スバル新型レヴォーグはこうして造られている アイサイトXとCB18型エンジン解説

2020年8月20日の本日から先行予約が開始され、10月15日(木)に正式発表される新型レヴォーグの詳細がわかってきた。すべてがフルリニューアルされた新型として開発され、レガシィで培ったグランドツーリング思想を継承し、日本のための専用モデルとしている。では早速新しくなった新型レヴォーグの詳細を見ていこう。

新開発CB18型水平対向エンジン

スバルファンが気になるポイントとして水平対向エンジンがあるだろう。今回の新型レヴォーグには新開発の「CB18型」4気筒ターボエンジンが開発されている。従来のFA型、FB型も継続生産され、主に、大排気量北米向けのエンジンとなり、CB型は国内向けのエンジンという大枠での位置付けになる。

「CB」の意味は、エンジニアによれば型式符号であまり特別な意味は持っていないということだが、このエンジンは環境への配慮から多くの先端技術を投入している。そのことからConcentration(濃度・集中)と、Compactという意味があるという説明だった。そして「18」は排気量1800ccを意味している。

コンパクトというように、もともと水平対向エンジンは全長が短くコンパクトだが、この新型CB18エンジンは専用に開発され従来より40mm短い全長になっている。特徴としてはクランクジャーナルとクランクピンをつなげるクランクウエブが極薄にしているところがポイントだ。FA、FB型もクランクウエブは薄かったが、さらにその半分程度の厚みになっているから驚かされる。もちろん、高い生産技術がなければ成立しない部分なのは言うまでもない。

位置付けとしてはこれまで1.6Lダウンサイジングターボの後継であり、200cc排気量を上げトルクアップを狙っている。そして燃費対策としては希薄燃焼(リーンバーン)をさせて対応という概略だ。

クランクウエブが極薄なのがわかる

リーンバーンで環境対応

リーン状態(空気が多く燃料が少ない)になると燃焼しにくくなるため、これまで培った基礎技術を集約してリーンバーンを達成したという。吸気流路ではターンブル強化のため、従来はTGVというバルブを採用していたが、新設計の吸気ポートにして整流してから取り込む設計にして最適化を狙ったという。

そしてバルブ挟み角も狭角になり、点火プラグの真横にスプレーガイド式インジェクターを配置している。インジェクターは35Mpaと高圧噴射で2回噴射させている。

点火プラグのすぐ真横にインジェクターを配置

ターボはシングルスクロールへ変更し、従来の1.6Lエンジンに使っていたタービンより、ハウジング、A/Rとも小型化している。これはレスポンスを重視した設計であり、リーン燃焼とストイキとの切替なども影響しているからだ。

またウエストゲートバルブやABV(エアバイパスバルブ)も電子制御化され、リーン状態での点火、空気量、燃料のコントロールを緻密にすることに注力した。こうして新開発されたCB18型にはNOx吸蔵触媒を搭載し、クリーンな排気としている。

かなり小型のターボを下部に搭載

スバルの社内測定の参考値燃費は、全グレード共通で、WLTCモード平均で、13.7km/L、JC08モードで16.5km/Lという数値になっている。燃料は無鉛レギュラーガソリンを使用する。

出力もまだ参考値だが、133kW(177ps)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm/1600-3600rpmというスペックで1.8Lガソリンターボで300Nmというトルク重視エンジンだとイメージできる。組み合わされるトランスミッションは、進化したリニアトロニックCVT(新TR58型)で、8速マニュアルモードを備えている。現行の1.6Lターボは170ps、250Nm、JC08モードで16.0km/Lなので、全領域で改善、進化していることがわかる。

進化したアイサイト

アイサイトの進化だ。予防安全技術のアイサイトは、ベースグレードも含め全車に標準装備された。広角化した新型ステレオカメラを開発し、加えて左右側方レーダーをスバル初として搭載した。リヤは左右側方レーダーとソナーを装備し、広範囲での予防安全が可能になった。

実現する機能として広角カメラ化によって検知範囲が広がり、交差点での自転車、対向車、横断者が検知可能。これは作動領域が拡大したという理解だ。また左右前側方広角レーダーの搭載で、路地や遮蔽物でカメラでは見えない場所からでも前側方からの接近車両が検知でき、出会い頭の衝突回避が可能になった。

大きく変化した機能として、「緊急時プリクラッシュステアリング」がある。従来は緊急ブレーキで対応していたが、それでも避けられない場合、システムが操舵制御を行ない、衝突回避をサポートしてくれるようになった。

そして、後側方車両を見落とし、車線変更しようとした場合、音と表示により警報するとともに、ステアリングを制御して逸脱抑制をアシストする。体感的にはシステムがハンドルを切り戻している感じになる。

アイサイトXに連動する大型モニターをセンターに装備

アイサイトX登場

そしてさらに新機能を搭載したアイサイトXが搭載された。これは3D高精度地図データと高精度GPS情報を活用することで、より安全で正確な高度運転支援システムを実現している。

まずはシステム構成。スバル初となる3D高精度地図ユニットを搭載した。準天頂衛星「みちびき」も併用して高精度GPS情報と3D高精度地図データを組み合わせてシステムを作動させている。現在レヴォーグには車載されたデータで稼働することになる。

そしてアイサイトXの作動状況を把握しやすくするために、12.3インチフル液晶メーターが装備される。動作が可能な状況をさまざまなアイコン表示でドライバーに知らせるようになっている。それとハンズフリー運転が可能となるため、ステアリングのタッチセンサーも搭載される。また、ドライバー監視の観点からドライバーモニタリングシステム(DMS)とも連携する。

レーンチェンジアシストができるようになった

さて、これらのシステム搭載によって可能となるアイサイトXの機能だが、まず、渋滞時ハンズオフアシストが可能になる。50km/h以下の渋滞時にシステムが作動し、運転披露軽減に繋がる。またゴーストップでは渋滞時の停止、発進を繰り返す場面ではスイッチ操作がなく、走行可能になる。

そして「アクティブレーンチェンジアシスト」では、ステアリングの保持は必要だが、ウインカーを出せば、システムが車線変更をアシストする機能だ。運転が上手い人の車線変更のように滑らかに、そしてスムーズに車線変更が可能になる。

渋滞時50km/h以下でハンズオフが可能になった

とくに便利だと感じるのはカーブ前速度制御と料金所前速度制御機能だ。これまで他社のACCを含め、一定車速に速度維持はするものの、急カーブになったとしても速度は維持され結果的に、システムを解除するケースがほとんどだ。

アイサイトXでは車線を認識し、コーナーのRを検知して車速をコントロールする機能が備わっている。その応用として料金所も3D高精度地図とGPSから認知し、自動で減速する機能を搭載した。実用性の高い機能だと感じる。

万が一後方車両の見落としをしてもシステムがアラートを出し注意を促してくれる

もうひとつは、ドライバーの異常時に対応するシステムも搭載した。これは急病などで運転ができなくなった場合、車線内で減速・停車させる機能だ。アイサイトXやツーリングアシスト(ACC)が作動中、ドライバーにハンズオン要求しても応じない場合、作動しハザードランプが点灯し、ホーンの吹鳴で周囲に通知する機能になる。こうした進化したアイサイトにより、より安全、安心なドライブが可能になるというわけだ。
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