【IAA2023】ボッシュ SDVとエネルギービジネスをするモビリティカンパニー向けソリューションを展示

ボッシュは2023年9月5日、ドイツ・ミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2023において、安全で持続可能なモビリティのための最新技術、ソリューションを出展した。

■ 精密なサラウンドセンシングのためのセンサー
自動運転機能には、精密なサラウンドセンシングが不可欠だ。ボッシュの新しいレーダーセンサーは、SAEレベル0〜3の運転支援機能、自動運転機能を可能にするシステムで、この第6世代のレーダーセンサーにはAIが組み込まれている。

AIを組み込んだ第6世代レーダー

この次世代センサーは、測定距離、速度、角度分解能でより優れた性能を発揮することができ、2輪車などの対象物も視野角全体にわたって確実に検知することが可能なのだ。

新世代の超音波センサー

またボッシュは次世代超音波センサーも紹介した。このセンサーは、AIベースの高さ分類により、たとえば障害物のおおよその高さを推定するなど、より確実な検知能力を備えている。さらに、エコーを3倍にすることでセンサーの感度を高め、たとえば歩行者や低反射物体を迅速かつ確実に検知できる機能を持っている。

ADAS用の最新カメラ

新しいカメラハウジングも出展された。画像分析はカメラ本体ではなく、ボッシュのADAS統合プラットフォームの中央車載コンピューターで行なわれている。300万画素、800万画素のバージョンに加え、SAEレベル4自動運転アプリケーション向けの1200万画素バージョンもオプションとして備えたカメラハウジングは、イメージセンサー技術の最先端の存在だ。

■ スタンドアローンソフトウェアモジュールとしてのサラウンドセンシング
カメラベースのサラウンドセンシングは、運転支援から自動運転への移行において重要な役割を果たす。さまざまなカメラセンサーが車両の周囲の画像を取り込み、そのデータをより先進的な運転支援機能や、自動運転機能、駐車機能に使用できるように処理。ボッシュの動画認識は、さまざまなSoC(システムオンチップ)で展開できる純粋なソフトウェアソリューションとなっている。

自動運転システムでの360度画像センシング

■ 自動運転システムのシミュレーション開発
ボッシュの子会社「ETAS」は、車両に搭載されるOSと個々のソフトウェアアプリケーションを結ぶ特別なミドルウェアを発売する。

このソリューションは、運転支援と自動運転のためのソフトウェア機能の継続的な改善を可能にする。このミドルウェアにより、安全性を損なうことなく、毎秒10GBを超える帯域幅でソフトウェアアプリケーション間の即時通信が実現する。

設定された各種の条件下での挙動により、可能となる内部演算の再現と、記録された実データを用いることで、多くの開発工程を仮想的に行なうことができる。このように再現可能なシミュレーションベースの検証を行なうことで、コストがかかる実際の道路状況での試運転距離を削減することができる。

■ 次世代の車載コンピューター
ボッシュはカスタマイズ可能な車載コンピューターを展示した。自動車メーカー固有の電子プラットフォームに対応できるように、モジュラー式の拡張性の高いコンポーネントを用意している。車両統合プラットフォームは、集中型、ゾーン型の電子プラットフォームを備え、ソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)を実現する。

運転支援システム全体を制御する統合コンピューター

車両のアプリケーション・ソフトウェアを中央車載コンピューターに移行させることで、車両統合プラットフォームは、ボディ、モーション、快適性など、すべての領域にわたる機能統合が可能になる。またOTA(無線通信)アップデートにより、車載ソフトウェアは常に最新の状態に保たれる。

そしてADAS統合プラットフォームも、SAEレベル0〜4の運転支援機能、自動運転機能、自動駐車機能を提供できる。このプラットフォームはモジュラー式で拡張性の高いアーキテクチャーにより、たとえば他社製のソフトウェアを柔軟に統合するなど、各自動車メーカー特有の要件に合わせて調整することができるようになっている。

車両統合プラットフォーム用コンピューター

コックピット統合プラットフォームは、インフォテインメント領域と車両情報・操作領域のコンピューターを1台のコンピューターに統合でき、性能と機能的安全性の要件に応じて、空調やネットワーク化、運転支援機能をはじめ、ドライバーや乗員のモニタリング、サラウンドビュー、ドライブレコーダー、カメラベースのアプリケーションなど、他の領域の追加機能をコンピューターに統合することができるようになっている。

モーション統合プラットフォームは、パワートレイン、シャシー、ステアリング向けの安全関連アプリケーションソフトウェア化されている。ボッシュは、この製品ポートフォリオを補完するために、車載コンピューター、分散型ECU、センサーおよびアクチュエーター間のリンクとして機能するゾーンECUもラインアップしている。

■ 信頼性の高い電力供給
パワーネット・ガーディアンは、車両の安全関連機能に常に電力が供給されるシステムを意味している。不具合が発生した場合、電子的な絶縁スイッチがシートヒーターや、ウィンドウリフターなどの電装品を切断する。

パワーネット・ガーディアンは高度な予測診断機能を持ち、安全性に影響する供給ギャップを迅速に検知。障害のある経路を切り離して、ハードウェアの冗長性によりエネルギー供給を保護する。この機能は将来の電子プラットフォームや自動運転において中心的な役割を果たすことになる。

電力供給システム「パワーネット・ガーディアン」

■ 電動化ソリューション
ボッシュはeモビリティソリューションの製品ポートフォリオを拡大し続けており、今回初めて800V技術を用いたモーターとインバーターの製造を開始する。

モーターは出力とトルク密度を高め、またインバーターはSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の使用により最大99%という高効率を達成。さらに、充電システムと高圧DC/DCコンバーターをひとつのハウジングに組み込んだチャージャーコンバーターも間もなく生産に移行する。このソリューションは省スペース化とコスト削減を実現する。

■ 電動車の温度管理
ボッシュは高性能なサーマルマネジメントを使用し、電気自動車、ハイブリッド車の航続距離を延長させることを可能にしている。冷媒回路と冷却回路を最適に調整することで、冷熱の正確な分配が可能になり、バッテリーの効率性が向上し、すべてのコンポーネントが最適な温度範囲で作動するようになる。

フレキシブル・サーマルユニット

このために、ボッシュは事前統合型ソリューションとして、フレキシブル・サーマルユニットを開発。部品点数や組み立て工程、ケーブルが少ないため、省スペース化と軽量化を実現している。また、サーマルマネジメントシステムにより、車内を快適な温度に保つ。

グローバル・ブラシレス・ブロワーは、車内の空調快適性の向上に積極的な役割を果たす。もちろん外気温と乗員の要求に応じて、冷房または暖房用に空気の流れを車室内に送り込む。これらはコンパクトな設計で、重量の大幅軽減、出力密度の向上、ノイズエミッションの低減を実現している。

■ 次世代ステアリング
ステア・バイ・ワイヤシステムは、車両のステアリングホイールと車軸の間に、機械的な接続を不要にするシステムだ。そのため、車内のデザインの新たな可能性が広がる。

特に自動運転の時代には、この技術はステアリングホイールの位置を下げたり、格納することが可能になり、新しいコックピットコンセプトに必要不可欠だ。

ステア・バイ・ワイヤ

さらに、ステア・バイ・ワイヤは、新しい安全機能であるビークルダイナミクスコントロールの基盤となり、ボッシュはこの技術開発を体系的に推進しており、2020年代半ばまでにステア・バイ・ワイヤシステムを量産規模で市場に投入する予定だ。

■ 次世代ブレーキ
ボッシュの最新世代の横滑り防止装置(ESC)は、現代のブレーキシステムの主要コンポーネントだ。

最新世代のESCとi(電動)ブースター

電動ブレーキブースター「iBooster」と組み合わせることで、自動運転時に必要なブレーキシステムの冗長性を確保し、自動緊急ブレーキのための高いブレーキ圧を素早く発生させ、ハイブリッド車と電気自動車の制動エネルギーの回生効率を向上させる。

ビークルダイナミクスコントロール2.0は、 ESCの新しい中核制御システムで、センサー情報に基づいて車両の挙動を予測し、先読み制御を可能にしている。

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