トヨタ WEC2021年シーズン用のル・マン ハイパーカー「GR010 HYBRID」を発表

トヨタGAZOOレーシングは2021年1月15日、2021年シーズンの世界耐久選手権WECに参戦するル・マン ハイパーカー(LMH)規則に従ったニューマシン「GR010ハイブリッド」を発表しました。

ル・マン ハイパーカー(LMH)規定に合わせた車両については、これまでに2018年1月の東京オートサロン2018で「GRスーパースポーツコンセプト」として発表が行なわれています。プロトタイプではなく、ハイブリッド システムを搭載した市販レーシング スポーツカーと位置づけられるのがル・マン・ハイパーカー(LMH)です。そのため、市販ベース車両は公道を走行できるようになっています。

「GR010ハイブリッド」は、トヨタがこれまでWECに参戦してきたTS050ハイブリッドで磨いてきたレース用ハイブリッド技術「レーシング ハイブリッド」を搭載しています。つまり新レギュレーションのLMHに適合させるため、ドイツ ケルンのチーム本拠地のエンジニアと、日本の東富士研究所に本拠を置くハイブリッドパワートレーンチームが一体となり開発。製造はケルンで行なわれます。

「GR010ハイブリッド」は、680psを発生する3.5LのV6ツインターボエンジンで、後輪を駆動し、4輪駆動のパフォーマンスを発揮させるべく、アイシンAWとデンソーが共同開発した272psを発生するモータージェネレーターユニット(MGU)をフロントアクスルに配置しています。

新レギュレーションに組み込まれた、新しい「GR010ハイブリッド」はTS050ハイブリッドと比べて162kg重くなり、パワーが32%絞られ、ル・マンのラップタイムは10秒程度遅くなると予想されています。車両サイズは250mm長く、100mm幅が広がり、全高は100mm高くなっています。

「GR010 ハイブリッド」は、トヨタのWECプロジェクト開始以来、初めてリヤのモータージェネレーターユニット(MGU)を廃し、フロントアクスルにのみMGUを配置したレイアウトになっています。このため「GR010 ハイブリッド」はスターターモーターを組み込み、リヤブレーキは回生ブレーキを使用せず油圧によってのみ作動します。

「GR010ハイブリッド」は最先端のエアロダイナミクスを採り入れ、高性能な流体力学ソフトウェアと風洞実験により最大の効率を生み出すよう開発されました。

新しいレギュレーションでは、シーズン中に特定の車体パッケージを持ち込むことが禁じられており、そのため「GR010ハイブリッド」は、ダウンフォースが求められるサーキットでも低ドラッグが要求されるサーキットでも、同じボディ仕様で戦うことになります。

また、WEC、ル・マンのトップカテゴリーの車両に、初めてBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が導入されます。WECシリーズオーガナイザーがエネルギー使用量や車両重量を規定し、各社のハイパーカーの均一なパフォーマンス実現を目指して、レース毎に車両のパフォーマンスはコントロールされることになります。

このため、2021年シーズンからは特定のメーカーチームが速いという状態にはならず、他の競合チームと激しい接戦が展開されると予想されます。

GAZOOレーシングは、新レギュレーションに対応するため3日間におよぶ集中的なテストプログラムを、既に2回実施し準備を整えています。

2021年のチーム体制は、従来通り7号車がマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス選手、8号車がセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー選手の組み合わせです。

チーム代表は村田久武、チーム監督はロブ・ロイペン、技術監督はパスカル・バセロンが担当です。

GR010 HYBRID 諸元表

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