2014年9月に発売して以来1年3ヶ月が経過したデミオに小規模な改良が加えられ、2015年12月に2016年モデルとして発表された。この改良モデルはガソリンエンジン搭載モデルが2016年1月15日に発売、ディーゼルエンジン搭載モデルは1月22日から発売されたが、早速レポートしてみよう。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
今回の改良は他のマツダ車と同様にマイナーチェンジとは呼ばず、コモンアーキテクチャー戦略により、ユニットが改良されると、商品力を高めるために随時各モデルに展開されるというランニングチェンジの一環だ。そして、デミオの改良点は、同タイミングで改良を受けたCX-3に採用された技術とオーバーラップしている。
まずディーゼルエンジンは、ディーゼル特有のノック音を低減するナチュラル・サウンド・スムーザーをXDツーリング、XDツーリングL Package、特別仕様車 XDブラック レザー リミテッドに採用している。
そしてDE精密過給制御と名付けられた、軽負荷域での緩やかなアクセル踏み込み操作に対してディーゼルエンジンがリニアに反応するようなECU制御を採用。これは軽負荷での緩加速時の燃料噴射料を増やしているのだという。
ガソリンエンジンの13Sツーリング以上のグレードには、ディーゼル車と同様にトノカバー、フロントウインドガラスに遮音ガラスを採用し静粛性を向上。
ガソリン車、ディーゼル車共通の改良点は、電動パワーステアリングの操舵初期のステアリング・フィーリングを改善している。
細部では、グレード/オプション別装備としてシャークフィンアンテナ、シートヒーターなどの装備を追加している。シャークフィンアンテナはベースの13C、13S、XD以外のグレードに装備されるので、これが改良モデルの外観上の識別点となっている。
グレード展開では、ガソリンエンジン1.3L搭載モデルに新グレード「13Sツーリング」を追加設定。さらに13Sツーリング L Package、XDツーリングL Packageに特別仕様車「ブラック レザー リミテッド」を設定している。ちなみにこのブラック レザー リミテッドは、2015年4月に発売した2種類の特別仕様車である13S L Package、XDツーリング L Packageをベースにした「ミッド・センチュリー」、13S、XDをベースにした「アーバン・スタイリッシュ・モード」など「スタイルコレクション」コンセプトの特別仕様車シリーズの第3弾となる。今回はインテリアにブラックレザーをテーマとし、より上質に、一クラス上の仕上げとしている。
◆XDツーリング 試乗レポート
試乗はディーゼルのXDツーリングのステアリングを握った。注目の改良点であるDE精密過給制御の効果だが、旧型と乗り比べると市街地では明らかに軽くアクセルを踏み込んだときの反応がよくなっており、ドライバーとしては加速の応答がよく、アクセルの踏み込みに対してリニアに加速してくれ、ディーゼルのもたつき感が消えている。
実は同様の改良を受けたCX-3にも今回より先に試乗しているが、CX-3よりもっとはっきりと違いが分かり、フィーリングもデミオのほうが好ましい。これはやはり車両重量がCX-3より約100kgも軽いデミオならではというべきだろう。
パワーステアリングは、これまではニュートラル部からの微小な操舵に対してややフリクション感があったのを解消し、さらに操舵だけではなく操舵反力を微増させているということだが、操舵フィーリングは明らかに改善している。すっきりとした操舵フィールと、操舵に対するフィードバック感があり、デミオが属するBセグメントの日本車の中でもトップレベルのフィーリングとなったと思う。
なおディーゼル車とガソリン車では前軸荷重が約100kg違い、当然ながらより軽量なガソリン車のほうが市街地でのハンドリングの軽快さは一枚上だが、加速での力強さはディーゼルが上回るので、どちらを選ぶかは依然として悩ましいというのが正直なところだ。
◆15MB 試乗レポート
今回は、2015年9月に追加設定された「15MB」にも短時間ながら試乗することができた。15MBはモータースポーツ用ベース車で、ジムカーナやラリーへ参戦するために設定されているが、もちろん市販状態ではモータースポーツ用のパーツが装備されているわけではないので、ごく普通に乗ることができるモデルだ。
この15MBがなかなかマニアックな存在なのは、6速MT仕様というだけではなく、搭載エンジンが日本国内向けではないP5-VPS型「SKYACTIV-G 1.5」が搭載されていること、フロントブレーキのディスクローター径が1サイズアップされていることだ。
通常のデミオはP3-VPS型1.3Lエンジンだが、このP5-VPS型1.5Lのヨーロッパ向けで、燃料はハイオクタン、圧縮比14.0で、4-2-1等長エキゾーストも装備している。したがって出力も116ps/148Nmで、普通の1.3Lよりパワーは+24ps、トルクは+27Nmも大きいのだ。
装備はベースグレードの13Cに準じているが、インテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)のティーチング機能(スコア)、タコメーター、ステアリング・オーディオリモートコントロールスイッチ、15インチ軽量アルミホイールが15MBの独自装備だ。
また16インチアルミホイール、6:4分割可倒式リヤシートバック、ダークティンテッドガラス(リヤドア/リヤゲート)、CDプレーヤーをセットにした「ユーティリティパッケージ」、195/55R16+16インチアルミホイールがメーカーオプション設定されており、モータースポーツではなくロードカーとして使うのはまったく支障がない。
市街地を走らせて見ると、当然ながら加速、レスポンスなど1.3Lのデミオを上回る小気味よさが味わえ、現在では希少な小排気量・自然吸気のスポーティモデルだと感じた。価格は150万円で、なんと13Sに+4.2万円、13Sツーリングより18万円安いのだから値打ち感がある。デミオにはスポーティなイメージは希薄だが、15MBはスポーティさが感じられる面白いモデルだ。
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