走りと乗り心地を重視したシャシー
サスペンションもすべて刷新されている。フロントのストラット式サスペンションは、キャスター角を強め、さらにキングピン傾斜角を強めることでスクラブ半径を縮小。キングピン軸を外側に移動させたことでスプリングの半力も低減させることで、ダンパーにかかる横力を小さくし、摩擦抵抗を抑えている。
リヤのトーションビームは、従来の構造とは大幅に変わっている。フォルクスワーゲンはゴルフ7から採用してトーションビーム・レイアウトを採用し、トーションビームのボディ側取付点は前後方向を支持する小型のピボットに。この取付点のブッシュは従来よりソフトになり、前後方向の入力のショックが軽減できている。
そしてトレーリングリンク部の上下ストロークはトーションビームのたわみと連動させ、仮想のセミトレーリング・リンク式サスペンションとして機能するようになっている。
つまり取付点は前後方向の入力だけを受け持ち、リヤ・サスペンションがストロークする時には仮想セミトレーリング・リンク的な軌跡により、十分な量のロールステア、つまりトーイン方向への動くことで高いグリップ力、リヤの安定性を確保しているのだ。このリヤ・トーションビームは日本車としては初採用となる。
また4WDモデル用のリヤは、専用設計の2リンク式・ダブルウイッシュボーン式サスペンションを採用している。これはE-Four用のリヤモーターを搭載するスペースを確保するため、サスペンション・メンバーやスタビライザーはFF用と共用しながら、サスペンション・アーム、スプリングを最適に配置できるレイアウトにできるサスペンションだ。
ダンパーは、新型カローラから採用している超微低速域での摩擦力を利用したメカニカルGベクタリング・ダンパーを採用。操舵初期のタイヤのグリップ力を上げることで素直に応答し、ダンパーがそれ以上にストロークする乗り心地として現れる段階では、低摩擦で減衰力は控えめにし、さらにストロークすると減衰力が滑らかに立ち上がるようにしている。
さらに高精度な電動パワーステアリングの制御を採用し、操舵の初期から大舵角までリニアで滑らかな操舵フィーリングを実現している。
ボディ剛性の向上、サスペンション系の摩擦低減、Gベクタリング効果、スプリングレートの低減とスタビライザーの強化、などにより、このクラスの常識を超えたフラットで滑らかな乗り心地となりドライバーの視線の振動ブレを抑えている。
さらに高められた直進安定性、ロール角の低減、ステアリング・ラックギヤなどの取り付け剛性の大幅な向上、滑らかなパワーステアリング特性、さらにブレーキ・トルクベクタリング(アクティブ・コーナリング・アシスト)の採用などにより、安定性、応答性の良さ、幅広い領域での意のままのハンドリングを目指している。