マツダ CX-3試乗 デミオベースのSUVにも宿る ラインアップ共通のマツダらしさと個性

マニアック評価vol332

マツダCX3 試乗記 012
コンパクトSUVのマツダCX-3にいち早く試乗してみた

マツダにとって初のコンパクトクロスオーバーとなるCX-3を試乗してきた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

CX-3は先に発売されているデミオをベースに開発したモデルで、エンジンはディーゼルターボだけで、ミッションに6MTと6ATを用意。そしてFFとAWDという組み合わせになっている。CX-3の詳細に関してはこちらの記事を参照していただきたい。

新型CX-3の見た目はSUV、クロスーバーというルックスをしているが1550mmの全高で、機械式駐車場にも入庫可能なサイズで、大都市で使いやすいサイズだ。CX-3の追加で、デミオ、アクセラ、アテンザ、CX-3、CX-5と、ハッチバック、ステーションワゴン、クロスオーバーとマツダのラインアップが揃ったことになる。ちなみにCX-3のサイズは全長4275mm×全幅1765mm×全高1550mm、ホイールベース2570mm。エンジンは1.5Lディーゼルターボで105ps/270Nm というスペックになっている。

マツダCX3 試乗記 002試乗してすぐに感じたことは、どのマツダのモデルに試乗しても「マツダのクルマだ」という世界観ができつつあるということだ。走りだしてステアすると、どのモデルでも同じように感じられ、BMWの3シリーズでもXシリーズでも「乗るとBMWだ」という世界観に向かって開発されていると感じる。

おおまかには、そうしたイメージで統一されてきているが、もちろん車種ごとに細かな部分ではもちろん違いや個性がある。新型CX-3に乗り込み小ぶりのシートに座る。フロントシートはデミオと共通で、リヤシートはCX-3専用になっている。リヤシートは車高が上がった関係でウレタンの厚みを稼げたり、フレームの逃げの形状が違ったりするためで、結果的にはデミオよりCX-3のほうが座り心地のよいリヤシートになっている。フロントは共通のためデミオと同等で、やはり座面長がもう少し欲しいのと、シートバックの肩周りの接触感ももう一声といったところだ。あまり包まれ感があるのも肩周りの動きが窮屈に感じるので、バランスの難しいところでもあるのだが…。また座面の傾斜角が任意に変えられる機能も必要と感じたが、これは300万円という価格帯を考えると標準装備してもいいのではないだろうか。

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ペダル位置やシートポジションでは、マツダの強いこだわりがある部分であり、違和感なく真っ直ぐに座れるし、アクセルペダルの位置もいい。運転席からの視界ではボンネット裏が覗けてしまうので、ここは少し工夫がほしい。そしてナビモニターの位置がやはり、少し手前に感じる。これはCX-3以外のマツダ車でも同様に感じた部分で、BMWと比較すると視線移動距離が大きいと感じる。

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少し手前に感じたナビのモニター位置。視線の移動量が大きいのが若干気になった

ハンドル本体は細めで操舵力も軽い。ターゲットユーザーに合わせてのセッティングだと思う。ただ、ハンドル周りの取り付け剛性が低く、タイヤに対する外乱をダイレクトに感じやすい。路面インフォメーションは必要だが、すべてが必要なわけではなく、ここの剛性を上げるとボディ剛性があがったように感じるのではないだろうか。

エンジンはディーゼルターボのみの投入で1.5LのスカイアクティブDだ。エンジン音も静かで高速巡航時も気にならない。今回はとくにナチュラルサウンドスムーザーを搭載するエンジンもあり、より静かになる。ただ、乗り比べてみると、音質が高音か低音かの違いは分かるが、静かになったのか?というとよくわからないというのが正直な感想。高音のディーゼル特有のガラガラ音がなく低音になっているという印象だ。また、ATモデルではアクセルをほんの少し開けた時のレスポンスがイマイチな印象で、MTとの差があるように思う。

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国内はディーゼルオンリーの展開。ナチュラル・サウンド・スムーザーはメーカーオプション
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ハンドリングではニュートラルな特性をベースに、Gがかかると良く曲がり運転が楽しく、そして思い通り、期待通りに曲がる。アクセラやデミオに共通するリヤブッシュのチューニングだろう。しかし車高があがったためか、やや過敏かもしれない。特に低速域でリヤの落ち着きがアクセラとは違うように感じる。

ハンドルのセンターはこれまでは座りを出す方向だったと思うが、CX-3ではあまり強くしていないようだ。切り始めにハンドルの切りにくさを感じさせないためだろう。自然とハンドルが切れるので好ましかった。

乗り心地ではある速度域でピッチングを感じた。CX-5にも共通する傾向で、車速では80km/hから100km/hの高速域で、ピストンスピードが遅く8Hz付近の太ももの裏で感じる振動だ。また、助手席のフロアパネルに振動が出る場面もあった。路面の影響が強くあるところだが、他モデルではもう少し振動は小さいので、対応を望みたい。

シートの座り心地がこれまでの日本車やドイツ車にはない、沈み込んでからバランスするタイプなので、非常に好ましく、ボディやサスペンション由来の乗り心地をカバーしているようにも感じる。全体的に揺れるという印象があるが、どの試乗車も2000km未満の走行距離でサスペンションのあたりが出ていないからなのかもしれない。その辺りは機会を改めて試乗し、レポートしたいと思う。


マツダCX3 試乗記 017
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