CES2019
メガサプライヤーのZFは、1月8日〜11日にラスベガスで開催された国際見本市 「CES2019」で「Next Generation Mobility(次世代のモビリティ)をテーマにして出展した。
ZFは、世界初公開となる「ZF ProAI RoboThink(ZF プロAIロボ・シンク)」を公開した。これは、業界で最も性能の高いAI機能を持つ自動運転に対応したスーパーコンピューターだ。ZFのセンサー類と組み合わせることで、あらゆる交通環境に対応し、完全自動のMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を可能にする。
センサーは、車両の周辺360度を分析し、車内や乗員の位置をモニター。安全の確保と車両の挙動を制御する。そしてNVIDIAグラフィック・プロセッサーを備えたこの最新バージョンは、1チップセット当たり毎秒150兆回の計算(150TOPS)以上の演算能力を備え、さらに4基までの組み合わせが可能で、最大600TOPSまで能力を上げることが可能ということだ。
「ZFクラウド」をベースにしたネットワーク、システム、ソリューションが、クルマのIoT化を実現し、支払いシステムや配車サービスなど、顧客用アプリケーションの使用を可能にする。これらのZF技術は、実走行が可能なロボタクシーに搭載されCES2019会場に展示された。さらにZFは、フランスのモビリティ企業「Transdev社」と新たに業務提携し、新しい技術を投入し次世代のモビリティを作り出す体制を整えている。
ZFのウォルフ=へニング・シャイダーCEOは、
「本日発表したZF ProAI RoboThinkは、モビリティ業界において最も性能の高いAI機能を持つスーパーコンピュータであり、その高い柔軟性、モジュール性および拡張性によって、自律走行車両の開発を加速させます」
と語っている。
毎秒600兆回(600テラOPS)までの計算が可能な演算能力をもつZF ProAI RoboThinkは、自動運転車向けの中央制御ユニットとして最高の性能を持つ。車内と車外センサーから得られた情報に加えCar to X(車両と外部インフラとの通信)やクラウドからのデータをリアルタイムで統合し、レベル4+の自動運転車両をいかなる交通環境下においても、安全に作動させることができるだけの処理能力を持つことを前提に設計されている。大学のキャンパスや企業の構内などのクローズドされた敷地だけでなく、近い将来は一般公道でも自律走行型の配車サービスを実現するためにはこのような性能が不可欠なのだ。
さらにZFは、CESで新しいモビリティ・コンセプト用のソフトウェア群も自社開発し、初公開した。このソフトウェアを最新のZF ProAIおよびセンサーセットと組み合わせれば、完全自律走行車両を可能にする統合型システムを構築することができるというもの。ZFのシステムを搭載した自律走行車両は、モビリティサービスに新規参入する企業も簡単に使用できる仕様だ。
また、ZF ProAI RoboThinkはMaaS向けソリューションに不可欠な性能も備えている。ProAIは、性能の異なる4つのモデルが選択でき、ニーズに応じた設定ができるようになっている。オープンで柔軟性と拡張性に富んだモジュール設計のため、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせに縛られないシステム構築が可能だ。
各種ハードウェア・チップセットの使用が可能で、異なるOSにも対応できるため、顧客のニーズにあわせたソフトウェアを作ることができるという特長がある。こうした柔軟性と自動車向けの規格・品質によりZF ProAIは、現在自動車業界で入手することのできる最高レベルのAIコンピューターとなっている。
ZF ProAIは、最新のNVIDIA社の「DRIVE Auto Pilot Level2+」のローンチパートナーに選ばれ、ProAIは今後12か月以内に量産が開始される。そのため、NVIDIAのローンチ・タイミングに合わせられる唯一の自動車向けAIとなる。
「ZFが唯一、必要な性能を備えたスーパーコンピューターの量産が可能であるという事実は大きなアドバンテージです。オープンで柔軟性に富み、モジュール性と拡張性に優れたZF ProAI製品群は、多様な業界や自動運転機能の全レベル向けアプリケーションに対応できる構造を持っています」
とシャイダーCEOは語る。