トヨタの次世代モビリティ戦略 MaaSとコネクテッドの展開を考える

MaaSに対する取り組み

コネクテッド技術をベースにしたMaaS(サービスとしてのモビリティ)でトヨタは、外部企業との協業、トヨタ独自のサービス、販売店が主体となるサービスの3種類に分類している。

トヨタの次世代モビリティ戦略 MaaSとコネクテッドの展開を考える

1番目は、ウーバー(アメリカなど)、滴滴出行(ディディ:中国)、グラブ(シンガポール・東南アジアの配車&レンタカーサービス)、ゲーターラウンド(アメリカの大手カーシェアサービス)など地域の有力なサービス企業との連携。

2番めは最近発表された企業向けのフリートカーリース、個人向けシェアリングサービス、個人向けKINTO(サブスクリプション・サービス)だ。

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3番めは販売店が展開するカーシェアリング(Hui:ハワイでスタートし、北米に展開予定)だ。これらでは、保険、リース、車両メンテナンスなどをトヨタが担当することになるり、そこがトヨタとしてのビジネスのポイントになる。

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そのためにはMSPFがとても重要で、カーシェアサービス企業に属する車両の保険、リース、メンテナンスをトヨタが一括して担当することでWin Winの関係にしようというのだ。

このモデルケースとしてシンガポールのグラブ社と提携し1500台の規模でスタートを切っている。ここでは現地販売店に専用のシステムを構築し、事前メンテナンス、タブレットによる作業者への指示、標準作業化により稼働率を高めたり、保守整備費用の低減を実現させるという。このサービスはシンガポールから東南アジア全域に拡大させるとしている。

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またトヨタは、MaaS時代に求められるライドシェア向けのクルマも開発している。東京オリンピックから運用が開始される大型EVの「e-パレット」、2021年に登場予定の中長距離向けのハイブリッドカー「シエナ」、中短距離向けの小型EV「MaaS EV」などがラインアップされる。

トヨタはこれらMaaS車両の延長線上に自動運転車が登場すると想定している。ただ、自動運転車がそれほど早く必要になるとは想定していないようだ。

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ライドシェア用の大型EV「e-パレット」
ライドシェア用の大型EV「e-パレット」

そのため、レベル2〜レベル3のADSA装備車両に自動運転キット(ADK)を搭載することでレベル4のMaaS専用車両にするというアイデアを計画している。その特長としてADKと車両とのインターフェースの標準化、車両コントロールシステムの汎用化を構想しており、トヨタだけではなく他メーカー、サプライヤーとの相互乗り入れを想定しているのがユニークだ。

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TRIが開発中のADK装備の自動運転車
TRIが開発中のADK装備の自動運転車

この構想を実現するためにソフトバンクとの提携、ジェイクワッド ダイナミクス(【関連情報】デンソー、アイシン、ジェイテクト、アドヴィックスら4社合同で自動運転のためのソフトウェア開発会社設立:https://autoprove.net/supplier_news/aisin_aw/178805/)との連携があるのだ。

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このような次世代戦略を見ると、トヨタは販売台数の増大を目指すより、クルマを使用する、より幅広いサービスから収益を生み出すという本音が見えてくるが、グローバル規模の企業だけに、コネクテッド技術のより多くのクルマへの装備、コネクテッド技術を通したIoT、テレマティックスの展開も地域ごとに適合させることが求められ、また連携するMaaS企業と同床異夢に陥らないような施策が求められている。

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