【メルセデス・ベンツ】新型CLA試乗記 軽快な操舵感のあるハンドリングを持つコンパクトスポーツクーペ レポート:髙橋 明

マニアック評価vol216

新モデルのCLA。イメージとしてはAクラスとCクラスの中間に位置する魅力的なスポーツクーペだ

メルセデス・ベンツに新たなモデルが誕生した。CLAはコンパクトサイズの4ドアクーペで、335万円からというプライスも魅力的な新型車。早速試乗してきたのでレポートする。

新型CLAはベースのプラットフォームをA、Bクラスと共通のCセグメントクラスに位置する4ドアクーペで、Cクラスよりコンパクトサイズ。全長4640mm(CLA250は4685mm)×全幅1780mm×全高1430mm、ホイールベース2700mmというフルサイズCセグメントだ。Aクラスでは印象が若すぎる、でもCクラスは落ち着きすぎ。そういう中間に位置するような印象のポジションにあたる。適度にスポーティで若々しく、適度に落ち着きもありどんな場所にも対応できるいわば万能タイプのモデルだ。プロダクト詳細は、既報の記事を参照してもらいたい。

2012年パリサロンで発表されたコンセプトカーのスタイルを量産モデルで再現したと、メルセデスのデザイン統括ゴードン・ワグナー氏が言うように、「カーデザインの世界に一石を投じた」自信作だ。フロントマスクはメルセデスである証、スリーポインテッドスターが大きくグリルセンターに配置され、ヘッドライトデザイン、フロントスポイラーなど存在感たっぷりの顔をしている。ボンネットにも2本のプレスラインが入り力強さを感じさせる。

スリーポインテッドスターやグリル、ヘッドライトと主張のあるフロントマスクが特徴

CLAのプロダクトデザインは前述したように、まったく新しいもので、CLSを踏襲しているものではないが、CピラーからテールエンドにかけてのルックスはなんとなくCLSのイメージもあり、エレガントな佇まいを感じる。

シートはヘッドレスト一体型のスポーツバケットタイプで、ラグジュアリーよりスポーティな路線のモデルであると感じる。そして両モデルともシートは電動パワーシートで、座面の後傾角からシートバックの微調整まで細かく調整できるため、ドライビングポジションをしっかり設定できるあたりにも拘りは感じられる。

ヘッドレスト一体型のシート。ホールド性も高く、シート細部の微調整が可能なのでベストポジションをとりやすい

さらに7速DCTのパドルシフトも標準装備されている。エアコンの吹き出し口はAクラスと同様クロス型のルーバーがセンターに3つ、左右に1つずつ付く。メータはコンベンショナルに2眼式で、左がアナログの速度計、右もアナログの回転計で馴染み深いだけに落ち着く。

ラジオやオーディオ類に関しては、相変わらず同じ大きさのボタンが数多く並び、走行中の操作には苦労する。がしかし、オーナーになれば、その操作は手馴れた動作で操作でき、複雑にも見えるスイッチ類を使いこなしているカッコ良さはあるかもしれない。その他、電動パワーシートやウインドウのスイッチ類などは他のメルセデスモデルと同様に配置されている。

■高級感のあるインテリアと高い静粛性

質感や手触りなど上質なインテリア。スポーティな赤いステッチがアクセントだ

全体にメルセデスらしい高級感があり、レザーや組み合わされる赤いステッチ、メタルが効果的に使われ、またつや消しのシルバー加飾は上質感を加速させている。手の触れる場所に硬質な質感のものが少なく、印象、感触といったフィーリングに訴える演出はさすがメルセデス・ベンツと感じるインテリアだった。

4ドアということでリヤの居住性をみると、クーペデザインだけにヘッドクリアランスは少ない。天井、そしてサイドの回り込みによる圧迫も多少あり、デザイン優先の割り切りレイアウトということだ。だが、フロントシートとのスペースでは意外にも大きくホイールベース2700mmが効いている。180cmの筆者でも余裕あるスペースだと感じた。また、レッグスペースはCクラスと同等の余裕がある。

トランク容量はCクラスより大きく、Cクラスの440Lに対しCLAは470Lという容量を持つ。そしてリヤシートバックは6:4の分割が標準装備され、ゴルフのキャディバッグが3本、3人乗車が可能というユーティリティも持っている。

試乗車は180と250で、現状この2モデルがラインアップしているが、11月には4WDモデルとAMGモデルも追加になるということだ。180に搭載されるパワートレーンは直列4気筒直噴の1.6Lターボに7速DCTで、122ps/200Nmというスペックでエコカー減税が100%免税される。一方250は同じ直列4気筒直噴だが排気量が2.0Lターボで、211ps/350Nmのスペックを持ち、1.5tの車重を余裕で走らせる。こちらはエコカー減税75%対応だ。

エンジンは直4直噴ターボ。2.0Lの250(写真・211ps/350Nm)と1.6Lの180をラインアップする

プラットフォームをA、Bクラスと共通ということだが、運転してみての印象は大きく異なった。CLAはAクラスより静粛性が高く、乗り心地がいいという点だ。静粛性では世界最高の空気抵抗値Cd値0.23が大きく影響していると商品プロダクト担当者は説明する。実際風切り音は小さくミラー周りの風切り音が小さい。これはウインドウやミラーへの汚れの付着も減り、視界確保というメリットも生まれる。

■軽快感のあるハンドリング

乗り心地の点ではリヤアクスルのアクスルキャリアとボディとの接続部分にラバー素材を使用していることで、A、Bクラスより静粛性、快適性が高まっているという説明を受けた。後席での試乗ができなかったため、インプレッションは語れないが、運転席での乗り心地はスポーティだと感じた。これは、180、250両モデルともスポーツサスペンションが標準装備で、また、225/45-18サイズのランフラットタイヤであるためで、メルセデス・ベンツの上級モデル並みとはいかないまでも、その差別化を狙った商品企画であると思う。

Aクラスのときに少し違和感を感じた、出だしのスロットルレスポンスの鈍さだがCLAでは改善されている。このあたりはまさに制御の範疇であり、ハードの問題ではないので、いくらでもフィーリング変更は可能だ。それだけに評価自体が難しい。だが、CLAに関してはAクラスよりドライバーの期待値に近づいてきたと思う。しかしながらペダル配置では、高さに違和感があり、FFモデル右ハンドルの難しさなのかもしれない。

静粛性も高く、そしてダイレクト感のあるハンドリングで、上質なスポーツドライビングが楽しめる

ハンドリングは軽快だ。電動パワーステアリングは、舵角に応じてギヤ比が変わる可変式ダイレクトステアリングで、ダイレクト感もそれなりにあり、スポーティなコーナリングができる。それは交差点を曲がるときや40km/h、60km/hの走行でも感じられ、また駐車場などでの操舵もハンドルは軽く、操作しやすい。

一方、安全面においてレーダー型衝突警告システム「CPA」を全車に標準装備している。CPAは7km/h以上で作動し、静止した障害物には70km/h以下で作動するもので、前車との距離が近すぎると警告灯が点灯、2.6秒以内に衝突する可能性があるときは、警告音でも注意喚起する。さらにドライバーのブレーキ操作が十分でない場合は事故回避に必要な制動力をアシストする。さらに、居眠り運転を未然に防ぐためのアテンションアシストも標準装備される。

オプションとして、CPAの警告にドライバーの対応が十分ではない場合、最大ブレーキの60%で自動緊急ブレーキを作動させるCPAプラスや、先行車の減速停止に対応する渋滞追従機能を備えたディストロニック・プラス、ドアミラーの死角をレーダーによってモニターし、危険性を警告するブラインドスポットアシスト、60km/h以上で車線逸脱をカメラで検知しステアリングを微振動させ警告するレーンキープアシスト、急ハンドル、急ブレーキの操作に対して、安全装備の効果を高めるプレセーフがセーフティパッケージとして用意されている。

さて、メルセデス・ベンツが打ち出した新しいモデルCLAは、その価格も戦略的だ。180が335万円、250が459万円、250のADWは484万円、そして45AMG AWDが710万円である。ちなみに、Cクラスのエントリーモデルは399万円で、国産アッパーミドルクラスのユーザーもターゲットにした価格設定となっている。

メルセデス・ベンツCLA主要諸元

メルセデスベンツCLA価格表

メルセデス・ベンツCLAボディサイズ

メルセデス・ベンツ公式サイト

COTY
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