ZF フルレンジ4次元レーダーに大注目 上海汽車集団向けに生産を開始

メガサプライヤーのZF社は、2021年4月に中国の自動車メーカー、上海汽車集団(SAIC)とフルレンジ4次元レーダーに関する生産契約を結んだことを発表しました。このレーダーシステムを搭載する車両は2022年にデビューする予定です。

ZFのフルレンジ4次元レーダーは、4次元(距離、速度、水平角、仰角)で車両の周囲を認識し、カメラやLiDARなどの光学センサーと同様の機能を実現する高解像度のレーダーです。

この技術を利用することで、レベル2の高度運転支援システムから、これまではLiDAR(レーザー光式スキャナー)が必須とされてきたレベル3以上の高度な自動運転機能に必要な安全性、信頼性を確保することができることが特筆点です。

フルレンジ4次元レーダーは、距離、速度、水平角、仰角の高解像度の情報を取得でき、特に従来のレーダーでは不可能だった仰角が追加されたことで、より高いレベルで交通状況の立体点群のイメージが生成でき、速度情報もより詳細になるため、高解像度での環境センシングが可能となります。

ZFのフルレンジ4次元レーダーは、77GHzを使用し350メートルの距離で+-60度の開口角で物体を立体的に検知できる性能を備えています。そのため都市での低速運転から郊外路や高速道路での運転まで、幅広い状況に対応できるよう設計されています。

このデータは、例えば従来のレーダーでは検知できなかった高速道路上の橋梁下の場合でも、渋滞車両の最後尾を早期に検出でき、衝突回避ブレーキをかけるのに役立ちます。さらに、道路の端や路肩などを検出し、追越し可否の判断にも役立ちます。

さらに一般的な従来の自動車用レーダーの場合、歩行者からのデータポイントが1つか2つであるのに対し、約10のデータポイントを受信しており、各測定ポイントで測定対象の速度を記録できるため、より正確な点群によるイメージ情報が実現します。 また、個人の手足の動きも認知できるため、歩行者が歩いている方向を認識するための用途にも使用可能となります。

このように、フルレンジ4次元レーダーの高い情報密度により、きわめて詳細な物体認識が可能になります。

そして、このフルレンジ4次元レーダーは、通常12チャネル(3つの送信機、4つの受信機)しかない中距離用レーダーに比べ、より高解像度での認識が可能で、ZFのフルレンジ・レーダーは、4つのモノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)チップを組み合わせることで、チャンネル数は16倍に増え、合計192チャネルが使用可能となっています。

これまではレベル3以上の自動運転には、物体を立体イメージで検出できるLiDARが必須といわれていましたが、レーザー光を照射して前方の物体をスキャンするLiDARはカメラやミリ波レーダーより、かなり高コストで強い雨などに弱いという弱点もありました。

LiDARと同様に軍事用技術から転用されるフルレンジ4次元レーダーは、量産化しやすくコスト的に有利なため、自動運転時代を迎え脚光を浴びるセンサーと言えます。

ファーウェイの4次元レーダーと、従来のミリ波レーダー(左端)、LiDAR(右から2番め)、高解像度カメラ(右端)の比較

すでにメガサプライヤーのマグナ社、中国のファーウェイなども同様のレーダーを発表しており、今後はさらに多くのサプライヤーが参入するとが予想されます。

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