トヨタ自動車は、安全支援技術による事故低減効果と更なる普及に向けた設定の拡大計画を発表し、併せてユーザーに向けた安全啓発活動の拡充について公表した。
■衝突回避支援パッケージの「Toyota Safety Sense」と「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」による追突事故低減効果と、ICSの設定拡大
公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITARDA)の事故データを基に、トヨタが独自算出したところ、追突事故は、Toyota Safety Sense搭載車は非搭載車に対して約5割減、また、Toyota Safety Sense Pと、ICS(駐車場でのペダル踏み間違い・踏みすぎによる事故防止やアクセル・ブレーキ操作に関係なく低速取り回し時における衝突回避/被害軽減を支援)双方の搭載車においては非搭載車に対し、約9割減という結果を得た。なお、Toyota Safety Sense PおよびICSを搭載する車両は、経済産業省、国土交通省など政府が官民連携で推奨する安全運転サポート車のうち、高齢運転者に特に推奨する「セーフティ・サポートカーS(通称:サポカーS)」の「ワイド」に相当する。
高い事故低減効果が明らかになったわけだが、トヨタはこの、実際の安全性向上に効果のある、Toyota Safety SenseとICSとを組み合わせて装着する車両の設定を、2018年度末までにコンパクトカーも含め、販売車両全体の約9割まで拡充していく。
■安全支援技術の普及拡大に加え、ドライバーや歩行者などの人への安全啓発活動を拡大。全国のトヨタ販売店と連携も!
2017年より販売店の店頭で実施しているICS体感試乗会のさらなる拡大に加え、これまでメーカー主導で行ってきたToyota Safety Senseの自動ブレーキ体感においても販売店独自開催による実施拡大を予定している。いずれも販売店スタッフにはライセンス取得制度を設け、安全な運営とお客様への適切なご説明を徹底する。より多くのユーザーに体感いただくことで、安全機能の正しいご理解へと繋げるという。なお、ICS体感試乗に関しては、まず年内に全国のトヨタ販売店280社で実施可能な体制とし、2018年6月までには、ICS体験試乗用のスペースを確保できる店舗全てでの実施を目指す。さらに、昨年より販売店とともに進めている交通安全啓発活動の「マチホタル計画」を引き続き継続し、夜間事故低減に取り組む。その他の交通安全啓発活動についても、順次、「サポトヨ」活動として推進していく。
安全な交通社会の実現に向けては、事故調査・原因解析・対策技術の開発・商品化を一連のループとして取り組み、真に安全なクルマ作りにつなげる「クルマ」への活動に加え、ドライバーや幼児向けの交通安全啓発活動といった「人」への活動、ITSへの取り組みをはじめとする「交通環境」への活動を含め、三位一体で取り組むことが必要である。トヨタは、Toyota Safety Senseは2017年中に日本、北米、欧州のほぼ全ての乗用車への設定を完了する予定であったりと“クルマ”の部分だけでなく、啓もう活動で“人”“環境”部分にも積極的に関与する構えだ。「交通事故死傷者ゼロ」の究極の目標に向け、「人・クルマ・交通環境」の三位一体の取り組みを、トヨタは推進していくというわけである。