マツダは2018年10月2日、2017年に発表した長期ビジョン「サスティナブルZoom-Zoom2030」の具体的なソリューションとして電動化とコネクティビティの技術戦略を都内で発表した。
2030年には電動化100%を実現
プレゼンテーションは、丸本明CEOと研究開発担当の藤原清志副社長が行なった。今後の見通しでは2030年時点で、マイルドハイブリッドやハイブリッド、EVなど電動化技術を採用した内燃エンジン搭載車両が52%で、純EV、FCVが10%程度、その他は純粋な内燃エンジン搭載車になると見ている。
そして2010年時点との比較で2030年のWell to Wheelでの企業平均CO2排出量を50%低減させることを目標とする。この目標に向かい、マツダは2030年にはハイブリッド、マイルドハイブリッドを幅広く投入し、内燃エンジン+電動化された車両を95%とし、残る5%はバッテリーを搭載したEV、レンジエクステンダーEVとし、生産するクルマの電動化100%を達成するとしている。
もちろん、ハイブリッド、マイルドハイブリッド技術はすでに既存の技術で、第2世代のパワーユニットと組み合わせて採用する計画だ。
バッテリーEV、ロータリーエンジン搭載のレンジエクステンダーEVを独自開発
こうした2030年時点の目標を達成するために、マツダは独自開発のEVを2020年から商品化する。ここでいうEVとはバッテリーによって駆動する純EVと、EVの航続距離の不安に対応した内燃エンジンを搭載したレンジエクステンダー(航続距離伸延タイプ)EVの2種類をラインアップするというのだ。
興味深いことにマツダはすでにトヨタと電動化要素技術開発会社「EV C.A. Spirit」で協業しているが、ここで実現する技術は2020年以降に商品化を開始する予定で、今回発表したEV、レンジエクステンダーEVはマツダの独自開発ということだ。つまり「EV C.A. Spirit」での成果を待つことなく、マツダはEVシステムの開発に着手しており、2019年夏にはプロトタイプが完成する予定だという。
そしてバッテリーEVとレンジエクステンダーEVの2本立て開発とするのは、やはり本音ではバッテリーEVでは航続距離や充電に時間がかかることなどから、使い勝手に難があると考え、燃料タンク容量、バッテリーの電力容量を変えることでシリーズ・ハイブリッドやPHEVとしても展開できるレンジエクステンダーEVを本命としているのだ。
そしてレンジエクステンダーEVに搭載される発電用エンジンに、マツダならではのロータリーエンジンの搭載を決定した。実はロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVを搭載した「デミオ プロトタイプ」、EVのプロトタイプは2013年時点で完成しており、当サイトでも掲載している。
※関連記事:【マツダ】発電用にロータリーエンジンを採用した「レンジエクステンダー」プロトタイプを公表
このプロトタイプも、EVをベースにロータリーエンジンを搭載してレンジエクステンダーEVとしており、今回の発表と符合する。ロータリーエンジンが選ばれたのは、レシプロ・エンジンに比べコンパクトで搭載性が良いこと、振動・騒音が低いことが理由だ。
ちなみにプロトタイプに搭載されたロータリーエンジンは330ccのシングルローター/ペリフェラル吸気ポート/サイド排気ポート式で、30ps/4500rpmというスペックだった。なお、今回の発表時点では、レンジエクステンダーEVのバリエーションとしてのPHEVやシリーズ・ハイブリッドは構想段階とのことだった。
またこのEV、レンジエクステンダーEVはマツダ独自のGベクタリングコントロールはアクセル・オンだけではなくオフ時にも回生ブレーキ力を利用し、よりリニアで安定性の高い操縦安定性を追求するという。
コネクティビティ
マツダとしてもインターネット常時接続によるコネクティビティ戦略を重視しているが、このサーバーなどのインフラ、通信モジュール、OSなどはトヨタのコネクト技術、常時接続インフラと共用する計画で、マツダはアプリケーション、ソフトウェアの開発を独自に行なうとしている。