SUPER GT2024 第6戦 SUGO300kmレース SUBARU BRZ GT300 5位入賞を果たすまで 

スーパーGT第6戦SUGOが宮城県村田町のスポーツランドSUGOで開催された。第5戦は台風10号の影響で12月7日(土)、8日(日)に延期され、このレースは第6戦だが実質5戦目となる。したがって、シーズンのちょうど半分を終えたところで、これから後半戦に突入のタイミングとなる。

SUBARU BRZ GT300の今季は、さまざまなことが噛み合わず、ここまでチームポイントはわずか3ポイントで最下位に沈んでいる。後半戦に向けて心機一転、常に上位フィニッシュができる劇的なシーズンになることを期待しているファンは多い。

序章

そのSUGOは真夏の猛暑から一転して秋風が吹き、気温は16度前後のやや肌寒い季節に一気に進んだ。そして元台風14号はUターンし秋雨前線を刺激。東北地方を豪雨が襲う大荒れの天気だった。

公式練習、予選がある土曜日の天気は朝から雨。チームがこの荒れた天候に思うことは、公式練習のタイムがそのまま予選タイムになることを想定。セットアップをしつつも早めにタイムを出す指示をしている。

ドライバーはいつものように山内英輝がステアリングを握り、レインタイヤの選定をしつつジオメトリーの確認をする。

一方、マシンにおいては、GTAからの指示でスキッドブロックを+3mm厚くする指示が出ており、それに伴って車高が上がっている。これはGT300全車に適応するものだが、その意味はGT300のラップタイムを落とすためとしている。従来、ウエイトを搭載することで速度を落とす方向だったが、ウエイトがどんどん重くなるとタイヤやブレーキなど、さまざまな箇所に負担がかかり、アクシデントを引き起こしかねないため、車高を上げるという方法に変更されているのだ。

前触れ

じつは、この情報は事前にGT300チームに通達されており、7月のエントラント協会によるSUGO公式テストはこの条件を踏まえてテストが行われていたのだ。その時の天候はドライだったが、車高が高くなったBRZ GT300は常に上位タイムを計測しており、不安を抱えることはなかった。

土曜日の公式練習ではヘビーレイン用と通常のレインの2タイプを持ち込んでいるが、トレッドパターンは全く同じなので、外見からは区別できない。しかしドライバーのコメントから、ヘビーレイン用しか使えないほど雨は激しいということだった。

そうした中で山内は全体2番手のタイムをマーク。雨量が減ると全車がタイムアップするので、BRZ GT300も都度タイムアップをしていく。最初にポジション2位を獲得した時は1分32秒970だったが、周回を重ね、終了間際では1分29秒956と3秒も速くなったがポジションは変わらず2位をキープした。

この公式練習では合計6回の赤旗中断があり、多くのマシンがクラッシュ、コースアウトをしている。途中、山内もスピンをしているが幸いコース上に留まったため、何事にもならずタイム計測は継続できている。そして前年のチャンピオンマシン#52埼玉グリーンブレイブも豪雨の餌食となり、ガードレールにヒット。部品調達の問題からこのSUGO大会はリタイヤという判断を下しているのだ。

想定どおり

豪雨は続き、午後から行なわれる予選は中止となった。そのためグリッドをどのように決定するかは即座に判定されず、概ね公式練習のタイムでグリッドが決まりそうという噂で土曜日の走行を終えていた。結局、公式通知はその日の夕方に「公式練習で記録したベストラップ順に、各クラスのスタート順とする」と通達された。

迎えた日曜日の決勝。グリッドは2番手。天候は雨。スタート進行は30分のディレイ。そして1時間のディレイののち、決勝レースは始まった。

コースコンディションは小雨になっているとはいえ、レインタイヤ以外は難しいコンディション。#18と#4はスリックでスタートし、ギャンブルに出ている。BRZ GT300はヘビーレインではない通常のレインタイヤを採用した。

フロントローからスタートする井口は、トップ#20シェイドレーシングのGR86を狙う。序盤、雨量の少ない路面で、どのメーカーのタイヤがマッチするのか? #20はミシュランを装着。3位は#777のアストンマーティンGT3でダンロップ。4位が#7 BMW M4 GT3はミシュラン、そして5位#45フェラーリ296もミシュランで、6位以下はダンロップ勢が占めており、ミシュランとの一騎打ちの様相だ。

レインVSスリック

スタート直後、井口はトップを襲うが後続のGT3勢も速い。4周目あたりになると一気にGT3勢が勢いを増し、井口は飲み込まれ5番手まで下がる。快調に#20がトップを走行していたが、なんと右リアのタイヤが外れるアクシデントが襲い、敢えなくリタイヤしている。

トップは#45フェラーリ296、#7BMW M4 #777アストンマーティンが競い22周目、井口は4番手にいる。井口のタイムは1分30秒台。後続マシンの中でスリックを履いたマシンは34秒台だ。しかしそこから2ラップした24周目になるとスリックが31秒台に入ってきた。そろそろスリックとレインが逆転する路面コンディションになりつつあるようだ。

このタイミングの見極めは難しい。どのチームも判断に迷いがあるようだ。そして33周目4位を走る井口をピットに入れ山内と交代し、タイヤはスリックに交換して送り出した。34周目、ピットを済ませたチームの中ではトップにたった。もちろん、先行していたトップ3台がルーチンを済ませコースに戻れば4位に戻ってしまうかもしれない。

山内はアウトラップも飛ばし、その翌周1分27秒台のタイムを出す。レインは31秒台だ。これを見た各チームは一斉にピットへ入りスリックへ交換する。トップを走る#45フェラーリはレインのまま引っ張る。順位は目まぐるしく入れ替わり、正確なポジションを掴みづらい。

なぜここに?

少なくとも3位、4位を走っているはずだが、順位が落ち着いてくると、山内の前にはブリヂストンを履く#65LEON AMG GT3、ヨコハマの#9メルセデスAMG GT3、そしてヨコハマ#87ランボルギーニGT3がいる。さらにトップの#45フェラーリ296、#7BMW M4 GT3、#777アストンマーティンもいて結局7番手というポジションだったのだ。

山内自身も「なんでこのポジション?」と感じたようだが、事実は事実。山内は目の前の#87ランボルギーニGT3を撃破すべくシフトチェンジし猛追した。48周目、山内は#87を捉え5番手に浮上。その後60周目あたりまでは前の#7BMW M4 GT3とほぼ同等のラップタイムで走っているが、63周目にはそのギャップが大きく広がった。タイヤのパフォーマンスが落ちてきている。

最後の10周は一度引き離した#87からの追撃を気にするようにポジションキープへと変わっていった。山内はマシンを労るように、強い負荷がかからないようにしながらポジションをキープし5位フィニッシュを迎えた。

まずまず

レース後、井口は「狙えるポジションからのスタートだったので、悔しい結果です。でもみんなが頑張ってひとつになってようやく出せた結果なので、それは喜んでいいと思います」と。また山内も「悔しさが先に来て。。。不甲斐ないというか。。。でもようやく出せた結果なのでチームのみんなには感謝です。でもトップをとりに行くにはまだまだ、足りないものがありますね」

小澤正弘総監督も「実力を出し切れるレースがようやくできました。5位の結果はとてもいいです。どうしても、こうしたコンディションだと大排気量のマシンにはコーナー立ち上がりで置いて行かれてしまうので、難しいレースでした」

BRZ GT300のドライバーランキングは13位に浮上。チームランキングも17位となり、中盤まで挽回できた。次は10月19日(土)、20日(日)大分県日田市のオートポリスで第7戦3Hoursレースが行われる。ここでもビッグポイントはマスト条件とし劇的なシーズンに期待したい。

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スバル/STI Motorsport通信
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