住友ゴム タイヤで発電してセンサーデバイスの電池寿命を解決

住友ゴムは2023年10月12日、関西大学の谷弘詞教授と共同で、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト)を取り付け、幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功し、タイヤ内部に設置したTPMS(タイヤ空気圧監視システム)の稼働を確認したと発表した。

谷教授は、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発を行なっているが、これまでの開発で、タイヤの歪みの変化による張力を利用した低速域での発電(発電デバイスA)に成功している。そして今回の開発では、加速度変化による遠心力を利用する発電デバイス(発電デバイスB)を適切に配置することで、高速域でも相当量の電力を得ることに成功した。なお、この成果は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業にもなっている。

発電メカニズムの異なる2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになり、実車を用いた実験でも低速域から高速域まで安定してTPMSの起動が可能なことを確認している。

住友ゴムは、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発と周辺サービスのコンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を掲げて、さまざまな技術開発を行なっている。その中でもタイヤを「センサー」としたソリューションサービスの提供を推進している。

このタイヤ内発電技術は、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段であり、この実現によりタイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができると考えられている。

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