メルセデス・ベンツのコンパクトツーリングワゴン「CLAシューティングブレーク」に試乗してきた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>
メルセデス・ベンツはCクラスやEクラス、さらにその上級クラスでモデル展開した手法と同様に、コンパクトなCセグメントにおいてもセダン、クーペ、SUV、4ドアクーペ、そしてシューティングブレークへと展開し、さらにコンパクトならではのハッチバックスタイルも加えて、ラインアップの充実を図っている。
CLAシューティングブレークは、メルセデス・ベンツのAクラスと同じプラットフォームを使ったモデル。先にデビューしている4ドアクーペスタイルのCLAの派生車種となる。ラインアップは180と250があり、それぞれに4WDとスポーツグレードが存在する。今回試乗できたのは180スポーツと250の標準のそれぞれシューティングブレークだ。
EクラスやCクラスのステーションワゴンのように実用性の高い商品特徴というより、CLSシューティングブレークと同様にデザイン性に特徴のあるモデルというのがCLAシューティングブレークだ。つまり、見た目がかっこいいのだ。
エクステリアは真横から見た時の流れるようなルーフラインが特徴で、他に類を見ないデザインを持っている。またサイドに流れる3本のアクセントラインはCLA4ドアクーペと同様に、個性的なサイドシェイプになっている。フロントグリルにはセンターに大きくスリーポインテッドスターが据えられ、誰が見てもメルセデス・ベンツだと分かりやすい。
インテリアでは、ひと目で豪華さを感じさせる内装を持ち、レザーやシルバーの使い方などメルセデス・ブランドが欲しいと願う人には満足感を与えるインテリアだ。ステアリングセンターにもベンツマークがしっかり据えられ、常にメルセデス・ベンツに乗っていると感じられるように仕上げられている。したがって、これらの特徴的なデザインとメルセデスのアイコンが目立ち、CLAシューニングブレークの最大の特徴とも言えるデザインのカッコよさもプラスして、メルセデス・ブランドを所有した満足感は高いだろう。
走り出してみると、メルセデスの上級モデルとは違った印象で、1.6Lターボ、2.0Lターボともにエンジンのザラついたフィールがあり、もう少しメルセデスらしいと感じるものが欲しかった。さすがにシフトショックはなく滑らかに変速し、車速を上げていく。
走行モードではエコノミーとスポーツ、マニュアルが選択できるが、250モデルはそれなりに違いもあり、節度のあるモード切り替えになっている。180モデルでは、どのモードも違いをはっきりと違いが感じられ、メリハリがあると言ういい方になるのか。とはいえ、その違いの幅はもう少し狭めたいとも感じた。
例えばエコモードだと、発進時ではもたつき感がありアクセルを余分に踏んでしまう。そのため、20km/h程度まで車速があがると、ドーンとターボが効いて加速する。そこを反省し、踏み込み過ぎないようにしていると、レスポンスが悪いと感じてしまうのだ。そこでスポーツモードを選択してみると、その発進時の不満は解消されるが、今度はいつまでもシフトアップをしないで低いギヤをホールドしたままになる。また市街地でも信号で止まるのにブレーキを踏んで弱い減速Gだけなのに、ブリッピングをしながらダウンシフトをするので、少しやり過ぎ感がある。全体的にリニア感の乏しい印象で、演出であることを感じてしまう。
これが250モデルだと、エコモードでもスポーツモードでもどちらも丁度よくセッティングされており、エコモードらしく、また、スポーツモードらしくドライブできる。この違いは単に制御の違いなのだが、排気量の違いでエンジン出力、特性も異なり、それを踏まえるとこうなる?あるいは、制御プログラムを意図的に変えているのか?という疑問があった。
だから、メルセデス・ブランドを良く知るユーザーからは「らしさ」をもっと期待する声はあると思う。とはいえ、エクステリアやインテリアではメルセデスらしい豪華さとブランド所有欲を満たしてくれ、なによりも価格が戦略的であり、これまで欲しくても買えなかった新規のユーザーを広く取り入れることが可能だ。街に多くのメルセデスが走りまわるのは間違いだろう。