電気自動車に革命を起こすマイクロ・コンパクトEV「シトロエン・アミ」【動画】

この記事は2020年3月に有料配信したメルマガを無料公開したものです。

ヨーロッパは以前から市街地向けの超コンパクトな小型モビリティが根付いているが、そのカテゴリーにPSAグループのシトロエンが、EVの新型小型モビリティ「アミ」で挑戦する。都市型EVと、それに関連するビジネス、モビリティサービスの新発想はインパクトがある。

コンセプトカーから1年で市販化

シトロエンは100年間にわたり、革新的なクルマを生み出し、モビリティを民主化してきた歴史を持つが、創立101年目にあたる2020年にまた新たな革新を行なうことになる。

2019年春に公開された「アミ ワン・コンセプト」

車名は「アミ(Ami)」だ。「アミ」は2CVから派生したモデルとして1961年に登場した経緯があり、その車名が新たなマイクロ・コンパクトEVの車名として復活した。EV「アミ」の原型は2019年のジュネーブ モーターショーで披露された「アミ ワン・コンセプト」。わずか1年で市販化することになったわけだ。

100%電気駆動の超コンパクト モビリティ「アミ」は、都市内での移動、生活を革新するクルマとして登場した。フランスの都市部に多い内燃エンジン車乗入れ禁止区域など、あらゆる場所へのアクセスが容易で、モペット、スクーター、自転車、公共交通機関を代替するクルマであり、しかも誰にでも手が届く低コストを実現している点が特長だ。

電気自動車としての静粛で気持ち良い走りという資質を持つばかりではなく、バッテリーへのフル充電は220Vの普通電源で3時間。充電ケーブルは助手席のドア部に格納されており、このクルマのイメージとしては、まるでスマートフォンのように使うことができる。充電は自宅はもちろん、都市部の公共充電インフラで簡単にできる。

都市部での日常に絞り込んだ性能

「アミ」のボディサイズは、全長2410mm、全幅1300mm(ドアミラー含む)、全高1520mmで、定員2名。そして最小回転半径3.6mと狭い市街地での機動性は極めて高く、駐車スペースに苦労することはない。ホイールは14インチサイズを採用し、四隅に配置にすることで独特の存在感を生み出している。

車両重量485kg(バッテリーなしで425kg)、フロア面に配置したバッテリーの容量は5.5kWh、モーター出力は8.2psだ。航続距離は70km、最高速は45km/hと、都市部での使用に絞り込んだ性能となっている。

日常的にスーパーに買い物に行く、仕事場に通勤するなど都市部における暮らしでの使用を想定したクルマで、さほど遠出はせず、日常使いだけに限定し、排ガス・ゼロでコストも安いという庶民のためのクルマでもある。

キャビンは、フロントガラス、サイドウインドウ、標準のパノラマルーフ、リヤウィンドウなどは最大限にガラス面積を拡大し、キャビン内は明るい。なおサイドウインドウは2CVと同様に、ガラス面が上方にスイングアップする方式だ。室内はヒーターを装備(エアコンはなし)し、車内は外界と完全に遮断されている。ボディのデザインは前後左右対称でユニークかつ、洗練されたデザインだ。

インテリアもシンプルさを全面に打ち出しながらも、シトロエンならではのデザインセンスを各所に盛り込み、美的な感性を満足させるようになっている。

ドライバー席のシートはスライド式で、助手席側は固定式だ。左右シートの間隔は十分に確保され、窮屈さはない。着座位置は一般的なクルマと同レベルにされており、ドライバーの運転感覚も、他の車両からの認知性も十分に高い。

インスツルメントパネル上面にはユニークな小物入れが配置され、助手席の足元スペースのくぼみにはスーツケースが収納できる。またリヤにも容量65Lのラゲッジスペースが確保されている。

乗り降りしやすいドアは、ドライバー側は後ろヒンジ、助手席側は前ヒンジという独創的なレイアウトで、乗り降りがしやすい構造だ。

「アミ」には6色/6種類のエクステリア/インテリアのカスタム・パッケージが設定されており、好みに応じてカスタマイズできる。パーツとしては前後バンパー、ホイールカバー、ボディアタッチメント、クォーターライト、ルーフステッカー、または側面のシトロエンならではの側面のエアバンプなどが用意されている。

スマートフォンをフル活用

インテリアも同様に、アクセサリーキットがラインアップされている。ドア部の収納ネット、マット、ダッシュボード上面の収納トレイ、ハンドバッグ用の小さなフック、スマートフォンホルダーなどだ。

スマートフォン接続により、モバイルアプリで「アミ」の車両情報やユーザー情報を簡単に取得することができる。例えば充電ステータス、充電時の残り時間、走行距離、メンテナンスアラート、メンテナンス予定のスケジューリング、さらには最寄りの公共充電スタンドを簡単に見つけることもできる。

また、「アミ」の取扱説明、アクセサリーパーツやスペアパーツに関する情報や注文、ディーラーや整備サービスの場所のマップなども閲覧することができる。

カーシェア、レンタルなど多様な使い方に対応

「アミ」は50cc未満クラスの小型モビリティの基準を満たしているため、運転免許証は不要で運転できる。フランスでは14歳から、他のヨーロッパ諸国では16歳から運転することができるなど、「アミ」はまさにすべての人のためのクルマだ。(日本では免許証が必要)

画期的な点として、「アミ」は最初からカーシェア、レンタル、あるいは購入と、使用者の用途、要望に応じた設定となっていることだ。

カーシェアは「Free2Move」社と連携しており、1分間でも1年間でも、あるいはもっと長い期間にわたり、乗ることができる。このカーシェアは、都市部の各所にスポットが設置され、スマートフォンで簡単に検索アクセスできるようになっている。

カーシェアリング方式では1ヶ月1180円の会費で31円/1分間の料金で使用できる。そしてこれらのカーシェア、レンタカーもすべてオンライン、またはスマートフォン アプリで選択注文できる。

一方、長期レンタルは初期支払金が31万5000円(環境補助金として10万7000円込み)で、月払い額は19.99ユーロ(約2400円)となっている。

この長期レンタルは、公共交通機関のパスの定期券や多くの電話プランの毎月の支払い額よりもはるかに低額で、企業のカンパニーカーとして、あるいは個人のセカンドカーとしての運用に最適化されている。

「アミ」を購入する場合は、ベースモデルで税込み6000ユーロ(約71万5000円。環境補助金込み))からとなる。シティカーとして十分に競争力のある価格設定とされている。

新たなブランドコミュニケーション

また、「アミ」は従来の自動車ビジネスとは全く違う新しいデジタル&エコなユーザー コミュニケーションを採用しているのも注目点だ。オンライン、スマートフォン アプリで、車両の解説、車両+オプションの選択、試乗のリクエスト、注文、支払いができるのだ。

注文するには、自宅のパソコンで、あるいはタブレットやスマートフォンを使用し、シトロエンのウェブサイト経由で数回クリックするだけで実行できるようになっている。

車両展示はシトロエンディーラーだけでなくパートナーとなったヨーロッパの大手家電販売チェーン店の店頭でも行なわれる。またレンタルや購入の場合は希望する引き取り場所、あるいは自宅への宅配納車も可能になっている。

「アミ」の試乗希望者は新開発されたコンテナを使用した移動式の試乗センターにより、市街地の中心部、繁華街のショッピングセンターなどで希望に応じてステアリングを握ることができる。このように「アミ」は既存のディーラー網を補完し、よりユーザーフレンドリーで、デジタルライクな手法を採用している。

新型「アミ」の注文受付は2020年3月30日からフランスで開始され、その後スペイン、イタリア、ベルギー、ポルトガル、ドイツで順次開始する計画だ。そしてデリバリーの開始は2020年6月頃が予定されている。

従来の電気自動車とは異なる、シトロエンの新たな挑戦、「アミ」の普及はどのような展開となるのか、興味深い。

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