【フォルクスワーゲン】電気駆動の戦略モデル「eモーション」がいよいよ国内上陸

フォルクスワーゲンのEVの先鋒となるゴルフ ブルー eモーション(EV)が日本に上陸した。ゴルフ ブルーeモーションは型式認証を受け、ナンバー登録が行われ日本での公道を走行することになる。VWが推進している「Think Blue.」の活動の一環として、ゴルフ ブルーeモーションの体験試乗ツアーを2012年5月19日から6月24日の週末に全国4ヶ所で開催。このクルマは、日本の自然環境を象徴する「滝」をテーマに環境と共存する考え方を啓蒙するとともに、ユーザー向けにゴルフ ブルーeモーションの体験試乗を行うために使用される。

VWゴルフ・ブルーeモーションの画像VWゴルフ・ブルーeモーションの画像
↑2010年上海eワークショップでのゴルフ ブルーeモーション。エンジンルームのディテールが異なる

ゴルフ ブルーeモーションは、近年では2010年6月に上海で「E-ワークショップ」で紹介されている。VWの名称である「eモーション」、つまり電動化プロジェクトは以前から推進されており、現在ではゴルフ以外にup!、ビートルでも電気駆動車を開発。ヨーロッパでは2013年に市販を開始し、EV元年とする計画になっている。

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今回登場したゴルフ ブルーeモーションは、2010年6月に上海で公開されたモデルよりさらに進化し、市販前提モデルそのものだ。

リチウムイオン電池はセンタートンネル、リヤシートの下方、ラゲッジフロアの下方の3ヶ所にレイアウトされている。電池の電圧は324V、電力容量は26.5kWhで、日産リーフ(24kWh)より少し容量が大きい。電池は独立したエアクーラーにより、電池格納容器内の温度が一定以上に上がらないように冷却されるという空冷システムを持っている。電池の総重量は315kg。電池の配置が最適化されているため、ラゲッジ容量はノーマル・ゴルフの350Lよりや少ないが275Lが確保されている。

前輪を駆動するモーターは永久磁石同期型で、最高出力は85kW(115ps)、定格出力50kW(68ps)、最大トルクは270Nm。トランスミッション/デファレンシャルと一体化されるこのモーターは重量80kgときわめて軽量に仕上げられている。モーター出力は日産リーフとほぼ同等であることも興味深い。

航続距離は欧州ドライビングモードで150kmと、ヨーロッパでの日常の通勤走行距離を完全にカバーしているだけでなく、配達業務用としても十分な航続距離を持っている。

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電池の充電は、フロントグリルのVWエンブレム部か、フューエルリッド内にある充電コネクターに充電ケーブルを挿入して行う。充電コネクターは、ドイツ・アメリカ規格のコンポ・コネクターだが、基本的に家庭用の200V電源で充電することを想定している。もちろん日本導入時には日本仕様の電源、CHAdeMO規格アダプターが採用されるだろう。

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電費、エネルギー効率を向上させるため空力特性も改良され、ゴルフ ブルーeモーションのエアロダイナミックスはCd=0.295を達成。

パワーに十分な余裕が与えられ最高速は135km/h、しかも走行中のエネルギー消費を抑えている。ゴルフ ブルーeモーションは、Dレンジで走行中にアクセル(より正確には電力ペダル)をオフにすると無動力走行、いわゆる「セイリング」をするようになっており、交通状況を読みながら運転しているドライバーが、ペダルから足を離す度にモーターの回転トルクがゼロになるよう制御され、最少の抵抗で惰性走行する。

Bレンジ、あるいはパドルでシフトダウンと同様の操作をすると、モーターは減速回生、つまりブレーキ力を発生しながら発電して減速エネルギーを回収する。その一方で、追い越しなどを速やかに完了するだけの十分な動力性能も備え、0-100km/h加速は11.8秒というスペックを持っている。

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ゴルフ ブルーeモーションはタコメーターの代わりに、ドライブ用のkWゲージによって、電力ペダルを踏むことで要求されるエネルギーの量を、常時確認することができる。その結果、ドライバーは消費エネルギーを減らすように心掛けるわけだ。

この丸型のメーターには、航続距離計も内蔵されており、これまで通りその右側に置かれたスピードメーターの中には、バッテリーの充電状態を示す小さなゲージも設置。メーターパネル内のもうひとつの新しいアイテムは、kWゲージとスピードメーターのあいだのマルチファンクションディスプレイ(MFD)で、エネルギー回生のレベル表示を行う。

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ドライバーはシフトレバーか、ステアリングホイールにあるパドルにより、エネルギー回生(いわゆる回生ブレーキ)の効きを4 段階(DからD3まで)の範囲で、任意に設定することができるのも興味深い。「D」のモードでは回生を行わず、B3(Bモード)がもっとも強い回生ブレーキ力が得られる。これらをドライバーが自分の意思で選択できるところがVWならではといえ、凝ったつくりといえる。

さらにドライビングモードをあらかじめ設定して、航続距離、快適性、走りの3つの要素のうち、どれにプライオリティを置くかを選択することができるようになっている。

選択されたモードに応じて、モーターのパワー、エアコンの容量、最高速、エネルギー回生のプログラムなどが調整されるのだ。モードは「ノーマル」「エコ」「レンジ」の3つで、「ノーマル」を選択すると、85kWのフルパワーまで発揮されるが、「エコ」を選択した場合にはパワーは70kWに制限される。さらに「レンジ」を選択すると、走行距離優先モードになり、パワーは40kWに抑えられ、エアコンが停止する。

315kgものリチウムイオン電池を搭載しているにもかかわらず車両重量は1545kgに仕上げられ、TDIエンジンとDSGを搭載した市販のゴルフTDIブルーモーションと比べても、205kgの重量増に収まっている。

なおこのゴルフ ブルーeモーションは、2013年中にヨーロッパで発売が開始される計画になっているが、日本への導入は2014年以降になる見通しだ。これらの真意、VWのブルーモーション戦略、特に電気駆動によるeモーション戦略については、電気駆動担当のVWグループ執行役員、ルドルフ・クレープス博士によりプレゼンテーションが行われたので、別項で改めて紹介しよう。

ゴルフ ブルーeモーション主要諸元
●全長4199mm×全幅1786mm×全高1480mm ホイールベース2578mm ●車両重1545kg ●モーター 永久磁石式同期モーター ●最大出力85kw(115ps)定格出力50kW(68ps) 最大トルク270Nm  ●トランスミッション 1速 ●航続距離150km(欧州モード) ●性能 最高速135km/h 0-100km/h加速 11.8秒 ●電池 リチウムイオン電池 26.5kWh 電圧324V

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