アウディ A6 2.0TFSI S-Line試乗記 エグゼクティブ感満載の満足度

マニアック評価vol384
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アウディのEセグメント、アッパーミドルクラスA6にダウンサイジングの2.0Lガソリンエンジンが搭載された。高級なエグゼクティブクラスのモデルに2.0Lエンジンはどんな乗り味を見せてくれるのか、500kmを超える長距離を走ってみた。

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◆ポジショニング
アウディA6、BMW5シリーズ、メルセデス・ベンツEクラス、ジャガーXFというのがこのクラスを代表するモデル。かつて3.5Lエンジンあたりを平均的に搭載していたモデルたちだが、欧州ではダウンサイジングの流れから、過給器付きの2.0Lエンジンを搭載するケースが増えている。

A6ではFFの1.8Lターボとこの2.0Lターボのクワトロ、そしてV6型3.0Lスーパーチャージャー・クワトロの3モデルをラインアップし、この2.0Lターボは中間グレードだ。価格は標準の2.0LTFSIは680万円だが、試乗車はS-Lineなので850万円だ。

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そしてこのクラスの多くのユーザーは指名買いが特徴的で、他モデルと比較して決めるというケースも少ない。つまり、ブランドを信頼し、そのブランド内でどのモデルにするか?あるいはどのグレードを選ぶか?という買い方だ。なお、ステーションワゴンタイプのアバントも3グレードで展開する。

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アウディA6に求める性能は、高級セダンだけに静粛性や乗り心地が上質であることはいうまでもなく、ユーザーの要求性能にどこまで満足度が高く応えるか?ということになる。その中でもパワーや走りの力強さという点で2.0Lターボは気になるポイントだろう。

◆パワートレーンと乗り心地
A6 S-Lineには極太の大径タイヤを装着している。銘柄はピレリのP ZEROでサイズは255/35-20インチ。大径でエアボリュームの少ないタイヤだが、大きくガツンときそうな入力も丸くしなやかにいなす。全体にしっとりとした高級感あふれる乗り心地で、エグゼクティブに相応しい印象だ。もちろん標準サイズのタイヤであれば、よりソフトでしなやかな乗り心地になることは容易に想像できる。ちなみに標準サイズは245/45R18となっている。

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エンジンは7速DCTのSトロニックと組み合わされ、半クラッチ制御の難しさなのか、走りだしの瞬間だけわずかにタイムラグを感じる。動き出してしまえば、アクセル開度と車速、加速感はリニアに感じ、気になるものはない。ドライブモードは、効率、コンフォート、スポーツ、インディビデュアルに分かれ、通常はコンフォートで走行。エンジンを高回転まで回してもノイズはそれほど大きくならず、また、エンジン・サウンドもA6に相応しいと思う。4気筒エンジンは味付け次第で軽薄な音に感じることもあるが、その心配はない。

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パドルシフトを装備し、スポーツモードを選択すればスポーティに変身し、ワインディングも軽快に走る。決してトルク不足、パワー不足を感じる場面はない。それは高速道路でも同様で、登坂車線があるような登り坂での追い越しも力強く加速する。周囲のクルマに十分威圧的な走りを見せることも可能だ。この2.0L TFSIは280ps/380Nmというスペックを持っているので、十分な出力であり納得の出力特性だろう。また、外観で搭載エンジンを見分けられる要素はない。エンブレムも「A6」「TFSI」「S-Line」の3種類しかない。

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ハンドリングではステアリングの操舵も軽く、高級車らしい味付けになっている。またコーナーでは手ごたえが増し、逆に安心感が高まる。直進での座りもしっかりあり、高速でも楽に走行できる。タイヤが太い分、路面からの余計な反応を拾うのだろうが、電動パワステの制御なのか無駄なフィードバックは感じられずスポーティで好印象だ。強いて言えば、乗り心地の上質でしっとりしたフィールとスポーティなハンドリングがミスマッチという言い方もできるかもしれないが、試乗モデルがS-Lineなだけに納得のハンドリングだ。

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ちなみに、このクワトロは通常時はフロント40:リヤ60のトルク配分で、路面状況によってフロント70:リヤ30からフロント15:リヤ85の範囲内でトルク配分が変更される。もちろんドライバーがその変化に気づくことはない。

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◆インテリア&エクステリア
マイナーチェンジでの変更箇所ではシングルフレームグリル、ヘッドライト、テールライト、バンパー、サイドシルなどが変更されているほか、内外装のカラーに新色が設定されている。なかでも技術的ハイライトは、オプションで選択できるマトリクスLEDヘッドライトが注目だ。

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専用のカメラによって前方を走る車両や対向車を検知して、ハイビームの部分的マスキングを自動で行なうため、高速道路ではハイビームのままで走行することが可能だった。もちろん一般道でもこのマトリクスヘッドライト機能は有効だが、街灯を感知するとマスキングしてしまう。一説では、欧州の一般道は暗く日本は地方の道路でさえ明るいため、その効果を感じにくいという話も聞く。それでも夜間ドライブの視認性という点では大きなメリットは感じる。欲を言えば日本仕様を期待したいところだ。

A62.0TFSIはアッパーミドルクラスのプレミアムモデルに相応しい高級感があり、ドアを開けシートに座った瞬間から高級車らしさを感じさせてくれる。インテリアの上質感、走りの上質感、静かで安心した走りとどれをとっても満足度の高いモデルだった。

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