新型マツダ・プレマシー3代目を発表


7月1日、マツダの小型ミニバン、3代目プレマシーが発表された。プレマシーはミニバンではあるがワゴンの要素も加えた多目的新ファミリーカーという位置付けで、開発のキーワードは『魅了するデザイン』『考え抜かれた機能性』『環境への優しさ』『上質で気持ちよい走り』の4点である。

環境への対応するアイドルストップエンジン搭載

新型プレマシーのプラットフォームはフォードC1をベースとし、海外ではマツダ5の名称で、アクセラ(マツダ3)につぐグローバル戦略車種である。日本向けにはVD型2.0Lエンジンのみの設定で、海外では1.8L、2.0L、2.3Lのガソリン、2.0Lディーゼルというラインアップがある。
一方、トランスミッションは、日本向けは5速ATのみ。海外モデルでは6速マニュアルの設定もある。

駆動方式はFFがメインで、8月に4WDモデルが追加される。
搭載されるVD型エンジンは、直噴DOHCエンジンで、最廉価版以外はアイドルストップ機構を装備する。アイドルストップ機構装備車は、アクセラ、ビアンテに続いて3番目である。なお、これまでのアイドルストップ装着車の販売動向によれば、アクセラで約30%、ビアンテは47%がアイドルストップを選んでいるという。
燃費向上、特に実用燃費をアップするアイドリングストップは、エンジン停止時に所定の位置にピストンを停止させる専用エンジン制御し、メインとサブの2個のバッテリーを装備することで、エンジン停止中の電力不足を補っている。このバッテリーには充電制御システムが装備され、バッテリーの充電状態が良好であれば、加速時は発電/充電しないようになっている。
そして、マツダのロードマップでは、次のステップとしてブレーキ電気回生に進むとしており、エンジン出力は150ps、186Nm。可変バルブタイミング機構を装備するという。

自信のボディ・デザイン

新型プレマシーのハイライトのひとつは「NAGAREN(流れ)」デザインを本格採用したことだろう。NAGAREデザインは、マツダのデザイン表現として決定され、すでにアクセラなどにも採用されているが、全面的な採用はプレマシーが最初となるのだ。
その個性的なデザインは、フォード・ヨーロッパからマツダのデザイン部長になったバン・デン・アッカー氏が自然の中の風や水の流れをモチーフにした「NAGARE」デザインを確立・推進してきた。日本の自動車メーカーで、このようなコーポレイト・デザイン・コンセプトを明確にしているのは異例であり貴重だ。なお、2009年春にバン・デン・アッカー氏はマツダを離れ、現在はルノーのコーポレートデザイン担当・副社長に就任している。

5角形の大きな笑う顔付きのフロントグリルなど、マツダのアイデンティティを取り入れながら、プレマシー全体を水の塊とし、前端からリヤエンドまで水の流れを表現。サイドマーカーは川の中に突き出した岩を表現し、岩によって流れの波紋が広がりボディサイドのプレスラインが表現され、リヤのコンビランプまでつながっている。

ミニバンではボディ全体が平板になりやすいが、プレマシーはダイナミックで立体感を重視したのだ。このためボディサイドには大胆なインバースした複数のプレス加工が加えられている。もちろん生産面でも、販売店での補修面でも新たな挑戦だったと思われるが、補修面では従来基準に収められたという。

欧州市場ではこれくらいの存在感が求められているに違いないが、日本で受け入れられるかの動向は微妙なところだろう。

そのボディは、フロント・ドア、リヤ両側スライドドア(両側電動、または左側電動はオプション)、バックドアを持ち、プロポーションは、空力を意識したもので、特にルーフはミニバンとしては異例なほど後方に向かってスロープダウンしている。

またボンネットや床下の空力処理も入念で、cd=0.30の実現は立派だ。この空力重視からもプレマシーはヨーロッパ市場を強く意識していることがわかる。

ボディサイズは、全長4585mm、全幅1750mm、全高1615mm、ホイルベース2565mm。3列シートを備えた7名(2/3/2)乗車だが、2列目シートは2名乗車が現実的だろう。

インテリアの機能性は、両側スライドドアやシートアレンジ、収納スペースの充実など相当に煮詰められているが、インテリアの質感はやや不十分というレベルだ。
シート生地やパネル類は汚れにくい、あるいは、汚れを落としやすい材質を採用し、家族で乗るクルマをテーマにすると、質感という部分が行き届かなくなるという結果なのだろう。
上質で気持ちのよい走りの演出
走りの開発テーマは統一感のあるリニアなドライビングフィールの追及で、つまりアクセル、ブレーキ、ステアリングの操作に対応して、ロールやピッチをリニアに反応させ、エンジンやブレーキもドライバーの意志にリニアに応答するように心がけたという。
ミニバンは、その車高の高さから、ロール速度が不均一だったり、ステアリングの応答遅れなどが顕著だったりするケースは多い。欧州市場からの指摘もあって、こうした基本性能の熟成を重視したのだろう。つまり走りの質感を高めたわけである。なお、シャシーやステアリング、ブレーキなどのコンポーネンツはヨーロッパ・フォード製で、パワーステアリングは電動油圧式になっている。

文:松本晴比古

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