2016年8月3日、ボッシュは電動スクーター「eScooter(eスクーター)」の新しいシェアリングサービス「Coup」をドイツ・ベルリンで開始したと発表した。ボッシュの完全子会社の名称でもある「Coup」は非常にシンプルな料金設定で、今後はベルリンの市民にとって移動手段の新たな選択肢の1つとする試みだ。
このシステムは、電動スクーターをいつでも検索・予約・利用でき、目的地に到着した後はそのスクーターを市街地のどこにでも乗り捨てられる仕組みだ。ボッシュ取締役会メンバーとしてこのプロジェクトを担当するマルクス・ハイン氏は、「Coupはボッシュにとって、モビリティの分野で初めてエンドユーザーやサービスの運営に関わるもので、ボッシュにとって新たな独立したブランドとなります」と述べている。このサービスを始動させるために、台湾のメーカー「Gogoro(ゴゴロ)」が製造した200台のネットワーク対応電動スクーターがベルリンに配置された。
ボッシュはこのプロジェクトで、台湾のスタートアップ企業であるGogoro社と緊密に協力している。2011年に台湾のスマートフォンメーカーから独立した元幹部が創業したこの会社は、まず台湾でビジネスをスタートしたが、ネットワーク対応電動スクーターのグローバルリーダーへと急速に成長しており、今回の「Coup」を通じてヨーロッパでもGogoro製のスクーターがデビューしたのだ。
今回スタートしたシェアリングプラットフォームの構築と運用については、ボッシュと戦略的なパートナーシップを組んでいるボストンコンサルティンググループの合弁会社であるBCG Digital Venturesが担っている。
ベルリンのような大都市では、交通渋滞が多く、駐車スペースも足りないため、パーソナルモビリティへ高いニーズがある。特に若い世代はモビリティと柔軟性を求めており、自家用車を所有することの必要性をあまり感じなくなってきていることも注目される。
「モビリティに対するニーズは変化しつつあります。ボッシュは、自身のモビリティとサービスソリューションを通じてこうした変化を形作っていくつもりです」とマルクス・ハイン氏は語る。
ボッシュはすでに、コネクテッドパーキングマネジメント、クラウドベースのフリート(社用車)管理、アプリベースのモビリティアシスタントなどのソリューションを開発し、さまざまな種類の移動手段の幅広い活用を支援している。そして、このシェアリングサービス「Coup」はモビリティ・ソリューションズの新たな分野となる。
200台の「eScooter」は、ベルリンのミッテ、プレンツラウアーベルク、フリードリヒスハイン、クロイツベルクの各地区で利用できる。電動スクーターの最高速度は45km/hで、四輪または二輪免許を取得している21歳以上の人なら誰でも乗ることができるようになっている。
シートの下には収納スペースがあり、ここにヘルメット1個と2つの予備バッテリーが入っているが、将来的にはヘルメットが2つ用意される予定だ。このスクーターの航続距離は約100kmなので、利用者が再充電について心配する必要はなく、充電はCoupが行なう。
料金は一律で30分3ユーロ(342円)、または1日20ユーロ(2270円)という設定だ。このサービスには専用のアプリからアクセスし、簡単に操作できるインターフェースを介してスクーターの検索・予約、料金の支払いが簡単に行なえる。また、ヘルメットボックスを開けたり、走行を始めると、Bluetooth経由でeScooterと接続したスマートフォンを通じて動作が確認されるようになっている。