2015年2月10日、今シーズンからF1グランプリにエンジンサプライヤーとして復帰するホンダが、東京・青山の本社ビル1Fにて記者会見を実施した。記者会見にはマクラーレンのロン・デニスCEO、ドライバーのジェンソン・バトン、フェルナンド・アロンソが出席した。
会見の冒頭でホンダ伊東孝紳社長は「グランプリ復帰を宣言した2013年5月から約2年が経ち、3月13日からのグランプリ開幕戦(オーストラリア・決勝15日)に向けて準備が進んでいます。2月1日から行なわれたヘレスのテストでは、多くの課題が見つかりました。現在、開幕戦でいい結果が残せるように、パワーユニットの仕上げに入っているところです」と挨拶。
今回のF1復帰の意味については「現在のF1はハイブリッドなどスピードだけでなく環境テクノロジーも重視されています。ホンダではハイブリッドはエコだけではない、との思いがあり、現代のF1と合致するものでした。環境テクノロジーの挑戦には市販車へのフィードバックなど、大きな意味があると考えています。またもうひとつは世界最高峰の舞台で技術力はもちろん、プロフェッショナルな人材を育成して、さらなる高みを目指していきたい」と語った。
マクラーレン代表のロン・デニスCEOは「マクラーレンとホンダは1988年に16戦中15勝という、F1史上で最も成功したシーズンをともに過ごすことができました。2015年からのチャレンジはライバルたちが1年先をいっている状況で、とても大変なものになっています。テストでは確かに期待したほどスムーズにプログラムを消化できたわけではありませんでしたが、パワープラントや空力のデータ収集を行なえました。いきなり頂上に立つことは難しく、今は頂上に行くための登山準備の段階です。それでも我々の目標はまずは勝つこと、そしてチャンピオンシップを近い将来獲得することです。1988年のシーズンを再現できる日がくることを願っています」と語った。
ホンダF1プロジェクト総責任者の新井康久氏(本田技術研究所専務執行役員)は「(2月1日から行なわれた)ヘレスのテストでは様々なトラブルが出ました。タイトなパッケージなので冷却系が厳しく熱害のトラブルが出たり、ERシステムの冷却問題などがありました。すべて原因はつかめており、今はそれらを解決しながら2回目のテスト(2月19日~カタルニア)の準備をしているところです」と語る。ホンダF1の目標として以前「メルセデスといきなり対等なところで戦いたい」と述べていたが、テストでの不調を受けても「レースに参戦する以上、トップチーム(メルセデス)を目標にしないと意味がない」と、揺るぎない姿勢も見せた。
マクラーレン・ホンダのドライバー、アロンソとバトンはそれぞれ次のように語っている。
「初日にテストをしてなかなかチャレンジングなプロジェクトであると感じた。ホンダファミリーの一員となれて嬉しく、アドレナリンが湧いているのを感じている」(アロンソ)。「ホンダと再び仕事ができるのはうれしいこと。マクラーレン・ホンダという名前は80年代に、自分も憧れたチームだった。テストは改善点を見つけるものだから、今は2回目のテストに向けて、そしてそこでさらに改善を行ない、開幕戦ではいい結果を残したい」(バトン)。
9月に開催される日本グランプリ(鈴鹿)に向けては、「9月はとても楽しみなことで110%の力を出して日本のファンを喜ばせたい」(アロンソ)、「日本という土地は自分にとってホンダ、そして妻のこともあり特別なレースになる」(バトン)と抱負を語ったが、「でもまずは開幕戦だ」と、3月13~15日の開幕戦オーストラリアに向けて気持ちを切り替えていた。