一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation。以下TMF)は、2017年に創設した「水素社会構築に向けた革新研究助成」プログラムの2018年度の募集を開始する。
環境問題や資源の枯渇等、エネルギー問題への対処は人類にとって重要な課題となっており、様々な取り組みが続けられている。中でも、再生可能エネルギーと組み合わされたCO2フリー水素は有力な選択肢であり、水素社会構築に向けた研究開発、実証実験等が加速しているが、水素の製造、貯蔵・運搬、利用というサプライチェーンの全領域における革新的なコスト低減が求められている。
そこで、TMFでは技術革新によるCO2フリー水素の低コスト化の早期実現に向けた活動を支援するため、大学・公的研究機関等の水素・エネルギー関連有識者で構成する委員会を設立し、2017年には水素社会構築に向けた革新的な基礎研究を対象に、五年間に渡る公募プログラムを開始した。二年目となる2018年度は、対象となる研究分野を広げ、①水素製造、②水素貯蔵・運搬、③水素利用、④エネルギーシステム、⑤水素を活用した社会システム提案(新設)の5分野において、日本国内の大学、公的機関を対象に募集を実施する。
また、次世代の研究活動をリードする研究者の育成や、他分野の技術や知見の水素研究への応用促進も本プログラムの目的の一つであり、2017年度の採択者には、評価委員との継続的な意見交換を設け、研究内容への助言を行っている。
【プログラム概要】
・応募資格:
日本国内の学術機関・公的研究機関に所属する次世代を担う研究者
・助成金・件数:
1件当たりの上限は1,000万円で10〜20件程度。総額約1億円を目途。
・助成期間:
1〜3年(研究内容により決定)
・基本コンセプト:
水素の低炭素化・CO2フリー化、水素と水素システムの大幅な低コスト化に資すると考えられる研究
・公募分野:
①水素製造
②水素貯蔵・運搬
③水素利用
④エネルギーシステム
⑤水素を活用した社会システム提案(新設)
の5分野
・審査方法:
大学・公的研究機関等の水素・エネルギー関連有識者からなる評価委員会にて、革新性、アプローチの妥当性等を踏まえ、総合的な観点から審査を行う
【応募に関する詳細】
・応募要項(PDF)
・様式1 研究機関承認書(Word)
・様式2 研究計画書(Word)
・様式3 助成金計画書(Excel)
TMFは、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、タイやベトナム、インド、ブラジルでの交通手段の多様化や、日本の中山間地域における移動の不自由を解消するプロジェクトへの助成のほか、障害者向けの補装具開発を支援するアイデアコンテストの実施、人工知能による交通流最適化の共同研究など、世界のモビリティ分野における課題に取り組んでいる。今後も、トヨタの技術・安全・環境に関する専門知識を活用しながら、大学や政府、NPOや調査研究機関等と連携し、都市部の交通課題の解消、パーソナル・モビリティ活用の拡大、次世代モビリティ開発に資する研究などの取り組みをすすめていくという。