2016年7月13日、ルノー・ジャポンは3代目となる新型トゥインゴを正式に発表した。発売は2ヵ月後の9月15日から。ルノー・ジャポンは、この新型トゥインゴを、「トゥインゴ パリ」をキャッチフレーズにして日本でアピールするという。
■やっと来る3代目トゥインゴ
3代目となるAセグメントのコンパクト・シティカー、トゥインゴは2014年3月のジュネーブショーでベールを脱いだ。そして5月からルノー・スロベニアのノボメスト工場で生産が開始され、ヨーロッパ市場では2014年9月から販売が開始された。一方日本では2015年10月の東京モーターショーで初披露だった。
しかし、それからさらに11ヶ月を経て日本市場でようやく販売されることになった。これだけ時間を要した理由は、日本仕様として右ハンドル、EDC(エフィシェント・デュアルクラッチ)という組み合わせを選んだからだ。
■ルノー、ダイムラー・スマートとの共同開発車
ルノーは第3世代となるトゥインゴの開発に当り、ブランド・コンセプトのサイクル・オブ・ライフをテーマにパッケージングの検討を行ない、リヤ・エンジン、つまりRR駆動方式を採用することにした。またこの開発は、2010年に業務提携を結び、ダイムラー・スマートとの共同開発が決定し、このプロジェクトは「プロジェクト・エジソン」と名付けられた。生産はルノーのスロベニア工場で行なう。
共同開発プロジェクトではあるが、スマートはDCTの採用にこだわり、ルノーはエンジンのバリエーション拡大を求め、それぞれの狙い、特徴を盛り込んでいる。デザインはルノーが担当し、デザイナーはかつてのルノー5ターボをオマージュしながらモダンなフォルムを創り出している。
RR駆動のパッケージングについては、FF、RRを長い時間をかけて検討し、最終的にAセグメントのハッチバックではRRが最適という結論に達したという。新型トゥインゴは、先代より100mm短縮されているが、キャビンのスペースは拡大され、フロントにエンジンがないためタイヤの切れ角が大幅に増大できる。その結果、最小回転半径4.3mと圧倒的な小回り性能を実現している。なお先代トゥインゴは3ドアであったが、新型トゥインゴは5ドア・ハッチバックとなっている。
エンジンは、自然吸気1.0LのSCe70(スタート&ストップの有無で2機種)と、エナジーTCe90(スタート&ストップ付き)と呼ばれる898ccターボをラインアップ。トランスミッションは5速MTと6速EDC(DCT)を設定。もちろんヨーロッパでは圧倒的に5速MTが主流だ。なおエンジンは49度傾斜してリヤにマウントされている。日本に導入されるエナジーTCe90エンジンは、90ps/5500rpm、最大トルク135Nm/2500rpmを発生する。
このエンジンは電動ウエストゲート、減速回生システムを備えるなどAセグメントとはいえ最新の技術を投入している。なお限定車「サンクS」だけはSCe70エンジンを搭載する。最高速はTCe90モデルで165km/h、0-100km/h加速は10.8秒という動力性能を備えている。
新型トゥインゴのボディサイズは、全長3620mm、全高1545mm全幅1650mm、ホイールベース2490mmとコンパクトなサイズで全幅以外は軽自動車に近いサイズだ。外観デザインは、短いオーバーハング、車体の四隅に配置されたタイヤによって、コンパクトながらビッグキャビンであり、安定感が感じられるプロポーションだ。
なおボンネット部とフロント・フェンダーはポリプピレン樹脂製。リヤシートバックは50:50の分割可倒式。ラゲッジ容積は通常で174L、カーゴポジションで219L、リヤシートを折り畳むと980Lとなる。さらに助手席シートを前方に畳むと全長2200mmの長尺荷物が積載できる利便性を持つ。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤはド・ディオン式を採用。またステアリングは可変ギヤ比(VGR)を採用し、中立付近では正確な操作感が得られ、大きなステアリング操作をすると、タイヤがより大きく切れるという設定となっている。
■発売記念限定車を2モデル設定
新型トゥインゴのグレードは、「インテンス」と、キャンバストップ仕様の「インテンス・キャンバストップ」の2機種。
また新型トゥインゴ導入を記念した限定モデルも設定されている。スポーツテイストの「トゥインゴ パックスポール」と、自然吸気エンジンSCe70(70ps/91Nm)、5速MTを搭載した「トゥインゴ サンクS」の2モデルで、本国の主流モデル仕様のサンクSは169万円という軽自動車に匹敵する価格としている。これらの限定モデルは各50台。
そして新型トゥインゴは、2016年秋にもGTモデルが追加される予定だ。ルノースポールはチューニングしたスポーツモデルで、0.9Lターボ・エンジンは110psを発生する。このGTを始め、新しいバリエーションは次々に登場すると予想され、これからも楽しみなモデルである。