トヨタは2019年8月6日、燃料電池バス「SORA(ソラ)にITS(高度道路交通システム)技術を搭載するなど、安全性、輸送力、速達・定時性を向上させた改良モデルを8月から発売すると発表した。
路線バスとして開発されたSORAは、稼働率が高く、常に高い安全性が求められることから、今回新たに交差点の右折時にドライバーへの注意喚起を促す機能や、ドライバーに急病などの異常が発生した際に、乗客が非常停止させられるシステムなどを搭載した。
また、公共交通手段として重要である輸送力の向上と速達・定時性の両立を目指し、バスが連続して走行する際に、車両間の情報を相互に共有し、信号やバス停での分断を防ぐ機能を搭載している。
安全性に関しては次のようなITS関連技術が搭載される。
【ITS、安全性】
●ITS Connect 路車間通信システム(DSSS : Driving Safety Support Systems)
道路の路側に配置された装置と車両の通信により取得した、対向車・歩行者情報、信号情報などを活用し、ドライバーに注意喚起を促す。
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- 右折時注意喚起:交差点での右折時に、対向直進車や右折先の歩行者を見落としている可能性がある場合に、注意喚起。
- 赤信号注意喚起:赤信号の交差点に近づいてもアクセルペダルを踏み続け、赤信号を見落としている可能性がある場合に、注意喚起。
- 赤信号減速支援:前方の交差点で赤信号で停止することが予測される場合、早めの減速を推奨。
- 信号待ち発進準備案内:発進の遅れを回避できるよう、赤信号の待ち時間目安を表示。
●ドライバー異常時対応システム(EDSS : Emergency Driving Stop System)
ドライバーに急病などの異常が発生した際、ドライバー本人あるいは乗客が非常ブレーキスイッチを押すことで減速して停止。立ち乗り・着席中の双方の乗客の安全性に配慮した、路線バスに適した制御としている。
また、減速開始と同時に、車内の乗客には赤色フラッシャーランプと音声アナウンスで非常時であることを伝達し、車外や周囲には、ホーンとストップランプ、ハザードランプの点滅で異常を知らせる。
●衝突警報
車両前方に搭載されたミリ波レーダーが、進路上の先行車や障害物との衝突の危険性を検出した場合、ドライバーに警報ブザー、モニター画面で警告する。路線バスでは、立ち乗りの乗客やシートベルトを締めていない乗客の安全性を踏まえ、ドライバーの運転操作による衝突回避を支援する。
【輸送力の向上・効率化】
輸送力の向上効と率化については次のようなITS技術が搭載される。
●ITS Connect車群情報提供サービス
車群を構成する車両、順序、車群長等の情報から、信号やバス停での車群の分断を防ぎ、輸送力の向上と速達・定時性の両立を支援する。
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- 車群認識機能:車車間通信とミリ波レーダーにより、区間ごとの最大車群台数の範囲内で、車群を構成する車両、順序、車群長などの情報を認識し、ドライバーに車群の台数を通知する。
- バス停発車可能情報:車群を構成する車両間で、客の乗降状況を把握。バス停からの同時発車を支援。
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●ITS Connect 通信利用型レーダークルーズコントロール
円滑な加減速を支援する全車速レーダークルーズコントロールを搭載。さらに先行車が通信利用型レーダークルーズコントロール対応車であれば、車車間通信により取得した先行車の加減速情報に素早く反応し、スムーズな追従を可能にする。バス専用道での車群走行時の車間距離の保持、後続車の速度安定を実現する。
【速達・定時性】
速達・定時性を高めるために、以下のようなITS技術を搭載する。
●ITS Connect電波型PTPS(車群対応機能付)
ITS専用無線で、青信号の延長や赤信号の短縮を路側装置に要求。車群走行時には、最後尾車両から青延長の要求を発信することで、赤信号により車群が分断されるリスクを低減する
またバリアフリーを向上させるために以下のような機能を設定。
●自動正着制御(オプション設定)
路面の誘導線をカメラが検知し、自動操舵と自動減速により、乗降場の所定位置にバス停から隙間を開けずに停車させ、車イスやベビーカーを利用する乗客の乗降性を向上させる。