【ジープ】チェロキー試乗記 アメリカンテイストを継承し、走破力に自信の新型チェロキー レポート:髙橋 明

マニアック評価vol272

JP014KL_exterior_all5代目となったチェロキーは、既報の通りドラスティックに変貌し登場してきた。さまざまな進歩を遂げた新型ジープ・チェロキーの実際はどうなのか? 早速試乗してみたのでレポートしよう。


◆ポジショニング
新型ジープ・チェロキーはミッドサイズのSUVにカテゴライズされ、欧州風に言えばDセグメントサイズのグローバルモデルである。ライバルはBMW X3やメルセデスベンツMクラスあたりのプレミアムモデルとなるのだが、実際はライバルたちとは違い、その走破力のアピールを行なうあたりで個性は異なっている。国内で言えば日産ムラーノやトヨタ・ハリアーあたりのユーザーを取り込みたい狙いはあるだろう。

ラインアップは3モデルが投入された。トップグレードが「Limited」で、悪路走破性に高い能力をもつ「Trailhawk」、FFのエントリーモデルが「Longitude」という3モデル。それぞれに個性があり、走行フィールや特徴も違ったので実際の購入には悩むことになるかもしれない。価格は税抜きでリミテッドが427万円、トレイルホーク398万円、そしてロンジチュードが351万円となっている。

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ボディサイズでは全長4630mmで全幅はトレイルホークがサイドのオーバーフェンダーの大きさの関係で、1905mm、他の2モデルは1860mmとなっている。全高でもトレイルホークは地上高が40mm高く1740mmに対し、リミテッド、ロンジチュードは1700mmである。ホイールベースは2700mmで、トレイルホークは少し長く2720mmとなっている。

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搭載するエンジンはリミテッドとトレイルホークがV6型3.2Lのペンタスターで272ps/315Nm。エントリーモデルのロンジチュードは直列4気筒2.4Lのタイガーシャークで177ps/229Nmというスペックになる。ミッションはすべてのモデルが9速ATを搭載し、2速発進するユニットを搭載。5速が1.000なので、6速以上はオーバードライブの設定になっている。トランスファーはリミテッドがJeep Active Drive II の副変速付きで、Lowでは前後をロックする。トレイルホークはJeep Active DriveIIに Rock(リヤデフのロック)が追加されている。

Limited_Trailhawk
リミテッドとトレイルホークに搭載されるV型6気筒3.2Lのペンタスターエンジン
Longitude
ロンジチュードには直列4気筒2.4Lのタイガーシャークエンジンが積まれる

 

JC08モードではリミテッドが8.9km/L、トレイルホークは8.8km/L、そしてFFモデルのロンジチュードは10.4km/L。モード燃費は実際の燃費とのかい離があるが、輸入車の場合ほぼ実際の燃費に近く、逆にモード燃費よりいいこともある。

4WDの装備ではトレイルホークが悪路走破力に注力しているモデルで最低地上高も他モデルより40mm高く、またデパーチャーアングル(29.9度)、アプローチアングル(32.2度)でも他モデルより大きい設定になっている。装備面でも路面状況に合わせて走行モードをセレクトする「セレクテレイン・システム」はリミテッド、トレイルホークに共通で、FFのロンジチュードには当然装備されない。セレクテレインはオート、スノー、スポーツ、サンド/マッドがチョイスされ、トレイルホークだけに前述のロックモードが追加されている。

トレイルホークのアプローチアングル、悪路走破性能はクラストップで、このモデルのみ、トレイル・レイテッドが与えられている。トレイル・レイテッドとは米国オフローダーの聖地、シエラネバダ山脈にあるルビコントレイルを指し、ここを走破することができる車両の証としてトレイル・レイテッド エンブレムが与えられるのだ。

オートモードは通常FFで走行し、路面状況により舗装路でも高速走行でもオンデマンドの4WDとなり、シームレスに駆動力がコントロールさる。セグメント初となる進化したオンデマンド4WDシステムを搭載している。スポーツモードは常時4WDとなり、同時にステアリングのしっかり感、サスペンションの締まり、アクセルレスポンスなどもスポーティなものへと変わる。サンド/マッドは砂地、泥ねい地用で低スピードでのトラクションを最大化する。そしてトレイルホークだけに装備されるロックモードのRockはLockも意味し、岩場などでデファレンシャルロックをする機能となっている。

そして、セレクスピードコントロールもトレイルホークだけに装備される。これはESCが最大限に作動し、1km/hから8km/hの間で速度を自由に設定できるヒルディセント、ヒルアセント機能である。つまりミューの低い悪路ではこの機能によってアクセルもブレーキにも触れずに自動で、ドライバーはステアリングの操作だけで走行できる。

◆インプレッション
こうした装備、機能の違いをもった3モデルの試乗コースは静岡県の朝霧高原近郊の一般道と特設の悪路専用コースが用意されていた。

最初はリミテッドで新型チェロキーのトップグレード。チェロキーがプレミアムクラスに匹敵すると感じるモデルだ。レザーシートやダッシュボードの手触りなど高級車としての装備をもっている。シートの座り心地はソファチックで、ソフトでゆったりとした座り心地のアメリカンテイストだ。

リミテッド
リミテッドは新型チェロキーのトップグレード

走行モードは「Auto」で走りだす。アクセルを少し踏むだけでドンと動く、いわゆるアクセルの早開き設定で、アメリカ人が好むタイプの制御といわれている。ハンドル操舵力もそうした意味でも軽い設定になっている。特に駐車場などでの切り返しでは軽く、取り回しは楽だ。走行時のセンターの座りはあるもののフィーリングとしては弱い設定。また、切り始めからのクルマの動きにもアメリカンフィーリングは残してあり、ゆったりとした動きはゴージャス感を演出している。

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しかし、モードを「Sport」に切り替えるとハンドルの手ごたえはしっかりとなり、操舵力も重くなる。サスペンションも可変ダンパー搭載なのか?スポーティに締まった印象へと変化しアクティブに走行できる。ただ、アクセルはさらに早開きの傾向となるので、少しリニア感に欠けると感じるかもしれない。ちなみに、フロントのサスペンションストロークは6.7インチ、リヤのサスペンションは7.8インチという大ストロークを持っている。

トランスミッションは高級車御用達ブランドZF製の9速ATで、ステップ式ながら変速ショックを感じることもなく、しっとりとしている。Dモードでは何速で走行しているのかは全くわからない。同様にエントリーモデルのロンジチュードにも9速ATが搭載され、変速フィールが気持いい。

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FFモデルのロンジチュードはリミテッドとは逆にナチュラルな設定になっている。それはアクセルのレスポンスも自然で、またサスペンションの動きも大袈裟にゆったりした動きにはなっていない。リミテッドと比較して150kg以上も軽量のためか、全体に軽快に感じ好ましい。重厚感からくる高級イメージもいいがこのロンジチュードのSUVらしい軽快さとユーティリティの高さは納得できる。

ロンジチュード
エントリーモデルでもあるFFのロンジチュードは軽快感がいい

さらに、搭載するエンジン、タイガーシャークはFPT社が開発したマルチエアエンジンで、そのエンジン音が聞こえてくるのも楽しい。近年、スポーツカーといえどもエンジン音は聞こえずマフラーからの排気音が聞こえるというモデルがほとんどで、エンジン音がボンネットから聞こえてくるという、ある意味懐古趣味かもしれないが王道のような気もする。ロンジチュードでは意外にもエンジン音の楽しさを堪能できた試乗だった。

トレイルホークに用意されたステージは特設の悪路コース。ロッキングリヤデファレンシャルやセレクスピードコントロールを試すための試乗だ。もちろん、専用に用意された場所だけにその期待通りの走破力を示し、悪路大好きなひとには満足度の高い性能を見せたと感じる。とりわけ急こう配でグリップの取りづらい路面状況の時、人間のアクセルコントロール、ブレーキコントロールでは怖さを感じるような場面でも、セレクスピードコントロールは的確に作動し、走破していった。

トレイルホーク
悪路走破性に優れるトレイルホーク(当たり前だが写真のドライバーは筆者ではない)

■ジープ・チェロキー主要諸元

■ジープ・チェロキー価格表

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ジープ公式サイト

COTY
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