切り替えた。
ロータスは短期的な販売構成として、PHEV:約60%、EV:約40%を想定している。その背景には、高性能EV市場の成長鈍化や、中国市場でのPHEV人気拡大、さらにはヨーロッパにおける高級車顧客が高級EVに対する関心が薄れていることが想定されている。
ロータスは「完全EV化は、顧客が望むタイミングで実現する」と説明し、規制主導ではなく市場主導の戦略を採る姿勢を明確にした。
【ロータス独自PHEV「X-Hybrid」】
新しい戦略の中心となるのが、ロータス独自開発の高性能PHEVシステム「X-Hybrid」だ。最初の搭載車となるのはSUV「エレトラ X」だ。中国市場で「For me」の車名ですでに受注が始まっており、発表初月だけで1000台超の予約を獲得している。

X-Hybridのスペックは極めて挑戦的だ。高い熱効率を誇る2.0Lターボエンジン+デュアルモーターのPHEVシステムを採用。電気システムは最先端の900Vアーキテクチャーとし、システム最高出力952ps、最大トルク935Nm、EVモード航続距離は最大350km、総航続距離1200kmオーバー、0-100km/h加速3.3秒、20%~80%充電は9分間という驚異的な性能を実現している。

特に注目されるのは、900Vシステム採用による超高速充電性能だ。現在の量産PHEVとしては異例の高電圧システムであり、ロータスは「市場最速クラスの充電性能」とアピールしている。

シャシーは、48Vアクティブ・アンチロールシステム、デュアルチャンバー式エアサスペンション、超高速の0.02で応答する可変ダンパー、ブレンボ製6ポットブレーキを採用している。
また、単なる高性能SUVではなく、「ロータスらしい操縦性」をPHEV時代でも維持するとしている。
【フラッグシップ「Type 135」予告】
今回、フラッグシップとなる新型スーパーカー「Type 135」の開発・投入も発表された。Type 135はロータス初のV8エンジン+ハイブリッド・スーパーカーで、2028年に投入予定。システム出力は1000ps超とされ、中国ではなくヨーロッパでの生産が計画されている。

注目点は、EVではなくV8ハイブリッドを採用する点だ。フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなど高級スーパーカーメーカー各社も現在、高性能PHEVへ軸足を移しつつあるが、ロータスも同様のパワートレイン戦略へ回帰した形となる。
このロータス「Type 135」の詳細は2026年後半に公開予定としている。技術ポイントでは、軽量構造と空力性能、そしてドライビングプレジャーを追求するとしている。

また今回、エンジン搭載モデル「エミーラ」も継続生産することも発表した。最後の内燃エンジン搭載モデルは依然として生き続けることになる。なお近日中に「エミーラ」の大幅アップデート・モデルが発表されることになっている。
そして、800Vアークテクチャーを採用しているEVモデル、SUVの「エレトレ」 、GTカーの「エメヤ」 、ハイパーカーの「エヴァイヤ)」は、引き続き販売されることになっている。
【吉利グループとの連携強化】
今回の戦略で重要なのが、親会社である吉利(ジーリー)グループとの協業深化である。ロータスは今後、電動化技術、バッテリー開発、サプライチェーン、より高効率な製造技術などで吉利グループとの連携を強化する。
また、イギリスに本社を置くロータスと技術開発会社ロータス・テクノロジーズを統合し、単一企業体制へ再編することも明らかにした。これにより、開発スピード向上、コスト削減、利益率改善を図ることになる。
ロータスは年間販売3万台体制を目標としており、中国市場を主力成長市場と位置付けている。地域別では、中国の高級NEV市場を主力成長エンジンとし、ヨーロッパではイギリスのスポーツブランド価値を訴求、北米ではスポーツカー中心とし、そしてSUV市場拡大を目指して、中東・オセアニアでは新たに25市場へ販売拡大することを目指している。













