スバル 新型レガシィ アウトバック/B4 試乗記 本物指向のオトナのためのクルマ レポート:松本晴比古

マニアック評価vol309

スバル レガシィ アウトバック
大径タイヤ、地上高200mmとクロスオーバーのキャラクターを重視したアウトバック

新型レガシィが2014年10月末に発売された。新型レガシィはスポーツセダンのB4と、ステーションワゴンボディのクロスオーバー、アウトバックの2本立てという構成で登場した。発売から1ヶ月経過した11月末の受注台数は月販目標の3.6倍で、好調な滑り出しだ。

受注の67%はアウトバック、37%がB4という比率であるのが興味深い。日本ではステーションワゴンの市場は低迷しているが、スバル車の中ではクロスオーバーのアウトバックは別格ということだ。世間では新型レガシィのポジショニングがまだ浸透し切れていないので、まずはスバルの商品構成とポジショニングを確認しておきたい。

簡単に言えば、スバルは商品ラインアップのワイド化と階層化がこの新型レガシィの登場で完結するということだ。 軽自動車を別にすれば、スバルの中でのエントリークラスにインプレッサセダンG4とハッチバックのスポーツ、そしてクロスオーバーのXVがあり、この上の中間クラスに位置するのがSUVのフォレスター、3列シートのエクシーガ、スポーツクーペのBRZ、スポーツセダンのWRX、スポーツワゴンのレヴォーグがある。そしてレガシィのB4、アウトバックがフラッグシップという位置付けとなる。過去はインプレッサ、フォレスター、レガシィという3ブランドを柱としてきたスバルが、XV、レヴォーグなど新たなブランドを追加し、拡大と階層化を図ってきたわけである。

スバル 新型レガシィ

レガシィはアメリカでは、トヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、日産・アルティマ、フォード・フュージョンなどが割拠する超激戦であり、巨大なパイのミッドサイズ・クラスの中で、アウトバックが牽引役となり存在感を高めているのがレガシィということになる。

◆シャシーコンポーネンツ

新型レガシィのプラットフォームは従来型を改良したもので、フロント・ロアはクレードルフレーム(ゆりかご構造)を持つ。ただし、スバルの最新のボディ造りの技がたっぷり追加され、B4、アウトバックともに骨格のねじり剛性を大幅に向上させ、さらにタイヤからの入力に対する横剛性が大幅に高められているのが特徴だ。PCDを114.3mmに拡大しているのも横剛性を高めるためだ。

スバル 新型レガシィ
高剛性なフロント・シャシー
B4のトランク・リンク
B4のトランク・リンク
B4のリヤワイパー
B4のリヤワイパー

また世界的なトレンドに対応して、室内の静粛性の向上も図られている。今回はボディの各部やコンポーネンツごとにNVH向上プロジェクトチームを作り対策を行なったという。その成果の一つとして、フロントバルクヘッドには発泡ゴムタイプのインシュレーターを採用するなど、フラッグシップにふさわしい静粛性を求めている。

ボディサイズは、従来型より少し大型化しているが、その拡大分はエクステリアデザインの抑揚に使用され、ソリッド感のある筋肉質な印象を感じさせる。だが、過剰過ぎないデザインだ。またインテリアも華美ではなく上質さを追求した作り込みが行なわれている。

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グレードは、B4、アウトバックのいずれもベース仕様と上級仕様のリミテッドの2車種。エンジンは1スペックで、グローバルエンジンと位置付けられる自然吸気・水平対向4気筒・2.5LのFB25型。レギュラーガソリン仕様で175ps/235Nmという出力だ。トランスミッションはオートステップ変速制御を行なうリニアトロニックCVT。そしてアクティブトルクスプリット式AWDのみというシンプルな設定となっている。

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アウトバック標準グレードのインテリア

◆インプレッション

試乗はアウトバックがベースモデル、B4はリミテッドを選んだ。ベースモデルはアウトバック、B4ともに17インチサイズ、リミテッドが18インチサイズ。ダンパーがリミテッドのみスタブフレックスと呼ばれる非線形特性のダンパーとなる。その他は内外装の装備の違い程度だ。

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アウトバックは、クロスオーバーワゴンのパイオニアで、デザインだけではなく200mmの地上高、B4より大径の720mm径のタイヤ(B4は690mm径)、そしてこのモデルからは悪路走行専用のXモードを追加しており、オフロードでの走破性は並のSUVを上回り、これがアウトバックの大きな付加価値となっている。

走ってみると、地上高が高いが腰高感を感じさせず、上級ワゴンレベルの走りを見せる。アウトバックというキャラクターは、ライフスタイルにフィットしたツールという位置付けでもあるが、上級クラスのワゴンといえるだけの質感の高さも十分持ち合わせているのだ。もちろん、起毛カーペットを敷き詰めたラゲッジスペースの仕上げ、使い勝手の良さも卓越している。

スバル 新型レガシィ
B4 リミテッド。18インチタイヤ、スタブフレックス・ダンパーを装備

一方、B4セダンはスポーツセダンという位置付けて、ドライビングプレジャーを感じられる快適でスポーティな走りがテーマだ。ロードホールディング、ステアリングの操作に対してリニアに気持ちよく反応するボディの動きはストレスを感じさせず気持ちよい。

またセダンとしてのパッケージングのよさ、リヤシートの足元の広さやリ座り心地、後席からの視界のよさなども申し分ない。 些細なところだが、B4はいまやセダンで稀有な存在のリヤワイパーも装備している。また、リヤのトランクリッドはリンク式で、ダンパーも装備するなどディテールのこだわりも一級品指向であることがわかる。

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0.1m/秒付近で減衰力特性が切り替わる注目のスタブフレックス・ダンパーは、その効果がしっかりと体感できた。スタブフレックス・ダンパーは18インチタイヤとのセット装着だが、接地性、路面とのコンタクト感などの点でも、少し荒れた路面の乗り心地でも標準モデルより1クラス上だ。逆に言えば、標準モデルのダンパーは、少しフリクションが多い分だけ荒れた舗装路などではコツコツとした入力が伝わってくるのだ。乗り心地という点ではもう一皮向いて欲しいところだ。

スバル 新型レガシィ B4
B4 リミテッドのインテリア

新採用の電動パワーステアリングは、全般的にはインフォメーションも十分で素直な反応を見せるが、細部で言うと直進部分の締まり感と1~2cm操舵した時の落ち着き感があれば言うことなしなのだが。

もうひとつ、コーナリング時のロールモードがかなりフラットなことがユニークだ。一般的にはわずかに前下がりのロール軸に体がなじんでいるので、コーナリングスピードを少し速めた時にはちょっと違和感が感じられた。これは身体が馴染めば問題ないのだろう。

スバル 新型レガシィ B4 スバル 新型レガシィ B4

アウトバックもB4もボディの剛性感がもたらす安心感や安定感、巡航時の静粛性は、ドライバーのストレスを少なくし、カテゴリーでもトップレベルだ。開発コンセプトでもある長距離ドライブで、疲れない、飽きないというレベルの一つ上をいく、快適に楽しく運転を続けられる資質は高いといえる。もちろんAWDの効果もあり、天候の変化にも安心感がある。

スバル 新型レガシィ
アウトバック、B4に搭載されるFB25型。新型のためにほぼ新規開発といえるほど改良されている

175psのエンジンは、レガシィというクルマに対してベースエンジンとしてはジャストマッチだろう。低速から扱いやすく、自然吸気の水平対向エンジンならではの滑らかさがあり、市街地から高速道路での巡航まで不満を感じることはなかった。

リニアトロニックCVTはアダプティブ制御が導入され、アクセル開度が30%以下ではCVT変速が行なわれ、それ以上踏み込むとステップ変速に移行するようになっている。当然、アクセル開度が大きいスポーツドライビングではATのような変速フィーリングを味わうことができる。また3モードのSI-Driveも備えているので、ドライバーの気分に合わせた走りが楽しめる。

スバル 新型レガシィ

新型レガシィは静粛さ、フラットな乗り心地、走りの気持ちよさといったバランスがよく、さらに他車にはないアイサイトver3という強力なドライバー支援システムを備えているので、誰でもロングドライブを楽しめる仕上がりといえるし、室内の仕上げ、質感も所有した時に満足感を得ることだろう。

動力性能も含め、新型レガシィのある特定の部分が突出していない、全体のバランスのよさは大きな魅力の一つで、クルマをよく知っている人を誘う魅力となっている。 しかし、もはやレガシィのクルマ作りや走りのコンセプトはプレミアムカーの領域に近いところにあるのも事実で、実際に走りの隠れターゲットはアウディA4、A6やBMWなのだと思う。そう考えると、走りのテイストやインテリアのデザインにスバル独自のエモーショナルな主張やメッセージ性をもう少し盛り込んで欲しいという気もした。

レガシィ アウトバック 諸元表
レガィ B4 諸元表

レガシィ B4  アウトバック 価格表

スバル公式サイト

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