ホンダミーティングその1では、自動車産業変革の時代に、ホンダはひとつの答えとしてHonda eMaaS(ホンダ イーマース)を提案し、その考え方についてお伝えした。今回はその具体的な施策や技術についてお伝えしよう。前回テーマは2つだとお伝えした。ひとつが新技術投入によるもの、そしてもうひとつが既存要件への対応というテーマだ。
ホンダが目指すエコシステム
既存要件への対応では、今の環境でいう足元の状況は販売するクルマのCO2排出量削減がある。パーソナルカーは電動化し、そして安全技術を進化させ交通事故ゼロを目指していく。さらに、これらのモビリティにコネクテッド技術を搭載していくことで、モビリティサービス事業へと展開していき、アライアンスも含めユーザーへ新しい価値を提供していくというロードマップがある。
もちろんその先は、四輪以外での移動と連携するマルチモーダルへと進化していくことも視野に入れ、そうした新しい移動の価値とともに、エネルギー技術も活用しながら社会システム全体を設計するスマートシティへ拡大するビジョンを持っている。こちらが新技術投入というテーマになる。
これらのモビリティとエネルギーが循環する仕組みをHonda eMaaSと呼び、循環型システムを構築することで、再生可能エネルギーを拡大し、移動と暮らしを進化させることで、ユーザーへの提供価値向上に貢献していくとしている。つまり、Honda eMaaSは技術的な取り組みによって、ユーザーへ提供する新価値創造へとつながっていく取り組みということになるわけだ。
3つの重点的取り組み
さて、こうしたサスティナブルな社会の構築に向けて、既存要件に対応しながら未来社会創造につなげるための取り組みで重点的な3つをご紹介しよう。
1:コネクテッド技術
2:カーボンフリー技術
3:事故ゼロ技術
最初のコネクテッド技術は、モビリティとエネルギー、そしてコネクテッドサービスの提供をすることで、移動と暮らしがシームレスにつながった社会を実現していくHonda eMaaSの基盤とも言えるものだ。
1:コネクテッドサービス
ホンダが目指す、コネクテッドサービスは
・あなたに寄り添う・・・知能化
・ともに成長する・・・通信によるソフトウエアアップデート
・もっと、つながる・・・スマートフォン連携
この3つを目指すことでクルマの擬人化に近いものになっていくとしている。
知能化を「ホンダパーソナルアシスタンス」として位置付け、意図理解のために自然言語理解エンジンとしてSoundHound社と中国のiFLY TEK社と協業し、画像認識エンジンはsensetime社との協業でドライバー認識や個人認識などを行なう。そして嗜好理解や行動予測はホンダ独自のパーソナルプロファイルを活用していくことで、統合理解エンジンを作り上げていく。
こちらはデモ機があり、体験をさせてもらったがコマンド音声ではない会話型発話に反応していた。「OK ホンダ」で起動させ「今日の天気は?」の問いかけに位置情報を元に現在地の天気を教えてくれる。また、「近くの駐車場は?」という問いではホンダのコネクテッドサービスによって検索され場所を教えてくれるといったデモが行なわれた。
またこのホンダパーソナルアシスタンスによって、ソフトウエアのアップデートにおいて車両購入時の感動、新鮮な気持ち維持を提供するとしている。これは車両を買い替えた時に1台目で得たデータを2台目にも引き継ぐことが可能になるという。またスマートフォンとの連携では、車内で決済サービスが受けられるなどのサービスが構想されている。
次世代通信技術
北海道の鷹栖にあるホンダのテストコースには4G、5Gの切り替えがスムースに行なわれるか、とか共存できるかなどの実験がソフトバンクと合同で進められている。車載通信ユニットやアンテナ技術などが研究開発され、この先のユースケース実験を行ない、5G時代に即対応できる体制にしているという。
また、アメリカ・オハイオ州で行なっている実証実験では、交差点に設置したカメラからの情報を車両に送り、危険を知らせる仕組みによる事故低減をESV2019で発表し、U.S. Government Awards for Safety Engineering Excellence賞を受賞している。
既存要件への対応として、次回はカーボンフリーへの対策と事故ゼロ技術についてお伝えしよう。<レポート:高橋明/Akia Takahashi>