Cクラスカブリオレ試乗レポートを執筆した国際モータージャーナリスト清水和夫氏は、試乗に先立ち新型メルセデス・ベンツEクラスエステートの発表会会場にも足を運んでいる。国内導入が待望される新型Eクラスエステートはどのように映ったのか?ショートレポートをお届けしよう。
■リヤサスペンションは専用設計
Cクラスカブリオレの試乗会の前日に、ドイツのシュツットガルトで新型Eクラスエステート(ステーションワゴン)が発表された。SUV全盛時代に、エステートの存在感は薄くなっているが、実物を見ると、エレガントなスタイルとエステートとしての機能がうまくバランスしているように感じた。
メルセデスの主張をチーフデザイナーであるロバート・レズニック氏は、「ドイツには、形は機能を表わすという、機能美を表現したバウハウスの教えがある」と言う。「しかし、エステートは実用車なので、エクステリアデザインはあまりエモーションにならないようにデザインした」とコメントしてくれた。
ラゲッジスペースの容量は先代モデルよりも少ないが、車体設計のエンジニアは「リヤサスペンションの張り出しがラゲッジスペースの邪魔にならないように専用設計しています」と説明していた。確かににダンパーマウントの張り出しが小さい。数値(容量)よりも実用性能向上を図ったのだ。
また、各国で厳しくなる衝突安全を満足させるために、開口部の大きいエステートながらリヤ回りの剛性を十分に確保、車体剛性も向上した。床下にはワゴン専用のボディ補強パーツも付加されている。
現状では、エンジンは3.0L V6型ターボのAMG E43(4MATIC)や新開発の2.0Lディーゼルが主力になるだろう。個人的には機能性や実用性の高さから右ハンドルの4MATICとディーゼルの組み合わせが気になるが、よりパフォーマンスの高いAMG E43に人気が集まりそうだ。500Nm強のトルクとAWDのコンビネーションが、最強のエステートになるからだ。