2017年5月25日〜28日、ドイツ・ニュルブルクリンクブルを舞台に、恒例のニュルブルクリンク24時間耐久レースが開催された。総合優勝を争うのは、ドイツメーカーが送り出したGT3クラスのマシン達で、チェッカーフラッグが振られる直前までハイレベルの接戦を繰り広げた。
■GT3マシンの戦い
ニュルブルクリンク24時間レースは、これまで時代の流れの中でさまざな車両が登場したが、ここ数年はメルセデス、アウディ、BMWのGT3規格のマシンによる戦いになっている。これらのトップチームはワークスチームではないものの、それぞれのメーカーのサポートを受けたハイレベルのマシン同士の戦いとなっている。
2017年はアウディが王座奪回を目指し、アウディR8 LMSの改良型を投入。レースの火蓋が切られると、4台のアウディR8 LMSが上位を独占し、BMW M6 GT3、メルセデスの新型AMG GT3を押さえ込んだ。
レースが経過するにつれ、アウディR8 LMSの何台かは脱落していったが、最後まで残ったR8 LMSの9号車と29号車、そしてBMW M6 GT3の96号車が同ラップで接戦を続けた。予想外の晴天、高温の中でのレースだったが、やはり最後にドラマは待っていた。レース終了30分前に、ニュルブルクリンク北コース部に突然雨がやってきた。
タイヤを交換するか、そのままドライタイヤで走り続けるか? チームごとに判断が別れたが、その時点で3番手のアウディR8 LMS 29号車が素早くオールウェザータイヤに交換をした。濡れたスリックタイヤで苦闘するM6 GT3 96号車を抜き返し、トップでチェッカーフラッグを受けたのだ。こうしてアウディR8 LMSは参戦5年目で4度目の優勝を遂げた。
■ファルケン・モータースポーツ
ワークスチームのサポートを受けるポルシェ911GT3 R、BMW M6 GT3の2台を擁するファルケンは総合優勝を狙って出場したが、期待の911GT3 Rはレース中盤で他車と接触してリタイヤとなり、BMW M6 GT3が総合8位で完走した。
■スバル WRX STI
3年連続でSP3Tクラス優勝を狙うSTIチームのWRX STIは、予選から狙い通りのラップタイムを達成できず、苦しい展開となった。チームとしては9分を切るラップタイムを狙っていたが及ばす、9分05秒に終わった。
また、同クラスのトヨタGAZOOレーシングのレクサスRCがたたき出した9分2秒に届かず3番手に。クラストップは、アウディ・カスタマーレーシングのアウディTT RS2が8分56秒という圧倒的な速さを発揮した。
決勝レースでスバルWRX STIはアウディTT RS2、レクサスRCに続く3番手をキープ。レース後半に、レクサスRCが軽い接触事故で遅れたため2番手に浮上したが、レース終了まで3時間の時点で、エンジンルームから発火、炎上してストップ、リタイヤした。
WRX STIとしては初のメカトラブルによるリタイヤを経験することになった。火災の原因はオイル漏れと考えられるが、マシンの仕上げそのものに大きな課題を残した結果となっている。
■トヨタGAZOOレーシング レクサスRC
ニュルブルクリンク24時間レースのために、2017年仕様のレクサスRCは2016年12月にシェイクダウンテストを行なって、その後2ヶ月間の走り込みをやっている。前年はテストが十分に行なえなかったことの反省から、今回は十分に事前テストを行ない、満を持して現地入りした。
エンジンは内部部品の改良、吸排気系の見直しや新型タービンの採用などにより出力を向上。また、過去2年の課題であった熱対策も加えている。また、ATを含めた駆動系は、エンジン出力アップに対応するハードウェア変更に加え、ニュルブルクリンク24時間レースを上回る時間の耐久評価も実施している。この結果、3月に行なわれたニュルブルクリンクVNLレースでは8分56秒を記録していたが、本番でのラップタイムはアウディTT RS2に及ばなかった。
決勝レースでは、レクサスRCは日が暮れる前に他車と接触し、フロントバンパーやボディサイドの修復を行ない、その結果WRX STIに抜かれてしまった。が、WRX STIも他車と接触し、再び順位をおとした。レクサスRCは今回、燃費とパワーを両立させたこと、エンジン、トランスミッションの信頼性が高められたことなど、トラブルは皆無で安定した走りに終始した。
その結果、レクサスRCはレース終盤の雨で、タイヤ交換の判断を誤ったが、追撃してくるクルマはなかったため、アウディTT RS2に次ぐクラス2位でレースを終えることができた。
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