世界で戦う日本の「マツダ3」デビュー 第2世代の魂動デザイン&スカイアクティブ技術の幕開け

第2ステージの魂動デザイン

今回発表の最大のハイライトが第2ステージとなる魂動デザイン表現だろう。マツダ3のデザインの原型は、2017年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「魁(KAI)コンセプト」だ。「魁(KAI)コンセプト」と今回のマツダ3を見比べてみると、コンセプトカーを素直に量産モデルに落とし込んでいることがわかる。

魂動デザインの出発点「マツダ靭(シナリ)」
魂動デザインの出発点「マツダ靭(シナリ)」

マツダの魂動デザインは、2011年に発表されたコンセプトカー「マツダ靭(シナリ)」に端を発し、2012年のCX-5から量産モデルに投入されている。「マツダ靭(シナリ)」で明らかなように、動物の持つ躍動感、筋肉の動きのもたらすダイナミック感をメインテーマに表現したデザインであることはよく知られている。

しかし第2ステージの魂動デザインは、「魂動」というテーマは継承しながら新たなデザインの境地を追求し、大きく方向を変えている。ダイナミックな躍動感から、日本の美意識を礎とした「新たなエレガンス」の表現に変わっているのだ。

この日本の美意識に従った「エレガンス」とは、控えめでありながら豊かな美しさを持つことを意味するという。凛とした印象の中にもゆとりや間があり艶がある。これ見よがしに主張するものではなく、繊細なバランスの上の美しさを表現するという。

第2ステージの魂動デザインを象徴するビジョン・クーペ
第2ステージの魂動デザインを象徴するビジョン・クーペ

そもそも魂動デザインはダイナミックな躍動感を表現するために後方に向かって流れるようなアッパーボディと、盛り上がったフロント・フェンダーからリヤに繋がる動的な面構成を組み合わせていた。

それが今回からはこうした盛り上がるような面構成を止め、リフレクション(反射光)、光の動きで生命観を表現したいということなのだ。そのため、面積の大きなボディサイド面にはキャラクターラインや面の張り出しを抑え、ボディサイドのショルダー部から下方に向かってわずかにインバース(内凹み)形状としている。そのため光の当たり具合によってはのっぺら坊に見えるが、外景が映り込むことで立体感が浮き上がってくるというデザイン表現になっているのだ。

このデザイン表現は、すでにコンセプトカーの「ビジョン RX」、「ビジョン クーペ」で採用されており、日本的なプレミアム・デザインの表現として生み出されている。

日本のプレミアムデザイン

マツダ3の基本フォルムは、逆スラントノーズ、ロングノーズ、キャビン・バックワード(後退)、スモールキャビンを組み合わせている。Aピラー位置を通常より後退させ、Aピラー付け根とフロント・ホイールとの距離を可能な限り長めに取ることで、伸びやかでエレガントなフォルムを生み出している。

逆スラントノーズ
逆スラントノーズ
前輪のホイールセンターとAピラー付け根の距離、Cピラーの面積と後方絞り込み
前輪のホイールセンターとAピラー付け根の距離、Cピラーの面積と後方絞り込み

キャビン部を後退させるとリヤのボリューム感が増大しやすいが、それを避けるためにCピラーの面積を異例なほど広くし、さらにCピラー部は後方に向かって強い絞り込みが加えられている。さらにリヤウインドウの取付角度も鋭角化させ、クーペのようなハッチバックとしている。ハッチバックの大胆なデザイン表現に比べると、セダンはトランク部とのバランスを取っているため、ハッチバックほど強いデザイン表現にはなっていない。
マツダ3

マツダの魂動デザインは、日本の自動車メーカーとして初のブランド・デザインをベースにした統一デザインとしてアピールされ、その練り込まれた造形は大いに評価されたが、日本的な美意識を訴求する第2ステージの魂動デザインは、グローバルでどのように評価されるのか興味深い。

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