【ル・マン24時間レース】ACOとGAZOOレーシングが水素エンジンクラス誕生と参戦マシン・コンセプトを発表

フランスのサルト・サーキットでル・マン24時間レースの決勝を控えた2023年6月9日、ACO(フランス西部自動車クラブ)が公表している「水素カテゴリーへ燃料電池車両に加え水素エンジン車両の参戦を認める」ことを受け、トヨタGAZOOレーシングは、レース主催者のACOのプレスカンファレンスに豊田章男会長が参加し、将来の参戦を見据えた水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 レーシング・コンセプト」を発表した。

ACOは2026年頃をめどに、ル・マン24時間レースに水素燃料クラスを新設すると公表。つまり、e-フュエルやカーボンニュートラルの液体燃料(CNF)だけでなく、水素クラスも加わることになる。

トヨタは、すでに国内のスーパー耐久シリーで水素エンジン・カローラで参戦していることもあり、ACOの構想を全面的に支持している。ただ、e-フューエルやCNFは従来のガソリンと同様な給油が可能だが、水素クラスの水素補給(充填)をどうするかなど、具体的な検討は今後行なわれることになっている。

今回、サルト・サーキットに持ち込まれた「GR H2 レーシング・コンセプト」は、ル・マン24時間レース期間中、会場内ACOのH2ビレッジで展示されている。

このH2ビレッジには、トヨタGAZOOレーシング以外に、車載水素タンクのメーカー「Plastic Omnium」、ミシュランの子会社であるWateaは、水素使用の商用車「シトロエン e-Jumpy Hydrogene」(年内発売予定)、そしてル・マン24時間レースを前提としたレーシングカーとして、グリーンGT LMPH2G、アルピーヌ アルペングロー、フェニックスH2 GT、ボッシュのリジェ JS2 RH2が展示されている。

ACOのピエール・フィヨン会長

「この2023年6月9日という日は、世界一の自動車メーカーが、新たな水素エンジンの取り組みを発表した日であるという、ル・マン24時間と、FIA世界耐久選手権の歴史の中の金字塔として、将来振り返られるでしょう。ちょうど100年前、我々ACOは、ル・マン24時間を立ち上げ、それは、まさに自動車業界にとって技術開発の実験場となってきました。」

「そして、昨今、モビリティはエネルギー転換という革命を迎えており、ル・マン24時間は、持続可能なテクノロジーの探求を続けております。2018年よりACOは、Mission H24とGreenGTとともに、安全で効率的なエネルギーとしての水素の導入を推進してきましたが、本日、我々は、2026年ル・マン24時間の水素カテゴリーの創設に向け、重要な一歩を踏み出しました」

「自動車メーカー各社の志と同調し、耐久レースは持続可能なモビリティの実現へコミットメントを示しました。私は、技術的な多様性を追求する、トヨタの挑戦、ACOに関わる人々のビジョン、そして、WECとル・マン24時間に敬意を表します。豊田さん、今回の発表をされたことで、ル・マン24時間の歴史にあなたの名が刻まれました」と語った。

豊田章男会長

「ル・マン100周年おめでとうございます。ル・マンは世界で最も有名なレースということだけではありません。ル・マンは、我々が技術の限界を超えていける場所、そして未来を実現していける場所です。私たちの想いを、世界の皆さまに知っていただく機会を与えていただいたACOとル・マンに心から感謝いたします」

「モータースポーツでカーボンニュートラルを実現すること、それも、レースでのパフォーマンスや興奮を犠牲にすることなく、それを実現することを私は目指しています。私どもの新たな水素レーシングカーが、将来、水素クラスに参加することを楽しみにしています。そこには、音も、トルクも、迫力も、すべてが揃っています。これは単なる新型レースカーではありません。ゼロエミッションで戦うレースカーです。次の100年後も、こうしてチェッカーフラッグが振られることを祈っています」と語った。

ACO 公式サイト

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