2017年6月、ドイツの世界的自動車部品サプライヤーZFが、グローバル試乗イベントを開催した。目の前にある自動運転やEV化技術など、あらたな局面に対し、Tier1トップ3のひとつZF社は何を提案したのだろうか。その全貌をお伝えしよう。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>
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高級車のトランスミッションなど「ギヤ」関連サプライヤーとして知られるドイツのTier1「 ZF社」は、2014年に9月に同業のTRW社を約1.4兆円で買収したことは記憶に新しい。ZFのCEO、ゾンマー博士によるとこの買収により想定売上高は300億ユーロ(約4兆円)を超え、13万人以上の従業員を擁する世界的自動車部品サプライヤーのトップ3の1社となったという。そのZF/TRWはお互いの強みを持って、劇的に変わりつつある自動車産業に対し新たな提案、新技術がアウトプットし始めてきたわけだ。
オーストリアのパッハフルト(Pachfurth)にあるドライビングキャンプで、そのイベントは開催された。世界中から集められたメディアは200〜300人はいるのではないか? という一大イベントで、autoproveも参加してきた。
冒頭、ビッグニュースがあった。HELLA社との戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。詳細はこちら。
ZFはTRWを傘下に収めることで、センサー技術やカメラ技術なども手に入れ、ZFが持つシャシー技術との連携によって将来像を描いている。自動運転やEV化などへシフトすることに対しさまざまな専門技術が必要となってくる。そしてZFだけに限らないが、それぞれの専門分野の企業との協業や買収、パートナーシップなどの連携が数多く生まれてきているのが現状だ。
ヘラー(HELLA)社との戦略的パートナーシップは、カメラや画像解析、センサー技術から得た情報を車両へフィードバックするために必要なものだと説明する。つまり、カメラ、レーダー、ライダーなどで得た情報を解析し、シャシー、ブレーキ、ステアリング等へ伝え、自律走行するために必要な技術というわけだ。そのために、すでにZFではAI技術などで注目されるNVIDIAやスマートコックピットなどの開発に欠かせないインテリア系サプライヤーのフォルシア、レーダー、ライダー系のアスティックス(Astyx)、イベオ(ibeo)、ネットビジネスのダブルスラッシュ(doubleSlash)など数社に及ぶパートナーシップを締結している。
ZFが目指すものは「ビジョン・ゼロ・ヴィークル」だ。事故ゼロ、エミッション・ゼロを目標とし、そのために必要な新しい技術と位置づけ、これまでの自動車社会だけでなく、全く異なる世界との融合が必要になってくるからだ。メールやSNS、ショッピング、輸送、インターネットなど生活に関わる全ての情報世界の中に、自動車も溶け込まなけらばならないと説明する。
これらを背景にZFの2025年に向けての戦略がスタートしており、それを「see think act」というキーワードで表現している。seeとは、見ること、センシングすること、360度の視野、そして空間認知を意味し、thinkはプロセッシング。つまりアルゴリズムや解析といったプロセス。そしてact、アクションすることへ繋げる。そのために、前述のibeoのレーザースキャナーイメージング、raderのAstyxなどの技術が必要とされるわけだ。そして、今回のプレスイベントは、具体的な新技術の説明と体験をするということなのだ。具体的な技術についてはvol2以降からお伝えしたい。
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