トヨタと千代田化工は2024年2月5日、大規模水電解システムの共同開発と戦略的パートナーシップを構築していくことで合意し、協業基本合意書を締結したと発表した。政府が策定した水素基本戦略における、国内外を対象とした水電解装置導入の政府目標の達成に資する提携となる。
トヨタが持つ燃料電池技術を用いた水電解セル・スタックの生産や量産技術と、千代田化工が持つプロセスプラント設計技術や大規模プラントの建造技術が融合され、競争力のある大規模水電解システムを開発することで、急激に拡大する国内外のグリーンな水素製造市場に対応することになる。
なおCO2排出をともなう水素の製造は大規模なプラントが存在しているが、CO2を排出しないグリーン水素の大規模プラントは現時点での大きな課題になっている。水電解システムによるプラントは、エコ電力により水を電気分解することでグリーンな水素を製造する方式だ。
今回の共同開発により、世界最小レベルのサイズでありながら、水素の製造効率が高いクリーンな水電解システムの開発を目指している。
水素の使用量や設置面積の制約など、さまざまなニーズに対応できるよう、5MW級を原単位(設置面積:2.5m×6m、水素製造能力 :約100kg/時間)として開発し、それらを組み合わせて標準パッケージとすることで、大規模な水電解システムを構築することができる。
この装置は、一般的な設備に比べて約半分の設置面積におさまり、メンテナンス性も確保しながら、輸送性や現地工事期間の短縮、土木・建築工事のコストダウン効果などのメリットがあるという。
トヨタが得意とする工業製品のノウハウと、千代田化工が得意とするプラントエンジニアリングのノウハウを融合し、最適化することにより、グリーン水素の生産に必要な水電解システムのコストダウン、生産効率アップ、品質安定化などを実現していくことになる。
今回の協業基本合意書の締結を踏まえ、2025年度からトヨタ本社工場の水素パーク内に水電解システムの導入を行なう。将来的には10MW級まで拡大し、実証や開発に活用していく予定だ。