「え?マツダが?」という試乗会の案内をもらった。内容は「オフロード試乗会」である。マツダ車のイメージにオフロード走行はほとんどない。CXシリーズはSUVではあるけど、オフロード走行を目的とはせずアーバンライフな、オンロード中心のスタイリッシュSUV、あるいはクロスオーバーという位置付けだ。そのCXシリーズでのオフロード試乗会をやるというので参加をしてきた。
高まるニーズ
事の経緯は北米市場でのニーズだと思う。試乗前の事前説明でもSUVに対する悪路走破性を求める声は年々高まっていることと、北米ではオンロードとオフロードの混在が一般的で、いわゆる大都会からほんの少し離れただけですぐにオフロードが現れる。だから自然とオフロードでの走行性能を求める声が高まってきていると説明していた。
そこで、今回機能追加したのが商品改良のタイミングに合わせて、「オフロード・トラクション・アシスト」という機能を追加した。これは悪路走破性の底上げというより、スタックした時の脱出用機能の意味合いが強い。もちろん、スタックしそうな状況の時には、このオフロード・トラクション・アシストのスイッチはONの状態のほうが走破力は高くなるという機能だ。
CXシリーズに
このオフロード・トラクション・アシストの搭載モデルはCX-30、CX-5、CX-8の3機種。オフロード走行では悪路を通過できる十分な地上最低高が必要であり、十分なサスペンションストロークも必要。さらに、トラクションコントロール機能の3点が組み合わさって、悪路の走破性が高まると考えている。
ちなみにCX-30の地上最低高は170mmで、CX-5は210mm、CX-8は200mmという高さを持っている。最近オフロードイメージもあり人気の高まっているトヨタRAV4の最低地上高は200mmなので、実はCX-5はアーバンスタイルと言われているが、RAV4よりも最低地上高は高く、オフロード走破性は期待できるわけだ。ちなみにレンジローバー・イヴォークはCX-5と同じ210mmとなっている。
走行テスト
試乗コースはオフロード専用のクローズドコースで、林間コースから、急登坂、モーグルなどがコース上に設定されているコース。三菱エクリプスクロスやスズキ・ジムニーの試乗会でも同じ場所が使用されていたコースだ。
装着するタイヤは、もちろん通常の標準装着タイヤでオフロード用に履き替えてはいない。狙いはオンロード性能を維持したまま、オフロードも走行しようという試乗会だ。
今回の新機能は、低速時のオフロード走行に特化した制御モードを選択可能としているのがポイントだ。だから、スタックしてしまうような極悪路での低速の走行をサポートし、AWD全体の性能は従来のままなのだ。
だから、言い換えれば、「CX-5やCX-8はノーマルで、ここまで悪路を走破できるんだ」という印象が率直な感想だった。
特に急登坂路では、視覚的に「大丈夫なの?」という急坂道をノーマルタイヤで、AWDのスイッチがあるわけでもなく、オンロードを走行していた状態のままオフロードの急登坂路を登ってしまう。もちろん、林間コースも含め特別なセクション以外は、オンロード走行と同じ状態で、すべての周回コースを走破することができた。
そしてモーグル・セクションでは唯一、スタックさせることができた。対角線上の2輪が空転する状況が作れ、マッディな路面はツルツルにすべり、接地しているタイヤもスリップする状況だ。そこで、今回追加されたオフロード・トラクション・アシストのスイッチを押すと、徐々にタイヤがグリップし始め、スタック状態から抜け出せるのだ。