スマート スマートfortwo 試乗記 ライバルなし 独創のコンパクトさと超小回り性

マニアック評価vol392

ミッドナイトブルーのボディパネルにホワイトのトリディオンセーフティセル・カラーを組み合わせた「ミッドナイトブルー」
ミッドナイトブルーのボディパネルにホワイトのトリディオンセーフティセル・カラーの「ミッドナイトブルー」

2015年10月末に第3世代となるスマートforfour、fortwoが発表された。453型となった新型スマートはルノーとの共同開発プロジェクトから生まれ、従来型との共通性はなくなっている。しかし超コンパクトサイズのシティ・クーペというコンセプトに変化はない。<レポート:松本 晴比古/Haruhiko Matsumoto>

新型スマートは従来型と比べ全幅が1665mmと拡幅された。そのためもあって、日本市場ではこのモデルからはAセグメント・5ドアモデルのforfourがメイン車種になり、2人乗りのfortwoは限定モデルという扱いになった。この新型fortwoは従来通りフランスのモゼル県ハンバッハ工場で生産され、forfourはスロベニアのノボメストにあるルノー工場で生産されている。

スマート fortwo 試乗スマート fortwo 試乗

fortwoの初期導入モデルの「edition 1」は、ブラックのトリディオンセーフティセル・カラーを組み合わせた「ラバオレンジ」と、ミッドナイトブルーのボディパネルにホワイトのトリディオンセーフティセル・カラーを組み合わせた「ミッドナイトブルー」の2仕様で、それぞれ限定220台となっている。限定モデルは今回だけの企画ではなく、今後はfortwoを限定モデルという形で定期的に導入する計画だという。

スマート fortwo 試乗

新型fortwoは、全幅の拡大だけではなく全長も2755mmと60mm長くなっている。ホイールベースは+8mmの1875mm。つまりボディサイズはやや大きくなっているが、ホイールベースはほとんど変化なく、つまりはこの圧倒的なショートホイールベースと軽自動車より60cm以上短い全長というfortwoのコンパクトさという魅力は守られているのだ。なおショートホイールベース、RR駆動パッケージだが前後アクスルの荷重配分は44.5:55.5と優れている。

スマート fortwo 試乗
リヤのラゲッジボード、遮音材をははずすと3気筒エンジンが見える

搭載されるエンジンはルノー製の281型(ルノーではSCe70型と呼ぶ)3気筒・998ccで、リヤの床下のアクスル上にマウントされている。トランスミッションも新開発された6速DCT(ツイナミックと呼ぶ)を組み合わせ。エンジンはアイドリングストップも備え、JC08モード燃費は21.9km/Lとなっている。

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試乗したのはミッドナイトブルー仕様だ。Aピラー、Cピラー、サイドシル部分がホワイトで、それ以外のボディパネルがブルーという大胆な組み合わせ。ホワイトの部分は従来型のトリディオン・セーフティセルのイメージを継承していることを表している。もちろんイメージだけではなく、サイドパネル全体とフロアフレームは強固な構造とし、大型車との衝突を前提としたコンパティビリティを確保している。

スマート fortwo 試乗

スマート fortwo 試乗スマート fortwo 試乗

インテリアはシンプルだがデザインセンスがよく、安っぽさを感じさせない。また運転席側のウインドウ上部のルーフ部にサングラスホルダーを設けたり、センターコンソール部下側にはスライド式の小物入れを設けるなど気配りもされている。ラゲッジスペースも日常の使用に不足ないスペースが確保され、助手席を前倒しすればゴルフバッグも縦に積載できる。

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ドライビングポジションはかなりアップライトで、ペダル配置やステアリングのポジション選択も無理なくできる。またアップライトな着座姿勢のため前方、後方とも視界は良好だ。では実際に乗ってみてレポートしよう。それは実に痛快だ。

取り回し性はまさに驚異的だ。従来型のスマートfortwoの最小回転半径は4.1mだったが、今回はなんと3.3mになっているのだ。これはボディの全幅を拡大した上でタイヤ切れ角を大きくすることによって実現しており、軽自動車をはるかに凌ぐ小回りができるのだ。スマートfortwoの最大の優位点、魅力は圧倒的な全長の短さとこの超小回り性能にあるといえるだろう。市街地や狭い道路でこのfortwoを運転するのはある意味で痛快といえる。

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最小回転半径3.3mは、軽自動車をはるかに上回る小回り性を実現

走り出すと、かなり締まったサスペンションと感じられ、ショートホイールベースであることも重なり、ぴょこぴょことしたピッチングが感じられる。またステアリングはダイレクト感はあるが、かなり軽めでちょっと落ち着きがなく、頼りないフィーリングだ。ところが面白いことに60km/h 以上になるとステアリングは落ち着き、安定感が感じられるようになる。つまり郊外路や高速道路では不満がないが、使用頻度が圧倒的に多い市街地でのステアリングフィールがは少し再考を要するところだ。

ブレーキのフィーリングはリヤエンジンであることもあり、剛性感が高くて上級車のようにしっかりとしたフィーリングで、安心感も十分だ。

乗り心地は、やや固めだがしっかりとした安定感があり、低速域では超ショートホイールベースならではのピッチング感があるが、それ以外のネガティブなところは感じられない。またボディ全体がちっとした剛性感は上級のクルマに匹敵するレベルだ。

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エンジンは低フリクションを追求した自然吸気エンジンで、出力は71ps/91Nmだが、意外にも吹け上がりのフィーリングは重めで、軽く元気にシューンと吹け上がる感じではなかった。ただ、最大トルクの91Nmは3000rpm以下で発生することからも分かるように低速での扱いやすさは文句ない。

ツイナミックと呼ばれる新開発のデュアルクラッチ・トランスミッション
ツイナミックと呼ばれる新開発のデュアルクラッチ・トランスミッション

DCTもイメージとはかなり異なり、Dレンジでの変速はゆっくりで、DCTらしい切れのよさは感じられなかった。DCTにはSモードもあるが、Sモードのスイッチを押しても変速に関しては大きな変化はなく、変速時の回転数が高くなる程度だ。

つまりDレンジはエコモードでのんびりした運転に徹している感じがする。ゆっくりとした変速のため変速時のショックはまったく感じられない。きびきび走るためにはやはりマニュアルでのシーケンシャル変速を使うというのが正解だろう。

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走行中のエンジン音は、高周波がカットされ低めの音になっているので、市街地でも高速走行でもストレスは大きくない。このあたりのノイズチューニングはしっかりしているので、超コンパクトのクルマとはいえ長時間のドライブも苦にならないだろう。

コンパクトなボディによる凝縮感、特に圧倒的ともいえる全長の短さと回転半径の小ささといった取り回しのよさは従来型のfortwoファンも十分納得できる。さらに、より洗練されて表情が豊かになったデザインは新型fortwoの新たな付加価値になっていると感じられた。

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