ZFは2026年1月6日、ラスベガスで開催された「CES 2026」でスマートハードウェア、人工知能、ソフトウェアを組み合わせる「Chassis 2.0」戦略の一環として「AI ロードセンス」と「アクティブ・ノイズリダクション」を初公開し、シャシーのデジタル化を提唱した。
「AI ロードセンス」は、道路状況やドライバーの挙動を予測して安全性と快適性を高める、AIを駆使した先進ソフトウェアソリューションだ。そして「アクティブ・ノイズリダクション」は車内に伝達されるタイヤノイズを大幅に低減する技術で、シャシー音響分野においても新たな基準を打ち立てている。

ZFが想定するソフトエア・ディファインド・ビークル(SDV)は、ステア・バイ・ワイヤーやブレーキ・バイ・ワイヤーといった革新的なバイワイヤー技術を基盤に、安全性と快適性を高めるシャシーイノベーションの新基準を構築しようとしている。

ZFのシャシー部門の責任者、ペーター・ホルトマン博士は「Chassis 2.0戦略を通じて、私たちはシャシーをデジタル時代へと変革しています。ハードウェアの専門知識、高度なソフトウェア、人工知能を融合することで、安全性と快適性を新たな次元へ引き上げるだけでなく、SDVへの道を切り開いています。こうして私たちは、知能化・コネクテッド化され、個別適応可能な“次世代モビリティ”を形作っているのです」と語っている。
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【AI ロードセンス:この先の路面を読み取る技術】
AI ロードセンスは、ソフトウェア定義車両(SDV)の安全性と快適性を高める、革新的なAIベースのソリューションだ。最先端のセンサーを用いて、冬季路面、オフロード、不舗装路から舗装路への切り替えなど、変化する路面状況に応じてシャシーをリアルタイムに適応させることを目指している。

取得した生データは、ZFのシャシー制御ソフトウェア「cubiX」によって処理され、連続可変ダンピング制御(CDC)や、1ミリ秒以内に反応するアクティブダンピングシステム「sMOTION」などのスマートアクチュエーターを統合制御。将来的には、ステア・バイ・ワイヤやブレーキ・バイ・ワイヤとの統合も予定されている。
AI ロードセンスは、困難な路面状況に直面した際のドライバーの不安を軽減することができる技術だ。システムは人間の反射神経よりも速く状況を検知・対応し、常に期待どおりの車両挙動を実現することができる。
AI ロードセンスは、スタンダード、アドバンス、プレミアム という3種類のバージョンが想定されている。
・スタンダート:CAN通信データを用いて路面タイプを識別
・アドバンス:カメラデータを追加し、路面状態を予測・分析
・プレミアム:LiDARを搭載し、最大25m先まで路面形状を2cm精度でスキャン。詳細な3D地形プロファイルを生成

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ZFは、センサー情報とシャシーデータを知能的に融合させることが実現している。例えば、カメラだけでは雪は一様な白い路面としてしか認識できないが、ZFはタイヤスリップやトルク変化といったシャシーデータを組み合わせることで、深雪か浅雪かを判別することができる。
滑りやすい路面を検知すると、「スノースタート」が自動的に作動し、トルクを抑えて発進。オフロードでは、AIが泥・砂・岩・雪など地面の硬さや深さを判断し、最適な駆動戦略を自動選択。4WDやデフロックも知能的に制御される。
さらにAI ロードセンスはドライバーが走行モードを選択する必要がなく、バックグラウンドで最適なモードが選択されるようになっている。例えば、砂利道から高速道路へ移行した場合も、即座に静粛かつ省エネな設定へ切り替えることができる。
また、ドライバーのアクセル、ブレーキ、ステアリング操作に加え、車内外の状況を解析する「ドライバー挙動認識」により、運転スタイルや嗜好を予測。シャシーやパワートレインを横断した、そのドライバーに最適化されたドライビングを実現することができるのだ。
つまりAI ロードセンスは、知能化されたSDVモビリティへの大きな一歩となり、より安全で快適、かつ高度にパーソナライズされたドライビングを実現することができる。
【アクティブ・ノイズ・リダクション:次世代シャシーの“音”】
ZFは、大量の遮音材を用いずに車内の「タイヤ空洞音」を低減する「アクティブ・ノイズリダクション」ソフトウェアも発表した。

次世代スマートシャシーセンサーと、cubiX制御のセミアクティブダンパー(CDC)を活用し、現在は最大3dB、将来的には最大10dBの騒音低減を実現可能としている。量産開始は2028年の予定で、さまざまな車両タイプに適用できるようになっている。













