ダイハツ 海外向け車両の側面衝突試験で不正行為が発覚

ダイハツとトヨタは2023年4月28日、それぞれの社長が出席して緊急会見を行い、ダイハツが開発を担当、タイ、マレーシア、インドネシアの各工場で生産しトヨタ、ダイハツのブランドで販売するアジア、中東、南米向けなど海外市場向け車両(4車種)の側面衝突試験の認証申請における不正行為が確認されたことを発表した。

ダイハツの奥平社長

これらの4車種(1車種は未発売)は2022年にダイハツが開発を終えて型式認証のための実験、各種認証試験合格までを担当し、トヨタが型式認証を申請取得するというプロセスで販売が開始された。ダイハツで型式認証取得のために必要な世界共通の安全規格、および販売地域の安全規格にパスできることを実証するための社内試験が行なわれる過程で不正が行なわれた。その不正の発覚は内部通報によるものだという。

トヨタの豊田会長と佐藤社長

ダイハツは、不正を行なった疑いのある担当部署、関連部署へのヒヤリング調査、車両の現物調査、設計変更履歴や開発過程の試験結果など開発経緯を調べて不正を確認している。

法規では、側面衝突試験で側面衝突台車が衝突したときに、破壊されたドア・トリム(プラスチック製内張り)の破片が鋭利な形状(シャープ・エッジ)になり乗員を負傷させないことが求められる。

今回発覚した不正は、衝突実験時にドア・トリムに量産仕様ではない切り込みが付けられていたということだ。切り込みがあれば、その部分からドア・トリムは破壊されやすくなり、鋭利な断片を発生させにくいのだ。

つまり、切り込みによって衝撃による破壊をよりコントロールできるというメリットがある。しかし、それは量産仕様の設計には反映されていないのである。また、興味深いのは、不正の発覚後、改めて社内で量産仕様状態で実験したところ、いずれも法規をパスできる状態だったという。

俯瞰的に見れば、ドア・トリムに切り込み部を入れた方がより確実に安全であると思われるが、その切り込みが量産のドア・トリムの設計に反映されていない、という点に問題の核心があると考えられる。

不正対象車両は、トヨタのヤリス・エイティブ、アギヤ、ダイハツのポロデュア、アジア、そして開発中の未発売車の合計4車種で、いずれも各国での認証取得は2022年4月、5月、6月、11月、12月と集中しており、開発はもちろん、認証取得用の実験のスケジュールが極めてタイトであったことは十分予想される。

推測できるのは、内装設計部と実験部署との意思疎通が十分ではない、発売時期が決定しているので実験部が提案しても製造時の金型の変更まで行なうような設計変更ができない、2022年の販売開始時期が集中しており、各機種のタイミリミットが迫っているので実験部署としては1回の実験で確実にパスをさせたい・・・などであるが、真相は今後の第三者による調査の結果を待つしかない。

不正が行なわれて認証を取得し販売されたのは合計で8万8123台だが、この中ではトヨタ・ブランドのヤリス・エイティブが7万6289台で最多である。いずれも既に出荷停止の措置がとられている。

今回の不正発覚でのトップの緊急会見は、ダイハツは奥平総一郎社長が行なったのを始め、トヨタ側も豊田章男会長、佐藤恒治社長も緊急会見を行なった。

トヨタ・グループとしては、今回の問題は傘下の日野自動車におけるディーゼルエンジンの排気ガスの型式認証所得時の不正発覚(2022年3月)、豊田自動織機でのフォークリフト用エンジンの排出ガス試験不正発覚(2023年3月)に続く3度目の型式認証に係わる不正の発生となる。日野自動車や豊田自動織機の不正はいずれも排ガス試験での問題であったが、今回は安全法規に関する不正のため、ある意味で重大といえる。

いずれにしても、型式認証時の不正は社内に存在する様々な問題点に起因していることは、完成車検査の時と同様である。
今後、豊田章男会長がグループ全体のガバナンスを担当し問題の解決に当たるとしている。

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