2012年2月10日、テスラはロサンゼルスにある同社デザインスタジオで、ロードスタータイプのモデルSに続く第3のEV車種となる「モデルX」のプロトタイプを発表した。この発表会は米国テスラ社のWEBサイトからライブ動画中継され世界中に発信された。
イーロン・マスクCEOによりベールを脱いだ新型車のプロトタイプは、「モデルX」と名付けられたクロスオーバーモデルである。開発コンセプトはミニバンの実用性と洗練されたデザインを備え、スポーツカー並みの動力性能を持つフルサイズ・クロスオーバーEVとされている。
プラットフォームはモデルS用を流用し、3列シート、5ドアを備えるが、特徴はリヤドアがファルコン(鷹)ウイング・ドアと名付けられた上方開きになっていることだ。
通常はガル(かもめ)ウイングと呼ばれる形式だが、モデルX用はガルウイングのようにそのまま上方にスイングしながらせり上がるのではなく、最初はスイングせずに上方に持ち上がり、途中から上方にスイング展開するシステムになっており、鷹が翼を折り畳む時の動作に似ていることからファルコンウイングと名付けられている。
このファルコンウイングのため、クルマの側方に壁や障害物があってもスムーズに開閉ができるのが特徴だ。またルーフ上部まで持ち上がる形式のドアのため、身長の高い人でも体を屈めることなく楽に乗り降りできる特徴もある。
搭載される駆動システムは3種類設定されている。リヤにモーターを1個使用するFRタイプ、前後のアクスルにモーターを配置する4WDタイプ、高性能モデルとして前後アクスルに各2個のモーターを配置したデュアルモーター4WDタイプの3モデルが設定される。動力性能は、4WDモデルで0→100km/h加速は5秒以下としている。
また床面に敷き詰められる電池の容量は60kWh、80kWhの2種類から選択できるようになっている。電池は、モデルSと同様にパナソニック製の「18650」だ。サスペンションはフロントがハイマウント型ダブルウィッシュボーンでリヤはマルチリンク式を採用している。
開発のターゲットはアウディQ7とされ、7名の乗員定員数だけでなく、ラゲッジスペース、動力性能もQ7を上回るとしている。ラゲッジスペースは3列目シート後方と、フロントのボンネット下に確保している。
インテリアは、クルマの設定やコントロール、マルチメディア、WEB通信機能を備えた17インチサイズのタッチスクリーンを備え、まるで大型のPCディスプレーを装備しているように見える。
なお、今回はモデルXの概要とプロトタイプの発表で、詳細スペックや正式な価格は発表されていない。ただし、WEB上で予約受付が開始されている。予想される価格は、モデルSより高く、最上級モデルはアウディQ7のハイブリッド並と推測できる。
現在の計画では2013年末にカリフォルニア州フリーモント工場で生産を開始し、2014年上旬に納車を開始するとしている。