トヨタ自動車とトヨタの欧州事業を統括するToyota Motor Europeは、水素利用の拡大に向け、ポルトガルでバスを製造・販売するカエタノ・バス社(CaetanoBus SA)に、燃料電池(Fuel Cell:以下FC)システムを供給する。
カエタノ・バス社は、2019年秋を目指して、FCスタックや高圧水素タンクなどを含むFCシステムを搭載した路線バスを開発・製造し、欧州で走行実証試験を開始する。
TMEのヨハン・ファンゼイル社長は「カエタノ・バス社へのFCシステムの提供は、低炭素社会の実現を目指す中、水素の優れた環境性能はもとより、水素の実用的な利活用を示しています。FCバスは、他のゼロ・エミッション バスと比べて、航続距離が長く、充填時間が短いのが特徴です。このことから、長距離、そして利用頻度が高い路線バスでの運用に適しています。長年のパートナーであるカエタノグループによる初めてのFCバスを、欧州に走らせることを楽しみにしています」と語っている。
カエタノ・バス社の親会社であるサルバドール・カエタノ社(以下カエタノ社)のホセ・ラモス(Jose Ramos)社長は「水素がゼロ・エミッション実現に向けた本命だと信じており、欧州で初めてトヨタの優れたFC技術を享受することを誇りに思います。これは、当社の世界トップクラスのバス開発・製造技術を確かなものとするよい機会だと考えています」と述べている。
カエタノ・バス社は、カエタノ社の商用車の開発・製造子会社として1946年より生産を開始し、近年は電気バスを開発、欧州各国に販売している。また、カエタノ社とトヨタは、1968年、商用車の欧州への供給拠点として「トヨタ・カエタノ・ポルトガル」を設立。長年にわたり構築した信頼関係に加え、バス開発・製造の実績を踏まえて、このたび、FCバスの分野でも協力することになった。
トヨタグループは、水素の持続的利用に向けて、乗用車に加え、大型トラック、小型トラック、フォークリフトやバスなどへのFC技術の幅広い応用も含めて技術開発・商品展開を推進している。欧州へのFCバスの走行実証試験という一歩を踏み出したトヨタ。今後の“低炭素社会の実現”に向け、どれだけ貢献できるか? 今後の動向・展開も注視していきたい。
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