【日産 フェアレディZ 試乗記】走りだけではない。想像以上に快適な乗り心地(9AT/スタッドレス)

日産・フェアレディZに試乗してきた。2021年8月に北米で発表され、翌22年7月に日産のテストコース陸別でプロトタイプに試乗した。そして今回、ATモデルを公道で試乗することができた。

試乗モデルはフェアレディZ Version ST(9AT)

Zは発売当初から販売台数が限られていて、抽選方式になるなど話題?課題?になったが、現在も受注が再開されていない。そのため、欲しい人にはストレスが溜まる一方なのだが、その理由を調べていくと、どうやら、製造工場に問題があるようだ。

ボディカラーはセイランブルー/スーパーブラック 2トーン

詳しくは後ほどお伝えするとして、まずは公道で感じたZの素顔をお伝えしよう。試乗車はVersion STの9速ATモデル。ボディサイズは全長4380mm、全幅1845mm、全高1315mm、ホイールベース2550mmで、全高の低さが際立つディテールだ。そして貸し出しタイミングが悪く、装着タイヤがスタッドレスだった。そのため、期待するスポーティなドライブフィールは難しく、快適な乗り心地が目立つ試乗となった。

とは言ってもスタッドレスタイヤを装着するケースは普通にあると思うので、言い換えればレアケースを体験できたと前向きに考えたい。

そのタイヤのおかげか、非常に乗り心地が良く静かで、滑らかに走れる。ルックスからは想像以上の乗り心地の良さなのだ。だから走るばかりがZではない、という一面を見ることができた。確かに日産商品企画の田村氏も「ダンスパートナー」と形容しているように、優雅にそしてきびきびと動く様は他に類を見ないクルマだと思う。

Version STはレイズ製19インチアルミホイールが標準装備

調子に乗ってスポーツモードにし、アクセルを踏み込んでみるとV6型3.0Lターボエンジンのパワーはいとも簡単にタイヤを捻れさせる。フル加速から車速の伸びを味わい強めのブレーキングではスタッドレスの限界を超え捻れながら減速する。ということで、さすがにスタッドレスではZの高いレベルのダイナミック性能は難しいので、アクセルを強く踏み込むことなく250km程度の試乗を終えたのだ。

ただ、ワインディングを一般車両と一緒に走行しているときでも、ステア応答の良さや確かさ、回頭性の気持ちよさは味わえ、しかもエンジン音は静かに抑えられていため、ルックスからは想像を超える乗り心地となるわけ。

ハンドリングの良さは北海道・陸別にある日産のテスココースで180km/hからの操舵などのレポートをしているので、そちらを参考にして欲しい。

関連記事:新型「フェアレディZ」陸別テストコース試乗記
https://autoprove.net/japanese-car/nissan/fairlady-Z/209749/

その大パワーを発揮するエンジンはVR30DDTTでスカイライン400Rのエンジンの改良タイプを搭載し、405ps/475Nmを発揮する。また急発進加速の性能を極限まで高めるローンチ・コントロールを装備している。もちろん、今回は試していない。

プラットフォームは従来のZ43型系をキャリーオーバーして、大幅に改良を加えてシャシー性能、運動性能を向上させている。唯一前型のプラットフォームと感じさせるのが、シートポジションの高さだけだ。

エクステリアはロングノーズ、ショートデッキというスポーツカーらしいデザインで初代フェアレディZ(S30型)や歴代のZのディテールを活かしたデザインは郷愁と新鮮を感じる。そして羨望という感情も湧いてくるデザインだ。

3連メーター、9インチワイドディスプレイ、エアコンスイッチが縦積みされたレイアウト

インテリアで目を惹くのはダッシュボード上にある3連メーターで、歴代のフェアレディZを知る人には「これぞZ」と唸らせるアイテムでもある。ちなみに最新の3連メーターにはブースト計、ターボ回転計、電圧計となっていて、ここもヘリテージ感のある仕様だ。

一方でメーターパネルは12.3インチのカラーディスプレイになっていて、ドライバーの好みに合わせて3つのモードで表示変更できるようになっている。このあたりは現代にアジャストさせた仕様というわけだ。

さて、冒頭でお伝えした生産遅れの件だが、栃木工場で生産されている日産アリアやフェアレディ Zは、半導体不足による影響や新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞の影響により生産に大きな影響が出ているという。ここまではある程度想像がつくが、その割に、他のモデルは多少の生産遅れはあるものの、生産は行われている。街中でもサクラを見かけるようにはなっているわけだし。

じつはこの栃木工場は最先端の生産技術を投入した日産自慢の工場なのだが、塗装工程や組み立て工程において、高い品質を狙った能力向上設備がうまく稼働できていない様子なのだ。つまり、ロボット技術だと想像するが、そうした制御プログラムに課題があるのか、商品品質を維持するに至らないというのが本当のところではないだろうか。

だから、栃木工場はnissan intelligent factroyという別称を持ち、最先端であるが故の課題を抱えているというわけだ。しかし、いずれは解決するだろうし、フェアレディZの受注も再開されるはずなので、Zファンにはもう少し我慢が必要そうだ。

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