【日産】新型エルグランドは静かで乗り心地がいい“日産車の味”を持つプレミアムミニバンだ

2025年11月のジャパンモビリティショーでワールドプレミアされた新型エルグランドがいよいよ登場する。その正式発表の前に、最終版プロトタイプに試乗することができたので、早速お伝えしていこう。

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新型エルグランドは2026年4月の「日産長期ビジョン」でGrowth=成長モデルに位置付けていると説明された。日産は今後、モデルの役割を明確化することで、日産車らしさに磨きをかけていくとし、「ハートビートモデル」、「コアモデル」、そして「成長モデル」の3カテゴリーに分類していた。

成長モデルとは、今後日産の柱となるポジションに成長させることを意味し、軽EVのサクラとエルグランドがその役割を担うというわけだ。

それだけ期待を背負ったエルグランドはプラットフォームを一新し、ボディサイズを拡大、第3世代のe-POWERを搭載、極上の乗り心地、進化したAWD制御を備えて登場した。新たに誕生したエルグランドは、日産自ら「プレミアムミニバン」に位置付けているのだ。

3つの柱が表現する“日産らしさ”

新型エルグランドの技術的柱は「e-POWER」「e-4ORCE」そして「Intelligent Dynamic suspension」の3つの柱で「日産らしさ」を表現するという意味だ。

ボディサイズやパワーユニットの詳細等は公開されていないが、テストコースでは新世代に進化していることが十分に伝わる出来栄えだった。とくに乗り心地に関しては「日産車の味」になっていた。それは現行リーフ(第3世代)から、乗り心地の味付け方が変わり、ソフトでありながら直進の安定性が高くどっしり感が伝わり、そしてロールは大きいものの初期ロールが小さいので、ロールの大きさを感じさせないといった独特の乗り味になっているのだ。

日本車の多くはモデルごとに味付けしているため、メーカー色というよりモデル色が色濃く存在しているが、日産車の乗り心地は、今後、多くのモデルに共通した乗り心地に変わっていくと想像できる。背景には電動化による技術進化ということができる。

その乗り心地はドライブモードでも変化する。6つのドライブモードがあり、連続可変ダンパーを装備したエルグランドはモードにより3つセットを使い分けている。コンフォートがもっともソフトで、スタンダード、エコ、スノーがややしっかり目、そしてスポーツがハードでクイックとなっているが、いずれも、ベースとなる乗り心地は前述したように、ゆったりとしてソフトに感じるが、その度合いが変化するもので、いきなりスポーツカーのようになるという変化ではない。そこが絶賛できるポイントで「日産らしさ」がどのモードでも活かされているのが、素晴らしい。

付随してレーンチェンジやうねりのある路面での振動の収束の素早さもいい。コンフォートを選ぶと揺れが続くなんてことは一切ない。スポーツモードの時より柔らかいのに、うねった路面を走ると同じようにピタッと揺れが収まるのは見事だ。

ひとつ気になる点として、6つのドライブモードは市場ニーズに合っているのか、という点だ。フォルクスワーゲン系には、すでにAUTOモードがあり、アクセルの踏み方を解析して最適な走りを提供するという姿勢であり、ドライバーがセレクトするのは、限られた場面にシフトしているからだ。価値提供の難しい領域であり、グローバルモデルなので、なおさら難しい判断になると思う。

第三世代のe-POWERはまるでEVのような静粛性

そして第3世代のe-POWERを搭載し5 in 1のユニットで駆動しているが、これがまるでEVのように静かだ。アクセルペダルをベタ踏みしない限り、エンジンの存在には気づかないほど高い静粛性を保っている。吸音材や制振材などの最適配置は言うまでもないが、アクティブノイズコントロールも進化し、より幅広い周波数帯に対応できるようになったため、圧倒的な静粛性があるのだ。

じつは、素の状態でもかなり高い静粛性があり、フロアからの音やウインドウからの風切り音などが抑えられている。特にフロントウインドウ、フロント両サイド、リヤウインドウには遮音ガラスが採用されているが、ここにもさらなるこだわりがある。

通常の遮音ガラスには2枚のガラスの間に樹脂幕をラミネートして遮音しているが、ある一定の周波数帯はすり抜けてしまうというのだ。そこでこのエルグランドには、そのある一定の周波数=コインシデンス周波数を通さないガラスを採用しているのだ。とくにその技術を持つガラスメーカーは数が少ないというので、サプライヤーは不明だが、中国の福耀集団(Fuyao Group)が急速に成長しており、採用しているのかもしれない。

またフロントウインドウは、硬い板ガラスをイメージするが、じつは「しなり」があり、そのしなりによっても風圧のいなしがあり、風切り音を抑えていると言うのだ。

乗り心地や走りに安心感をもたらす4WD制御

e-4ORCEの4WD制御も進化していた。これは乗り心地にも連動するのだが、カーブに差し掛かると、ブレーキを踏みゆっくりとロールが始まる。外側のダンパーの減衰力が高まりボディを支え、アクセルを踏むとリヤ駆動力がボディを押し、安定感のあるコーナリングを感じる。

アクセルを踏むとリヤ荷重が増えるのが顕著にわかるので、非常に安心感が高くなる。しかも外側のダンパーの減衰力は高まり、サスペンションの踏ん張りがあるのでロールは気にならない。さらに、コーナー出口でアクセルを踏み増しすると、内輪のブレーキをつまみ、旋回性を上げる制御になっているのだ。だから、スポーツカーのようにとは言わないが、背の高いドライビングポジションでありながら、意のままに旋回させることができるミニバンと言える。

つまり、リーフはEVであり、エルグランドはシリーズHEVでエンジンを搭載している。しかし乗り心地は同じベクトルにできたのは、モータの制御、ダンパーの制御、電動パワーステアリング制御などによって作られている。広い意味からすれば、感覚を数値化したモデルをつくることで、日産らしいAIDVやSDVの領域に繋がる新しい技術への取り組みであることが伝わってくるのだ。

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