2013年9月7日、恒例の「メディ対抗ロードスター4時間耐久レース」が筑波サーキットで開催された。近年は、当社ではラジオ番組「The Motor Weekly」から出場していたが、今回は本サイト、「Auto Prove」からも出場する運びとなった。つまり、従来からの「The Motor Weekly」(車番1)と「Auto Prove」(車番2)という2カーエントリーである。
このレースはマツダが所有するほぼ市販状態でダンパーを車高調整式にし、ロールケージを装備したレース仕様車を使用し車両は毎年持ち越しになるため、「The Motor Weekly」(車番1)は昨年と同様のベースが量産試作の歴戦のお疲れマシン、「Auto Prove」(車番2)はそれよりは使用履歴が少ないクルマとなったが、こちらはカラーリングなしの状態であるため、レースに合わせてカッティングシートによりカラーリングを行っている。「The Motor Weekly」(車番1)はオレンジ色のストライプであるため、反対色でブルーも考えたが、はブルーを使用するチームが多いため、あえてグリーンを選んだ。
ドライバーは、五十嵐光男氏、香取文明氏、菅野大介氏、西山猛氏というアマチュアドライバーと、お助けドライバーとして井出有治氏を起用した。
レースの概要は、合計90Lのガソリンで4時間を走破し、各ドライバーの持ち時間は50分以下(ただし井出選手のようなお助けドライバーは40分以下で1回のみ)、合計走行時間は96分以下、というもの。2012年のレースではトップは188周、つまり389.16kmを走っている。燃費は単純計算では4.3km/Lとなるが、これはゴール地点でガソリンゼロという非現実的な状態、それ以前の10周以上はガス欠状態で走行になりエアを吸い込む恐れもあるので、実際には4.6km/L以上の燃費が求められる。もし、天候が良い場合はさらに周回数が増えることも予想され、今年あたりは190周に到達するかも。その場合には4.6km/Lでも厳しくなるのだ。各チームがどれくらいの燃費とラップタイムを狙っているのだろうか?
昨年の実績データでは「The Motor Weekly」(車番1)の周回数は186周(トップから2周遅れ)であったが、燃費4.6km/Lレベルを維持して終盤を迎えたにもかかわらず170周あたりで燃料警告灯が点灯し、大幅なペースダウンを強いられている。そんなわけで4.7km/L以上の燃費でなければまともにゴールを迎えられないと見た。なお、ここでいう燃費は燃費マネージャーという燃費計での話である。
予選は井出選手が担当。1分10秒340を記録し、予選10番手となった。もちろん4時間レースで予選ポジションはあまり重要ではないのだが、予選タイムは各チームのクルマのコンディションを見ることができる。20台以上の参加車の中で1分9秒台を出しているクルマ5台ほどはかなり車両のコンディションがよく、当然ながら燃費面でも有利だ。
さて、天候は珍しく曇りで、予選時には小雨もぱらついたほど。しかし、けっきょくその後は雨も降らず、曇りのままで、気温も例年よりかなり涼しかった。気温が低いということは燃費、タイヤにとって有利な条件であり、周回数が伸びると予想できる。
レースは午後4時にスタートした。1番手のドライバーは菅野氏にお願いし、以後は五十嵐氏、香取氏、西山氏、そして最後の40分は井出選手がスパートをかけるという目論見だ。20Lの給油は香取氏が乗り込む前と、西山氏が乗り込む前に行った。
レースが動いたのは序盤だった。ドライバーを香取氏にチェンジした直後に、最終コーナー出口で1台がコースアウトし、スポンジバリアがコース上に散乱した。当然セーフティカーが導入され修復が行われるのだが、黄旗のままなぜかなかなかセーフティカーが入らず、ようやくセーフティカーが入っても修復作業が遅く、超スローペースのままで8周、20分近くも周回することになった。
このセーフティカーの時間にレースは動いた。序盤に飛ばしたチームは予定を早めて燃料補給を行った。燃料補給時は3分間の停止が義務付けられるので、このスローペース時に消化してしまおうというわけだ。燃費的にはぎりぎり20Lが入る計算だ。しかし、この時点ではたっぷり燃費を稼いでいる我々には20Lのガソリン補給は無理だった。
その後は心配した雨も降らず、コースは夕闇に包まれる。各チームとも2回目の燃料補給で大きく順位が変わる。また気温が下がり、コンディションがよくなるにつれラップタイムも上がってくる。香取氏の後を受け継いで西山氏が、そしてアンカーとして井出選手がステアリングを握り、ペースアップ。そしてまたまたドラマで起きる。
「The Motor Weekly」(車番1)は168周で早くも燃料警告ランプが点灯したというのだ。つまり昨年より早く燃料警告灯が点灯し、以後は大幅なペースダウンを強いられる。最後は走行中に燃料ラインにエアを吸い込みエンジンが停止したが奇跡的にエンジンが再始動したという。おまけに、その時点でトップを走っていたチームの某ドライバーがピットに怒鳴り込んで来るというハプニングも。顔を真っ赤にして興奮し切っている。コース上で思うように抜けなかったので血が上ってしまったようだ。速いクルマなのだからすんなり抜けばいいのに・・・
井出選手がペースを上げ「Auto Prove」(車番2)は予選を上回るラップタイムで追い上げる。だが、井出選手の持ち時間は40分しかないので10番手までポジションを上げたところでゴールとなった。燃費計では、「The Motor Weekly」(車番1)をやや上回るといったところだったが大差がないはずなのにガソリンは約10L残り、「The Motor Weekly」(車番1)ははるか手前でガス欠になっている点が腑に落ちない。なので改めて当日の、限られたデータで再計算してみると、どうやら「The Motor Weekly」(車番1)は燃費計の表示は10%以上狂っており、一方の「Auto Prove」(車番2)はほぼ正確に表示していることが分かったのだ。考えてみると、「The Motor Weekly」(車番1)の燃費計は10年以上も使用しており、キャリブレーションを実行したことがないようだ。逆に「Auto Prove」(車番2)の燃費計は使用履歴が少なく、誤差があったとしてもその誤差の累積はほとんどないということになる。
結果的には燃費計に踊らされてしまったわけだが、それ以外でも4輪のタイヤの空気圧のチューニングなど、細かい、根本的なところをようやく把握できた気がする。来年はどたばたしない参戦記にしたいものだ。