マツダは2021年1月28日、MX-30に容量35.5kWhリチウムイオンバッテリーを搭載した同社として初の量産電気自動車「MX-30EV」を発売しました。
デイリーユースのためにバッテリー容量を選択
マツダは2050年時点でカーボンユートラルを目指しているため、今後は急速に電動化を進め、電動化の「マルチソリューション戦略」を展開していくことになります。今回登場した「MX-30EV」はマツダ初の量産電気自動車であり、MX-30としては既発売の24Vマイルドハイブリッド、2022年に発売予定の発電用ロータリーエンジン(RE)を搭載したPHEVというラインアップになります。
MX-30EVは、MX-30マイルドハイブリッド モデルのコンセプト「わたしらしく生きる」を継承しながら、市街地や近郊をメインステージにしたデイリーユースを目的とした電気自動車で、容量35.5kWhのリチウムイオン バッテリーを搭載し、航続距離はWLTCモードで256kmとしています。
このバッテリー容量は、LCA(ライフサイクル アセスメント:製造から走行までのCO2排出量)の観点から、ヨーロッパの2016年時点におけるマツダ3ディーゼルをLCAで上回ることができる容量が35.5kWhということです。
またこのLCAの観点から、MX-30EVは再生エネルギー率が高い地域で重点的に販売するとしていますが、化石燃料による発電比率が高い日本において、当初はリースに限定していましたが、マツダの今後の電動化のシンボルとして販売に踏み切ったわけです。ただし年間の販売目標は500台と少ないです。
フロア下面にバッテリーを搭載
MX-30EVは、マツダ3から採用された新世代スモール プラットフォームをベースに、EV化のためにフロア下面にバッテリーを搭載する基本骨格とし、ボディ骨格を強化しています。特に、バッテリーパックを支える大型のサポートフレームがボディ下面に結合されることでボディの剛性が大幅に向上しています。
バッテリーは角型リチウムイオン電池セルをまとめたパッケージで、総電力は355V。バッテリーパックの重量は約130kg。1充電での航続距離はWLTCモードで256km。ちなみにヨーロッパWLTPモードでは200kmとなっています。
バッテリーはエアコンによる冷媒を使用した冷却システムを採用。バッテリーの劣化を抑え寿命を向上させています。
モーターは永久磁石同期式で、最高出力145ps、最大トルク270.9Nmを発生。充電は、CHAdeMO急速充電と普通充電(最大6.6kW)に対応しています。なお、モーター駆動時にはドライバーに加速感を伝える専用サウンドシステムを装備しています。
「e-GVC Plus」、byワイヤーブレーキを採用
モーター駆動に合わせて、エレクトリックG-ベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)を採用。前後の荷重移動を自在に制御。特にコーナリングから加速に移る段階でモーターのトルクを高め、より後輪に荷重を与えることができるようになっています。さらにドライバーがハンドルを素早く戻すシーンでは、旋回挙動を収束させるブレーキモーメント制御と協調作動し、山岳路や高速道路、滑りやすい路面での車両の安定性を大幅に高めています。
またアクセルペダルを、マツダはモーターペダルと呼び、ペダル操作ストロークだけではなくペダルの操作速度も検知することで、ドライバーの意図通りのリニアな加速感を作り出しています。さらに、減速時にはモーターペダルの戻し操作からブレーキの踏み込み操作にかけて、コーナリング時の前後荷重移動のコントロールがしやすいように回生ブレーキを協調制御しています。
回生ブレーキは、ステアリングにあるパドルにより、回生ブレーキ力を強める方向に2段階、弱める方向に2段階に変化させることが可能。一方でワンペダル ドライブは採用せず、停止はあくまでもbyワイヤーブレーキを使用するようになっています。
コネクテッドサービスと購入サポート
MX-30EVは最新世代のコネクテッドサービスを採用し、EV用の機能、サービスを受けることができます。充電スポットの検索、バッテリー状態やエアコン作動をスマートフォンでモニタリングと操作ができるようになっています。
MX-30EVは、初の電気自動車ということもあり、「EV専用ダイヤル」の開設、バッテリーケア アドバイス(スマートフォンに通知:2021年秋開設)、そして残価率55%とする残価設定式のクレジット販売を導入するなど、EVならではの思い切った施策を導入している点も注目されます。