CDCの第2世代ダンパー
従来のZF(SACHS) CDCの第2世代となるダンパーで、マグネティックコイルを持ち、電流の強弱でバルブの流路を開いたり、閉じたりする電子制御式ダンパーだ。
このマグネティックコイルを内蔵するタイプと外部取り付けとするエクスターナルタイプの2タイプが展示されていたが、使い分けとしては車両のレイアウト次第で対応できるように2タイプ用意したという。
つまり、内蔵タイプはストローク長がエクスターナルタイプより長くなる。そのため、ボンネットの低いスポーツカー向けではない。内蔵タイプもエクスターナルも高級車に使用されている。どちらも価格的には同等ということで、カーメーカーの都合で選択できるようになっている。ちなみにインターナルタイプは韓国で生産され、エクスターナルはメキシコで生産されているため、輸送コストには違いがあるという裏情報はあった。
いずれも微低速域の乗り心地を確保しながら、スポーツドライブなどの車両姿勢コントロール性が高いことを目的にしたダンパーで、メカニカルタイプのSDC3か電子制御式CDCかという選択肢を提案していた。
フライングカーペット
ZFのコンセプトカーでリヤ操舵、アクティブダンピング、前述のIBCなどを装備したモデルで凸凹を吸収する油圧アクティブダンピング機能を持っている。またリヤ操舵機能=AKC:Active Kinematic Controlは低速域では小回り、高速域ではスタビリティという位相変化だけでなく、高速域でも同位相にし、車両がななめに移動するような動きを再現している。
40〜50km/hで走行しているときに、フロントタイヤとリヤタイヤが同じ方向にタイヤが操舵されるので、車両は横へスライドするような動きになり、これまで体験したことのないような新しい、車両運動姿勢ということになる。
このコンセプトカーはレベル3以上の自動運転車に対する提案で、ドライバーがセカンドタスクのできるレベルの自動運転車の場合、従来の車両の動きでは、ヨーの発生によってクルマ酔いが発生する。そうしたヨーの発生を抑制しつつ安全に走行するシステムという位置付けでのコンセプトモデルになる。
ちなみに、リヤタイヤは最大8度の切れ角を持っている。が、搭載するモデルのリンク形状次第で最大切れ角は変更できる。また、アクティブダンピングもリヤステアリングシステムもカーメーカーの考える領域で制御変更が可能で、スポーツカーにも適応できるし、無人車両にも搭載が可能になるという提案だ。また、このAKCはすでに量産しており、ポルシェのパナメーラにも搭載されている。
さらにこのコンセプトカーには、mSTARS(エムスターズ)をリヤアクスルに搭載し、電動化されている。こちらはモーターユニットをリヤのビームに搭載しており、モーター走行している。このmSTARSは以前からZFのポートフォリオとして存在しており、ICE搭載のFF車を容易にEV化できるユニットという位置付けのものだ。
統合安全Integrated Ssftyの分野
オペル インシグニアのテスト車で同乗体験をした。これは主にシートベルトの機能で、自動運転レベルに応じて、ドライバーへの注意喚起をシートベルトでも可能になるというデモだった。
ドライバーへの注意喚起としてはシートベルトが振動して知らせ、危険度によってシートベルトの締め上げを自動で赤キョック的に行なう。その締め上げも4段階のレベルで設定が可能で、振動も4パターンほど設定していた。
こうした事故直前に締め上げるシートベルトによって、サブマリン事故、つまりドライバーや助手席の乗員がダッシュボードの下に潜り込んでしまい、怪我をすることを未然に防ぐことが可能になるという。そのため、ニーエアバックの有無の選択肢にメリットがあるという。
自動運転 Automated driveの分野
将来の自動運転に向けて、カメラ、レーダー、ライダー、そして車載コンピュータの展示と試乗車が用意されていた。
特にS-CAM4.2といわれるシングルカメラは、従来52度の画角だったものが100度までワイドになった。これはNCAPのさまざまなシナリオに対応するためで、レベル2でのレーンチェンジ機能を盛り込んだり、交差点を曲がる時に人物の検知などの要求に対応するバージョンへとアップデートしたものだ。
またレーダーでは240mまで検知するロングレンジレーダーも2021年に納品が始まるということだ。そしてLider(ライダー)はIBEO社(イベオ)と協業し、ソリッドステートタイプで開発している。このライダーはカメラと同等、つまり画像認識と同等のデータ解析が可能になるという。またカメラからの画像データ解析ロジックはモービルアイと協業し、制御をZFで行なっている。
それらを車載コンピュータで制御していくが、ZFでは現在第4世代まで開発しており、最新のZF Robo Thinkはレベル5にも対応できるスーパーコンピュータになっている。もちろん、第1世代からコンピュータはラインアップしており、必要とされる演算能力次第で選択できるようになっている。